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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第2章:Sランクの私と彼
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14-A 血と闇

よろしくお願いします。


今回は敵役の視点。

ジバンリン暦52年5月15日


Side ****


周囲を一望できる山のさらにその木の上から遠くに見える村の様子を眺める男が居た。

無駄なぜい肉をそぎ落とした体は細身であるにも関わらず、かなりの膂力がある事を物語っていた。

その視線の先にはちょうど村を出て行く男女が見えていた。


「まったく、これだから世の中おもしれえ」

「おや、負けたのに随分と楽しそうですね、ヒヒヒッ」


答えたのはいつの間にか現れたもう一人の男。

こちらは全身黒尽くめで顔すら伺う事は出来ない。


「ダークか。別に俺は負けてはいねえよ」

「ほぉ。その割には随分長いこと身動きを封じられていたようですがね、ヒヒッ」

「あれは奴の隠し玉が偶然上手く当たっただけだ。あの状態からでも負けはしねえよ」

「おや、そんな言い訳が出るとは。ブラッド君らしくありませんね」

「ちっ」


その男は、ソージュと戦っていたあの男だった。

昨夜、村の東西に配置しておいたゴブリン達が壊滅した報せを受けて、これは丁重にお迎えしてやらないとなと出向いた。


◇◆◇◆◇◆◇◆


Side ブラッド


「さて、西と東、あたりはどっちかなっと」


先に壊滅したのは東だったようだが、西の方が上位のゴブリンを揃えていたから、まあそれは当たり前。

むしろ西側をこんな短期間で壊滅させたって方が驚きだが。

なら西側で決まりだな。

ゴブリンスカウトからの情報では、そいつはそのまま南下してきているらしい。

念には念を入れてゴブリン達にはマーカーだけセットさせて退避させる。

さぁ、これであいつの位置は掴める。

あとはおまけだ。東側から来てる奴。スカウトの情報では女だそうだ。

ご丁寧に姿を見せたスカウト達を倒しながら進んでくれているらしい。

位置的にも丁度いいし、そいつにはゴブリンキングの相手をしてもらおう。


さあ、お前はまっすぐこっちに来いよ。

俺は自慢の『気殺』『無私』などの上級の隠密スキルを利用して獲物が来るのを待つ。


……

…………

………………ここだ!


ザンッ!!


必殺の一撃は、しかしギリギリで避けられた。


「ほぉ。今のに気付いて避けやがるか」


並の奴なら切られた事も気付かずにあの世行きなんだがな。

お、こいつは……なるほど。西側のゴブリンがやられる訳だ。

間抜けな質問の応酬をしながら隙を伺う。

いいねぇ。やっぱりこいつはかなりの修羅場を潜って来ていやがる。


「じゃあ正解したご褒美をあげないとな、ソージュ・ライオネル!!」


木を背にして俺の剣戟を鈍らせようってか。甘いな。

そんな木ごときで俺の剣は止まらないぜ!

それにしても、さっきといい今といい。

冒険者で言えばBランク以上だな。

こいつがEランクだなんて学園も見る目がねえ。

しかし、惜しいな。

これで魔力さえあれば俺と互角にやり合えたかもしれねえってのに。

後はちぃと若い。

仲間の事で一瞬でも気を逸らすんだからなぁ!!

その隙を見逃すことなく3度目の斬撃を放つ。

これは流石に避けきれまい。


ギィン!!


ん?籠手でも付けていたのか。

両腕を切り裂いた感覚がまるで鉄の鎖でも切ったかのようだったが。

そう思った瞬間、奴の両腕が真っ赤に光る。

更にその光が俺の腕に巻き付いてきやがった。


「クソッ!まさか拘束の魔道具か!!」


奴は赤い光を目眩ましにして、一気に離脱していった。


「待ちやがっ、ぐうっ」


何だこれは。

まるで石化の魔法でも掛けられたかのように腕がいう事をきかねえ。

幸い腕だけで済んだが全身だったらゴブリンにさえ何も出来ずに殺されかねないな。

まさかこんな隠し玉を持っているとは。

まあいい。幸い奴は女の所に向ったようだ。

両腕は確かに切った。あれでは回復ポーションを使ってもすぐには力は入るまい。

勿体ないが、後はゴブリンキングに任せて、こっちはゆっくりこの拘束を解くとするか。


◇◆◇◆◇◆◇◆


「それにしても、よくあの状態でゴブリンキングに勝てたもんだ。

女の方だって大分疲弊していたはずなのにな」

「そこはあれです。魔道具で急成長させた弊害で、頭が悪いというか、経験の少ない個体が出来てしまったようですね」

「それでもあいつら一人一人なら勝てる見込みは無いと踏んだんだがな」

「ヒヒッ。まぁ、無事にゴブリンどもを操る事も出来ました。今回の実験は成功と言っても良いでしょう」

「まったく耳障りなその笑い声は何とかならねえのかね」

「ヒヒッ、これは失礼」

「まあいい。ここにはもう用はねえ。

とっととずらかるとするか」


その声を発した次の瞬間には、そこにはもう誰の姿も無くなっていた。

ブラッドとかダークはコードネームのようなものです。

腕を切られたソージュと、腕を縛られたブラッドはどっちが強いかと言われると、魔法が使える分ブラッド、と言いたいところですが、応急処置をしたソージュがゴブリンジェネラルに対してした攻撃をすることで勝てます。

その場合、リーンさんが間に合いませんでしたが。

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