16-4 フレイからの提案
よろしくお願いします。
ギリギリ間に合った。
そしてすみません、夜の更新はスケジュール的に書く時間が取れなそうです。
3時間ほど読書を続けて書庫を出ると、窓からは夕陽が沈もうとしていた。
うーん、あそこって居心地が良すぎて時間を忘れてしまうのだけが困りものね。
「さてと、じゃあフレイ様に相談しに行きましょうか」
「はい」
司書室を覗いたら、残念ながらフレイ様は本棚の整理に出ていたので、場所を聞いてそちらに向かう。
フレイ様は……あ、いたいた。
「こんにちは」
「あら、あなた達。
この辺りのコーナーに来るなんて珍しいわね。
鍜冶に興味でも出たのかしら」
本棚を見れば鍜冶錬金に関する書物が並んでいた。
なるほど、確かに今までここに来たことは無かったな。
「いえ、私達はフレイ様を探していたんです」
「私?何かしら」
「はい、ライリさんから、教えを請うならフレイ様にとお聞きしたものですから」
それから私はこれまでの経緯をかい摘まんでフレイ様に伝えた。
「なるほどね。話はだいたい分かったわ」
「それじゃあ……」
勢い込む私をフレイ様は手で制して話を続けた。
「あ、待って。
残念だけど、私は手取り足取り教えることは出来ないわ。
種族的にも大きく異なるし、これまで培ってきたものとの反発も大きいでしょう。
私からしてあげられるのは、訓練法の一例を示す事と、行き詰まった時にアドバイスするくらいね」
「はい、それだけでも有難いです」
普通なら、それすら無い中で手探りで研鑽を積まなければならないんだから。
「本当は学園の講義で教えて欲しいんだけどね」
ため息をつくフレイ様。
うん、それについては私も同感なんですけど。
「それが実技に関しては私は丸投げ状態でして」
「僕はEランクだからって講義にも出れないです」
「はぁ。講師のレベルが下がってるのかしら。
まぁそれはこちらの問題ね。
では、まずはリーンさん。
魔力の効率化がテーマって言ったわね。
なら2つ提案するわ。
まずひとつは常時魔法を発動させ続けること。
こんな感じね」
そう言って『ライト』の魔法球を生み出すフレイ様。
「今は室内だからライトにしたけど、魔法の種類は何でもいいわ。
ただ、出来れば暴発しても危険の無い魔法でね」
「はい」
「もうひとつは、今ダンジョンの46階だったわね。
それなら全て弾丸系の魔法で蜂を打ち落とせるようになるのはどうかしら」
「それは……大量の魔弾を撃ち続けると直ぐに魔力切れになりそうですが」
「なにも撃ちっぱなしにしろとは言わないわ。
自分の周囲を飛ばし続けるの。
そうすれば大分魔力の消費を抑えられるわ」
そう言いつつ先程のライトの魔法をクルクル回して見せてくれる。
簡単そうにやってくれてるけど……
「それ、かなり集中力が必要ですよね」
「大丈夫よ。慣れれば周囲を飛ばすだけなら100発くらい操作出来るようになるわ。
まあ、あなたも言ったようにかなりキツいから、物に出来るかどうかはあなた次第ね」
「分かりました、やってみます」
私が頷いたのを見たフレイ様は続いてそーくんに向き直る。
「ソージュ君。
あなたの場合はそうね、色々特殊過ぎるのだけど。
ひとつだけ確かな事は、あなたの魔力は無くなってる訳では無いわ。
あなたの血の中に溶け込んでいるだけ。
その血を自在に扱えるようになると化けるでしょうね。
ただ、どうやれば良いかはワタシにも分からないわ」
「血を自在に扱う……」
「難しく考える必要はないわ。
恐らくだけど、今のあなたの異常なまでの身体能力の高さも無意識の内に身体強化を行っている結果だと思うし」
言われて自分の手を見つめるそーくん。
頷いているところを見ると思い当たる節があったんだろうね。
「あとはそうね。
折角空間系のスキルがあるのだし、目を瞑った状態で46階を征するとか良い訓練になるんじゃないかしら」
「それは流石に無理なんじゃ」
「分かりました。やってみます」
「そーくん!?大丈夫なの?」
蟷螂からの斬擊と蜂の突撃の両方をかわすって、目を開けててもメチャクチャな難易度だよ!
まあ、そーくんも実際に戦ってきたから承知の上なのかな。
「正直厳しいですけど、それくらい出来ないとあの男に勝てない気がするんです。
前回は僕の事を格下だと思って油断してくれてましたが、それももう無いでしょうし」
そーくんの顔を覗き込むと、男の子の顔をしてた。
うん、それなら全力でサポートするのみだね!
お願いすれば何でもしてくれる程フレイさんは甘くはありません。
そしてフレイさんの内心では、学園講師陣に対するスパルタ計画が進行しております。
閑話とかで、出ない、かな。
次回はケイとミラさんが戻ってくる閑話を挟みつつ、
修行とエラーザ学生会長からの試練の日々?の予定です。
後はあれを6月にやる感じですね。




