13-6 作戦開始の前に
よろしくお願いします。
イチャラブ分補給回です。
「んん、はぁ」
酒場を出た私は一つ大きな伸びをした。
「それにしても、ブラッドベリーを採りに来た筈が、いつの間にか大変な事に巻き込まれちゃったね」
「そうですね。本来ならこの後ちょっと山に入って、ゴブリンの巣を幾つか殲滅するだけの予定でしたからね。
あ、それよりリーンさん。
さっきはあんな啖呵切ってしまいましたけど、リーンさんはゴブリンキングには勝てますか?」
ゴブリンキング。
災厄級と呼ばれる、ゴブリンエンペラーには及ばないけれど、固体ランクB、群体ランクB+。
その配下には中位のゴブリンジェネラルやファイターなどを多く擁し、総数は1000を超える。
雑魚ゴブリンを250匹以上を小手調べで使ってきたことを考えれば、2000に達しているのかもしれない。
「1対1で魔力に余裕があれば大丈夫だと思う。
でも、魔力切れで剣で勝てるかって聞かれると、正直厳しいわ」
多分キングに会うまでに相当数のゴブリンを倒す必要がある。
道中魔力を節約しないと危ないかもしれない。
「分かりました。もしゴブリンキングが出たり、強力な敵が居たら、共鳴石で教えてください。
急いで駆けつけますので」
「そーくんは勝てるの?」
「多分。僕ってヒト型には結構強いんですよ。特に今回は森の中ですしね」
そう言って力瘤を作って見せてくれるけど、全然出来てないよ。
ふふっ。っと、笑っちゃいけないよね。
「あ、そうだ、リーンさん。ちょっとこっちに来てください」
「ん?なになに?」
そーくんに誘われるままに建物と建物の間に入っていく。
そっちに何かあるのかな?
ん?暗がりに来たところでそーくんが襟元を緩め始めたけど……。
って、あ、あれ?
このシチュエーション。この前読んだ戦争物の小説にあったよ?
これってもしかして、まさか男女の逢瀬的なあれなの?!?!
「そ、そそ、そーくん。
ちょっと待って。流石に突然過ぎるというか、心の準備が出来て無いというか。
確かにこれから戦いに行くから万が一って事はあるかもだし、別れる前の思い出作りって言うのは分からなくもないんだけど。
流石に初めてが外っていうのは女の子としてはその」
「?はい、どうぞ、リーンさん」
「私から攻めるの!?……って、あれ?」
そーくんを見ると首元の素肌が見えやすいように首を横に傾げている。
「えっと、さっきの戦いで大分魔力を消耗してしまってますよね。
この後の戦いはさっきより大変になると思うので、その前に血を少し飲んでから行ってください」
「え、あ!そ、そうよね。そーくんが突然そんな大胆な事を言うはずないよね」
あーはずかしい。
私一人で変な勘違いしちゃった。
今多分、顔真っ赤ね。良かった、ここが暗がりで。
「じゃあ、そーくんもこの後大変なんだからちょっとだけね」
そーくんを抱きしめる。
これだけでも今の私は大分元気になった気がする。
さらに首筋に歯を当ててちょっとだけ血を吸わせて貰う。
(あぁ、やっぱり素敵。もう何にも負ける気がしないわ)
「ありがとう、そーくん。これでゴブリンキングが何匹出てこようが蹴散らして見せるわ」
「あはは。頼もしいですけど、無理は厳禁ですよ」
「うん、そーくんもね」
「はい。じゃあ行きましょうか」
そうして私達は最後にもう一度ぎゅっと抱き合ってから、それぞれ別れて村を出た。
リーンさんは愛が溢れていると思って頂ければ(決して耳年増だったり、むっつりだったりはしない、はず)
次回はソージュ視点を(2話?)入れます。




