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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第2章:Sランクの私と彼
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13-3 南の村へ

よろしくお願いします。


やばい、ストックが切れてきた。

私は24時間は活動できんのですよ。

私達は一路、南へと走っていた。全速力で。

目指すはゴブリンが大量発生して被害が出始めているという村だ。


ああ、身体が軽いわ。

ここ半月ほど着けていた負荷魔道具を外したのも大きいけど、何より全身に力が漲ってくる充足感。

そーくんの血を飲ませてもらったお陰で、まるで身体の奥から力が溢れてくるようだわ。


途中、追い抜かれた馬車の人が何事かと驚いてる。

まぁ気持ちは分かるわ。

突然早馬よりも早いスピードで追いかけて来たら魔物かって思うわよね。

そんなことを思いながらちらっと隣を見ると、何でもないように私と並走しているそーくんと目が合った。


「リーンさん。前方にゴブリンが居ます」

「また? 本当に多いね」


これで4回目。

いつもなら1、2回くらいなので、かなりの頻度だ。

これも南の山間部と関係があるんでしょうね。


「僕が右3匹やるので、左3匹お願いします」

「分かったわ」


話しながら魔力を練り上げる。


「アイスエッジ!」

「「グギャ」」


撃ち出された氷の礫がゴブリンの頭を吹き飛ばす。

よしっ。


突然仲間が倒されて慌てているゴブリンの元に、そーくんが飛び込んでいく。

傍目からは、横を走っているだけにも見えるけど、実際には首筋に鋭い一撃が打ち込まれていた。


ゴブリンの死体を横目に私達は移動を続ける。

本来は魔石を回収したり死体は焼き払った方が良いんだけど、数が多すぎるので放置。

1日と掛からずに他の魔物が食べてくれるはず。



そうして日が暮れて少しした頃に目的地の村にたどり着いた。


「ふぅ。5時間走りっぱなしって、何とかなるものね」

「ええ、慣れたら一日中走り続けるのも可能ですよ」


そう軽く返してくれるそーくんを見れば息1つ切れてない。

本当に1日中でも走れてしまいそうね。


「それはもう、持久力ではなく、自然回復力の賜物ね。

さて、この時間だし、酒場を探そうよ」


ある程度小さな村でも、1件くらいは酒場兼食堂はあるし、多くの場合、宿屋も兼任している。

この時間でも明るくて賑やかな家を探せば……あった。


カランカラン♪


扉を開けて中に入れば、村人と思われる男性が6人くらいと、武装した冒険者チームが2組がそれぞれテーブルを囲んで食事を取っていた。

私達はひとまず空いているカウンターに座る。

するとカウンターの向こうに居るマスターが声を掛けてきた。


「いらっしゃい。見ない顔だな。今日着いたのか?」

「ええ、ついさっき。食事を2人分お願いできるかしら。お酒はなしで」

「さっき?その格好からすると学園都市から来たんだろ。まさか歩いてきたのか。

……まあ、それなら腹減ってるだろ。ちょっと待ってな」


注文を伝える為に厨房に向かうマスターと入れ替わりに、冒険者チームの数人が声を掛けてきた。


「なあなあ、君達もゴブリン退治に来たんだろ。

だったらこっちに来て一緒に飲もうぜ」

「俺達男だけのチームだからさ。

たまには君みたいな可愛い娘と話がしたいんだ」

「ちょっとだけで良いからさ。

もちろんお代は俺達が出すからさ」


20代半ばの男性グループ。

何か情報が聞けるかもって一瞬思ったけど、期待出来なさそうね。


「ごめんなさい。

私達お酒は飲まないし、あまりゆっくりはしていられないの」


そうやんわりお断りしてみたんだけど。

酔っているみたいだし、ダメね。


「えぇ~いいじゃん、ちょっと位さ。

これから一緒にゴブリン退治する仲じゃん。

今の内にお互いの事知っておいた方がよくね?」

「そうそう。もう外も暗いしさ。明日にすれば良いよ。

絶対退屈させないからさ。

な、頼むよ。1杯だけ。1杯だけ付き合ってくれたら良いからさ。なっ」

「いいじゃんほら、あっち行こうぜ」


言いながら1人が私の腕に手を伸ばしてきた。


がしっ。


「あん?うっ!!」


その手は私に触れる前に掴まれた。

掴んだのはそーくんだ。

驚いた男性が振り返えろうとして、途中で固まった。え、なに?

これは……魔法じゃ、ない?まるでフリーズの魔法を掛けたように男性が動けなくなってる。


「てめ、離しやがれ」


顔を真っ赤にして呻く男性を無視して、そーくんは私を見て一言。


「ゴブリンが来ますよ」




マラソン程度の速度であれば、リーンさんも平気で2,3時間は走れます。

今回はかなりハイペースで走ってますが。


そしてチャラ男ってこんな感じでしょうか。

私とは縁がないもので。

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