表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第1章:Eランクの僕と彼女
7/270

2-B マリアッジ学園都市の人々 その2

よろしくお願いします。

本作は主人公視点、ヒロイン視点、街の人たちや友人達の視点など、色々な角度から世界観を広げていこうと思います。

(特に記載が無ければ主人公視点です)


今回は冒険者ギルドの方々です。

ジバンリン暦52年3月1日 午後


Side マリアッジ学園都市 冒険者ギルド受付カウンター


受付カウンター担当のミューです。


毎年の事ですが、この季節になると学園への入学願書を出す為に多くの子供たちがこの都市に集まります。

そして、そのまま冒険者登録をする為にやってくる事も良くあります。

困るのは、そういった子供たちの多くが貴族階級で、遊び半分でやってくる事です。

残念な事に、冒険者稼業は常に危険と隣り合わせですし、楽な仕事なども一切ありません。

なので、遊び気分で来た子供達には懇切丁寧に事情を説明して帰って頂いています。


おや、珍しくきちんと冒険に適した服装の子供がギルドに入ってきました。

周囲を一望した後、迷わずこちらに来ます。

ますます珍しいですね。


「すみません」

「はい」


さて、この子も冒険者登録をしに来たのかしら。


「冒険者カードの更新をお願いします」


そう言って1枚の冒険者カードを取り出しました。

という事は、既に他の町で冒険者登録を済ませていたのね。

なるほど、それならこの服装もさっきの行動も納得だわ。


「えっ!?」


ただ渡されたカードは予想の外でした。

なぜ、こんな小さい子供がこのカードを持っているの!?


「少々お待ち下さい」


私は急ぎ奥の魔道具にて更新処理を行いました。

そうすることで、これを持ってきた彼がこのカードの所有者である事が確認出来るからです。

ソージュ・ライオネル。……ライオネル!?

なるほど、あの方のお子さんであれば納得です。

隼の子供は隼だという事ですね。



####



Side マリアッジ学園都市 冒険者ギルド買取カウンター


元Bランク冒険者のドランだ。


まったく、最近の冒険者の質の低下には困ったものだ。

薬草の類いは適当に毟ったものだったり、毒草が混在していたりでほとんど役に立たない。

魔物の素材にしても、皮は体中に傷を付けられて売り物にならないし、血抜きが不十分で肉も碌に食べられないものが多い。

多少なりともベテランに学べば少しはマシになるだろうがな。


ん?ミューが子供をこっちに案内してきた。

見たところ特に物を持っている訳じゃないようだから、アイテム袋持ちか。


「いらっしゃい。で、買取して欲しいものをこのカウンターに出してくれ」

「はい。あ、その前に買取価格表を見せて貰えますか?」


へえ。若いのに分かってるじゃねえか。

新しい街の冒険者ギルドに来たら、まずそこの物価を確認する。

そうじゃねえと、ぼったくられても気づけないからな。


「ふんっ。なんでぇ。何処かの貴族がお忍びで遊びに来たって訳じゃ無さそうだな」


俺が価格表を渡すと素早く目を通した。

表の見方も慣れているようだな。


「おじさん。パイル草とペンネ草、ホイの実は幾らで買い取ってくれますか?」


益々面白いガキだ。

価格表を見ておいて、その表に無いものを提示してきやがった。

しかも、付近に生息する魔物から考えて需要の高いものばかりときやがる。

あとは、こいつの持ってきた素材の品質次第だが。


「ほお、これは……」


何て奴だ。

採取の仕方もその後の保存方法も完璧じゃねえか。


「採取方法は文句なし。鮮度も上々だ。これなら2割増しで買い取ろう」


本来なら3割増しでも売れるところだが……ふむ。

そこは特に文句は言ってこない、いや、もしかしたらある程度は妥協しているのかもな。

この様子ならそれもありうる。


続いて取り出したのはグレイハウンド……いや、ハイグレイハウンドだろ、これ。

グレイハウンドの上位種だ。

しかもどれも頭部を正確に破壊してやがる。

これをこのガキがやったとしたら、かなりの使い手だ。


これならどんなに買い叩かれても1体1万は下らねえ。

つまり何が何でも10万用意したいって、そう言う事なんだろうな。


全くこの年で足元を見られる覚悟までして、

なおこっちがぐうの音も出ない交渉をしてくる。

大したもんだ。


無事に10万ジンが手に入って満足気に飛び出していきやがった。

全く、そこは礼をいう所じゃねえだろうにな。


「ドランさん」

「ミューか。言いたい事は分かってるよ。安く買い叩きすぎだっていうんだろ」

「いえ、先ほどの少年は、グラン・ライオネル様とメイラ様のお子様です」

「……マジか」


こりゃ、次会った時は今回分の色を付けてやらないと、俺の首が物理的に飛ぶな。

あからさまに隠し事をしておりますが、起きになさらずに。

ギルドの買取は最低金額は保障してくれますが、それ以上は要交渉、もしくはランクにより変動します。

今回は新人の交渉力を見るために、あえて低めに金額を提示しています。


#######


無事に受験費用も用意できたソージュ。

いよいよ試験当日を迎えました。


次回:入学試験が始まります

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ