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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第2章:Sランクの私と彼
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14-12 寄り道

よろしくお願いします。

村の出口前来たとき、おもむろにケイ君が口を開いた。


「ソージュ。俺たちはここに残って調査をしていく」

「え、そんな。ケイ君達がしなくても皆に任せても良いんじゃない?」

「いや、ソージュの言っていた男の事も気になる。

出来るだけ早く調べておいた方が良いだろう」


そう言うケイ君にそーくんが向き合った。


「ケイ、気を付けて。

俺があったあの男は、間違いなく今の俺たちより強い。

森の中での隠密能力も極めて高かった。

絶対に気を抜くな」

「ああ、分かっている。

2、3日で切り上げて戻る。

茶でも入れて待っていてくれ」


握手をする2人。

まさに男の友情って感じね。

って、そんな悠長な話でもないかな。


「ミラちゃん」

「はい、勿論存じております。

もしもの時は全力で逃げ帰って参ります」


ミラちゃんはミラちゃんで、夫を守る妻の顔なんだけど。

まぁ、この2人はこれくらいの距離が普通なんだね。


「じゃあ、私達は行くね。また学園で」

「ああ、また学園で」



そうして私達はケイ君、ミラちゃんと別れて学園へ向かう。

移動手段は勿論徒歩だ。

というか、もう普通の馬に乗るよりもこっちの方が早いのよね。

道中、あの騒動の影響と思われるゴブリンを倒していく。

6時間ほど走って暗くなった頃、そーくんが何かに気が付いたように足を止めた。


「そーくん?」

「リーンさん。学園に帰る前に寄り道していきましょうか」


そう言って笑いかけてくれるそーくん。

寄り道ってどこへだろう。

再び走り出したそーくんは街道を逸れて森へと向かって行った。

暗い森の中、しばらく進んだところで見えて来たあれは、昨夜お世話になったブラッドベリー?


「そーくん、あれってブラッドベリーよね」

「はい。さ、行きましょう」


そーくんがブラッドベリーの群生地に近づいて行く。

すると、するするとブラッドベリーの蔓が伸びてくる。

それはそーくんのみならず私にも絡みついてきた。


「そ、そーくん!?」

「大丈夫ですよ、リーンさん。

これはただじゃれ付いているだけですから」

「じゃれつく!?」

「はい。ここは僕が良く来るブラッドベリーの群生地なんです。

僕の血を飲んだことのあるリーンさんは何も言わなくても僕の仲間だって理解してくれるので、

こうして挨拶してくれてるんです」


確かに血を吸われる気配もなく、締め付けられるわけでも無い。

まだ自由な左手で蔓を撫でると、ふるふると嬉しそうに揺れている。


「っと、さあ、もういいかな」


そーくんが声を掛けると、それに応える様に蔓が離れていく。

そして私の手を引いて実の生っている場所まで行く。

あれ?なんだろう。


「昨日の所より居心地がいいような……」

「それはまあ、昨日は他人の家。今日は自分の家。それくらいの違いはあると思いますよ」


大きく深呼吸をする。

ああ、そうか。これはそーくんの血の匂いだ。

そーくんの匂いとブラッドベリー本来の甘い匂いが混ざってるんだ。


「さぁ、今回の元々の目的のブラッドベリー狩りをしましょう」

「え、あぁ。そうだったね。ゴブリンで大変だったけど、最初はブラッドベリー狩りをしに来たんだったよね」

「ええ。そしてここが僕の良く来る群生地の内の一つです」

「一つっていうことは、他にも何か所かあるの?」

「はい。どうやら学園都市付近の森ってブラッドベリーが生育するに適した環境みたいなんですよね」

「そうだったんだね」


答えながら近くの実を食べてみる。


「~~♪ 美味しい♪」


凄い!例えるなら10年物のワインかな。

ブラッドベリーの酸味の中にそーくんの血をぎゅぎゅっと熟成させたような、芳醇で濃厚な味が口いっぱいに広がる。


「ふふ、喜んでもらえたようでなによりです」

「うん、これは美味しすぎるよ。

はぁ。しあわせ~」


ぱくぱくと夢中になって食べてしまう。

んん~このままずっと食べていたいわね。

タイトル通り寄り道していたら学園まで戻れませんでした。

もう1話だけ続きます。


あと、ケイがフラグを立ててますが、例の男に会って殺される、なんて未来は無いのでご安心を。

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