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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第2章:Sランクの私と彼
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15-3 虫階層と反省会

よろしくお願いします。

「すぅ~はぁ~」


私は気持ちを落ち着かせて、魔法を維持し続ける。

先日のゴブリン戦で同じ様な魔法を使ったけど、あの時とは違い、自分を中心としている分、制御は楽だ。

まずは半径5メートル。

これを無理なく維持し続けるようにしよう。

体外に放出する魔力と、体内に吸収する魔力を循環させて消費を最小限に抑える。


「すぅ~はぁ~。うん、いい感じね」


一方、そーくんはというと。

まるで散歩するように歩いたかと思うと、突然周囲の背の高い草に襲われて横に跳び退った。

植物系の魔物?

ううん、違う。あれは、蟷螂(かまきり)だわ。

草に擬態していた4本腕の蟷螂が近づいてきたそーくんを襲撃したんだ。

逃げたそーくんを追って蟷螂が鎌を振るう。

そーくんは1本の木剣で受け、払い、反らしていく。

一瞬たりとも止まることなく動き続けるそーくんを追う蟷螂。

遠目から見ると、同じところをグルグルと8の字を描きながら戦っているのが分かる。

それはつまり、あの蟷螂はそーくんの術中に嵌っていることを意味していた。


キンッ!


突然、逃げ続けていたそーくんの姿が消えると同時に、蟷螂の胴体が真っ二つに切られた。

あの瞬間、同じ様に退くと見せかけて踏み込み、交差する刹那に胴を切り裂いたのね。

同じ動きに慣れた挙動が、一瞬の変化に追いつけなかったんだ。

油断無く頭部に追加の一撃を加えたそーくんがこっちを見た。


「リーンさん、後ろ!」

「!!」


その声と同時に後ろに魔法の盾を生み出しながら振り返る。


ドガッ!!

「きゃっ」


盾に槍が突き刺さる。

そこには全長50センチを超える、新たな蜂が居た。


「なるほど、働き蜂の次は兵隊蜂って訳ね」


氷雪魔法に注力していたとはいえ、魔法壁を突き破ってくるなんてかなりの威力ね。

アイテム袋から剣を取り出してその1匹を倒し、改めて周囲を確認する。

私の展開した魔法の外側に、今までの10センチほどの個体に混じって50センチから80センチくらいの個体が見て取れる。


「ふぅ。流石にそこまで楽はさせてもらえないって事だね。

いいわ。魔法を維持しながら剣を扱う練習にはもってこいね」


そーくんの方をちらっと見れば、そーくんも新たな蟷螂+蜂の群れを相手していた。

こっちも負けてられないよね。

私は周囲に氷弾を生み出しながら蜂の群れへと攻撃を開始した。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「うぅ~疲れたよ~」

「あはは、お疲れ様でした」


2時間ほどダンジョンで特訓をした後、私達はいつもの喫茶店で休憩しつつ反省会をしていた。

はぁ~、ミルクティーの甘みが全身に染み渡るわ~。

今日のオランジパイの酸味ともマッチしててとっても美味しい。

疲れた体にこの組み合わせは最高ね。


「今回、魔法壁と『氷雪大地』だけなら同じ空間系魔法で制御が似てるから何とかなったけど、そこに氷弾を追加するとなるときつかったわ」

「最後の方は魔力切れで逃げ回ってましたよね」

「あはは、あれはあれで走りながら氷弾を撃つ良い練習になったよ」

「なるほど。それもいいですね」

「そーくんの方はどう?」

「僕の方は通常サイズの蟷螂は問題なく捌けたんですけど、大型の個体になるとどうしても力負けしてしまいますね。

下手に受けると剣ごと切り裂かれてしまいそうですし」

「そっか。そーくんは魔力強化が使えないもんね」


ある程度魔力のある人なら、魔力で肉体や武器を強化させることが出来る。

木の棒で岩をバターのように切り裂いた、なんて事が出来るくらい魔力強化は強力なんだけど、魔力の足りないそーくんには無理なのよね。

あ、そうだ。


「ねえ、明日は図書館に行ってみない?」

「図書館、ですか」

「うん。もしかしたら魔力強化に代わる手段があるかもしれないし」

「なるほど、そうですね。あの秘密の書庫の本もまだ手付かずのものが多いですし、参考になるものが無いか探して見ましょうか」


うん、そうと決まれば今日はまず体力と糖分を回復しておかないとね。


「すみませ~ん。りんこパイも1枚お願いします♪」


部活の後に喫茶店に寄る感じですね。そう考えるとやっと学園ものっぽい?

そしてまた締めはご飯ネタという。


次回はサイドストーリーを入れようかとも思いましたが、そのまま図書館デートに行く予定です。

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