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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第1章:Eランクの僕と彼女
61/270

12-3 Sランクの彼女

よろしくお願いします。


あと1話で第1章終了です(今日中にUPします)。

ここまで長かった……というか初期プロットを9割無視して人物設定以外役に立ってないし。

事件の起きた翌朝。

目が覚めると自分の部屋だった。


「えっと、何がどうなってるんだっけ」


たしかダンジョンでリーンさんが魔物を倒してくれたんだよね。

あ、そっか。それで安心して寝ちゃったんだ。

今自分の部屋に居るって事は、無事に帰ってこれたんだね。

そこまで理解したところで、ベッドの脇に控えていたキーヌが挨拶してきてくれた。


「お目覚めですか、旦那様」

「おはよう、キーヌ。昨日はご苦労様」

「いえ。旦那様の帰ってくる場所を守るのは私の務めですから」

「うん。ありがとう。

昨夜僕をここに連れてきてくれたのは、リーンさん、かな」

「はい。あとケイ様、ミラ様もご一緒でした」


よかった。みんな無事に何とかなったんだね。

よし、ならまずは今日も朝の日課に行ってこようかな。

そう思って起き上がる。

うん、体調も万全。むしろ軽いくらいって、そうか。負荷魔道具を外してるんだった。

魔道具を起動して、軽く準備運動をしたところで、再びキーヌが話しかけて来た。


「あの、旦那様。

今日くらいはお休みになっては如何でしょうか」

「大丈夫大丈夫。

体調は問題ないし、こういうのは毎日の継続が大事だしね」

「ですが、今日はいつもよりお目覚めが遅く、そろそろ夜明けでございます」


そう言ってる間に、東の空が明るくなってきた。

確かにこれは森まで行ってると朝の準備に間に合わないね。


「それと、昨夜からずっとリーン様が寮の前でお待ちです。

何かお約束をなされていたのではないですか?」

「え?いや、そんな記憶はないけど……」


答えながら窓の外を見る。

あ、ほんとだ。リーンさんが落ち着かない感じで寮の前に佇んでる。

っと、こっちを見た。

手を振ったら気が付くかな。

あ、気付いたみたい。


「キーヌ、ちょっと行ってくるね」

「はい、ご武運を」


ご武運をって、それはちょっと違うと思うけど。

さて、階段を下りるのも面倒だから窓から出てしまおう。


「よっと。おはようございます。リーンさん」

「あ、お、おはよう。ソージュ君」


あれ?なんだろう。

いつもと違って挙動不審というか、余所余所しいというか、もじもじしてるっていうのが正しい?


「えっと、昨日は助けて頂いてありがとうございました」

「う、ううん。むしろ助けられたのは私の方。

ダンジョンで倒れていた私に、その、あれを飲ませてくれたのよね」

「あれというか、何というか、はい」


僕の血を直接飲ませました、なんて言ったら、引かれるかな、やっぱ。

煮込み料理に動物の血を使うのはよくあるけど、直接は嫌がる人多いだろうし。

そう思ってたら、突然、リーンさんが僕の肩を掴んできた。


「お願いソージュ君!あれをもう一回飲ませてほしいの」

「え、えぇぇ!」


どういうこと?っていうか、リーンさん顔が近いから!


「もうね、昨日からあの味が忘れられなくて眠れないの。

本当は毎日飲ませてってお願いしたいんだけど、それは流石に恥ずかしいというか、ソージュ君からしたら年上の女なんて相手したくないかもなんだけど、むしろ年上好きだったら嬉しいな。でもでも私ってばドジな所もあるし、ソージュ君にも好みとかあるだろうし、既に心に決めた人が居るかもだし、その場合は私は2号さんでも良いんだけど、ソージュ君が望むなら朝でも夜でも頑張るし、むしろちょっとそっちも興味あるかもだけど、最初は優しくしてほしいなっていうか」

「え、り、リーンさん。ちょっとおちついて」

「だからその、私をソージュ君のパートナーにしてください!」

「…………えっ?」


途中からテンパって来たのか、マシンガントークを展開するリーンさん。

大分支離滅裂な内容だった気がするけど。


「えっと、パートナー?それは、まあ。学年違っても大丈夫なのであれば、パートナー組むのは全然大丈夫ですよ?」

「ほんと!? 良かったぁ。

じゃあ、早速ということで。目、瞑ってて」

「え?あ、はい」


ひとまず言われた通り目を瞑る。

なんだろう。

リーンさんのテンションがずっと高いままなんだけど。

パートナー組むのに何か特別する事ってあるのかな。

そんなことを考えてたら、首筋にかぷっと何かが被さる感覚があった。


チクッ。チュ~。


って、え?!

慌てて目を開けると綺麗なうなじが、じゃなくて、リーンさんが僕の首筋から血を吸っていた。


「えっと、リーンさん?」


僕が声をかけると、すぐに離してくれたんだけど。

これがパートナーになることとどんな関係があったんだろう。

目が合うと、僕の疑問のまなざしと、リーンさんの満足そうなまなざしが交差する。


「あれ?ソージュ君って『血の一族』、だよね」


恐る恐る聞くリーンさんだけど。


「『血の一族』って、なんですか?」

「えぇ! じゃあもしかして私の早とちり!?

それなら血の契約の事も知らないの?」


首を横に振る僕を見て、リーンさんは顔を青くしてしまった。


「そ、そうだったんだ。

昨日私に血を飲ませてくれたから、てっきり全部知ってるものかと思ってたよ。

うわぁ、どうしよう。私一人で勘違いしてとんでもない事しちゃった。

ソージュ君……もしかしなくても私のこと嫌いになっちゃった、よね。

突然血を吸っちゃったんだから、当然だよね」


と、今度は酷く落ち込んでしまった。

どうすれば良いんだろう。


「リーンさん。落ち着いて聞いてほしいんですけど。

リーンさんが血を好む種族なんだっていうのは、先日のお弁当の時から薄々知ってました。

僕の血が美味しくて健康に良くて、リーンさんの好物なんだってことも知ってます。

今のだって何か理由があって吸ったのだと思うし、それで嫌いになることは無いですよ」

「……ほんと」

「はい。今くらいの量で良ければ、定期的に吸ってもらっても大丈夫です。

ただ、僕の血の事は誰にも秘密にして下さい」

「うん、秘密にするわ、必ず!」


良かった。

やっとリーンさんが笑顔になってくれた。


「じゃあ、いったんこの話は終わりという事で。

これから朝食の準備をする必要があるので、いったん寮に戻りますね。

あと、今日はパートナーになった記念という事で、お昼のお弁当作っていきますよ」

「ほんと!? じゃあ、折角だから朝食の準備とか手伝うわ」

「ありがとうございます。じゃあ、行きましょうか」


そうして僕らは連れだって寮の食堂へと向かって行った。

お分かりかと思いますが、リーンさんのいうパートナーとソージュの考えてるパートナーは別です。

なぜそこまで一気に踏み込んだのかは2章で明らかになる、かもしれない。

まぁ大体は皆様のご想像のとおりですが。


########


無事に事件も終息し、リーンとパートナーになったソージュの新たな生活が幕を開ける。


次回:始まる僕と彼女の関係

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