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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第2章:Sランクの私と彼
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14-8 ブラッド分補給

よろしくお願いします。


あれ、2章で書こうと思っていた内容がゴブリン退治に濃縮されてしまっている(汗)

足りないのは学園とイチャラブ成分。

僕達は山を降りて森の中を走り抜けていた。

道中、ゴブリンキング達が僕らを見失わないように、わざと見かけたゴブリンを攻撃しながら。


「そーくん、何処まで行くの?」

「もう少しです。あ、見えてきました」


指差した先、緑の草のカーテンの向こうに真っ赤な木の実が生い茂っていた。


「あれって……ブラッドベリー?」

「はい。っと、ちょっと待ってください」


木の実の手前3メートルくらいのところで止まる。


「ん?どうしたの?」

「ブラッドベリーの実がなっている所に行くには作法があるんです。

手を繋いでてください」

「うん」


左手をリーンさんと繋ぎ、右手を前に突き出す。


リーン♪リーン♪

さわさわさわ。


周りの草がまるで生き物のように僕の右手に絡みつく。

すると緑だった草が薄っすらと赤みを差していく。


「そーくん、これってもしかして、血を吸ってるの?」

「ええ、そうなんです。あ、もう満足してくれたみたいですね」


その言葉に答えるように、右手に絡んでいた草はスルスルと解けていく。

同時に木の実との間にあった草も、僕達を招き入れるように左右に分かれていく。


「さあ、行きましょう」

「う、うん」

「心配しなくても、もう僕達を襲ってきたりはしないですよ」


リーンさんの手を引いて中に入れば、通ってきた道はすぐに閉じた。


「さ、ゴブリン達が来るまでに少し時間があります。

その間に、ブラッドベリーの実を頂きながら体力と魔力を回復しましょう」

「え、ええ」


まだ納得しきっていないリーンさんに、ちょうど今熟れたばかり(・・・・・・・)の実を手渡す。


「どうぞ。食べてみてください」

「うん。……あ、この味ってもしかして、そーくんの味?」

「僕の味って言われるとちょっと複雑ですけど。

ブラッドベリーって食虫植物のような性質を持っているんですよ。

赤い木の実に誘われて近づいた動物達を、さっきみたいに草で巻きついたり切りつけたり、茨のとげを刺したり。

僕の場合は精霊が間に入ってくれるのと、僕の血を少し分けてあげるだけで、こんな感じに満足してくれるんです」

「じゃあ、普通はどうやって採取するの?」

「農家の場合は、食肉業者から動物の血を格安で譲ってもらってるみたいですね。

天然の場合は、動物や魔物の死体を差し出すのが一般的なのかな。

おなかいっぱいになれば、同じく道を開けてくれるらしいし、何度も通ってると条件が緩和されますよ。

だから元々一緒に行こうと思ってたブラッドベリーの群生地だと、こんな大怪我した傷じゃなくて、指先をちょっと切ったくらいの血で十分なんです」

「って、そうだよ、そーくん。

腕見せて! はやく治療しないと!」


アイテム袋から回復ポーションを取り出して治療してくれるリーンさん。

僕としては、それよりもリーンさんの治療を先にしたい。


「リーンさんも体のあちこちを切られたりしてるんですから、痕が残らないように治療してください」

「私はそーくんの血を少しもらえれば、怪我なんてあっという間に治っちゃうから大丈夫よ」

「それなら右手の治療をしてもらう間に左手から飲んでてください」


はむっと腕をくわえながら治療を続けるリーンさんはちょっとコミカルだ。


「ぷっ」

「ん?ふぁふぃ」

「いえ、何でもないです」

「……ふぅ。これでよし。それで、これからどうするの?」

「はい、まずはブラッドベリーの捕食能力でゴブリン達を食べてもらおうかと思ってます。ほら、あんな感じに」


視線の先には、先行してきたのであろう、ゴブリンスカウトがブラッドベリーの蔦に絡みつかれて、みるみる萎れて行くところだった。

血を抜かれて地面に落ちたゴブリンは、今度は草の根が伸びてきて地中に取り込まれていく。


「うわぁ、結構えげつないね」

「何でも、魔物には容赦が無いみたいです。

人とか普通の動物に対しては、多少血を吸うだけで開放してくれますよ。

あと、今は僕の血の影響で普段より強力になってます」


その後もたどり着いた先から、絡みつかれて肥やしになっていく。


「これでゴブリンキングも倒せる?」

「いえ、コマンダーか、良くてジェネラルまでです。

キングになると、力ずくで蔦を引きちぎってしまうでしょう」

「それじゃあ、どうするの?」

「そこはまあ、男としてはどうかと思う発言ですけどね。

リーンさんに頑張ってもらおうかなと思ってます。

なので、リーンさん。

リーンさんの血を僕にください」


そう言って僕はリーンさんに笑顔を向けた。



ブラッドベリーについて

真っ赤な木の実で動物や魔物をおびき寄せ、その周囲に張り巡らせた食腕とでも呼ぶべき枝葉で捕食します。

動物に対してはギブアンドテイク。血を貰った分、木の実を分けて開放します。

魔物に対しては容赦なく、血の一滴から骨に至るまで食べつくします。

ちなみに、木の実を無視して近くを通るだけだと、襲ってきません(動物限定)

人の言葉が分かるのか、話しかけると反応します。

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