12-2 家に帰るまでが事件です
よろしくお願いします。
今回もリーンさん視点です。
というか、ソージュは寝たままです。
そして怒涛の1日3話ラストスパート!
Side リーン
ソージュ君を背負って帰還用のゲートを潜る。
もしかしたら誰かの待ち伏せがあるかもと警戒していたけど、特に何もなくすんなりと外へ出れた。
私が45階層に飛ばされる前に居たのは23階層。
転移型のトラップは、確かにダンジョン内ではあるんだけど、飛ばされるのはせいぜい1,2階層で、ボス階層を跨いで深い階層に飛ばされる、なんて話は聞いたことが無い。
つまり何らかの特殊な魔道具が使われた可能性が高い。
トラップに引っかかる直前に、他の生徒から救援を求められて、そっちに向ったんだけど、もしかしたら、あの子がわたしを填めたのかしら。
でも1生徒が使うには強力過ぎる魔道具よね。
ま、その辺りは考えても分からないから、学園側に調査を依頼しておこう。
それよりもまずは、ソージュ君を寝かせてあげないと。
「む、そこに居るのはリーン先輩と、ソージュか」
「え?あ、ケイ君。それとミラちゃん」
「ご無事だったようでございますね」
サークル仲間で獣人のケイ君とミラちゃんが来てくれた。
無事だったかって聞くって事は、やっぱり私のピンチを知って助けに来てくれたんだね。
「うん。ソージュ君のお陰で私は何ともないんだけど、ソージュ君の方はこの通り、力尽きて寝ちゃってるの」
「ふむ、多少服が焦げている程度で大した怪我では無さそうか」
「それならお部屋の方にお連れするのが良さそうですね」
「そういえば、ソージュ君の部屋ってどこかな?」
「第2男子寮だと聞いている。寮母に聞けば部屋も分かるだろう」
「そうだね。まずは行ってみましょう」
2人を連れだって寮に向かう途中、私がダンジョンに潜っている間に起きてたことを教えて貰った。
「じゃあ、ソージュ君に恨みを持った人たちが暴走したって事?」
「ああ。ただそれだけでは無さそうでな。少なくとも奴らがリーン先輩にまで手を出せるとは考え辛い」
「今、問題を起こした人達はまとめて学園側で尋問して下さっています。
何かわかればこちらにも情報を頂けるそうです」
「そう。っと、ここが第2男子寮ね。何か騒々しいけど、こっちでも何かあったのかしら」
そこへ小さい女の子が、って違うわ。彼女は確か、
「ピクシークラッシャー」
「ふぇ!? 誰か呼びました?
って、あなたは確かリーンさんでしたね。2年Sランクの。
後ろの方は、ってソージュさん!?
ご無事なのですか??」
今はケイ君に背負われているソージュ君を見て心配そうにする、ピクシークラッシャーことルーメさん。
この様子だとルーメさんはソージュ君の味方みたいね。
「ソージュ君は今は寝ているだけです。
あの、この騒動は一体なんですか?」
「これは、ソージュさんのお部屋に悪さをしようとした子が居まして。
お説教とお仕置きをしていたところです」
えへへって笑う顔は可愛いけど、あれで確か元Aランク冒険者なのよね。
ちょうど去年、凄い人が寮母になったってちょっとした事件になってたっけ。
「えっと、私達これからソージュ君を部屋に寝かしに行こうと思ってたんですけど、大丈夫ですか?」
「はい。部屋は何ともないので大丈夫ですよ。付いてきてください」
そうしてルーメさんに付いて行って5階の奥まった部屋……倉庫?
綺麗に整理はされているけど、所々に真新しい傷があるのは、そういう事なんだろう。
そこから梯子で上の部屋へと上がっていく。
梯子を上がった先は、かなり広い部屋になっていて、窓際にメイドさんが一人佇んでいた。
って、メイドさん!?
「ルーメ様。先ほどはご助力ありがとうございました。
それと旦那様とご友人の方々、でございますね。
お初にお目にかかります。キーヌと申します」
そう静かに礼をしてくれるメイドのキーヌさん。
あっ、この子、人間じゃないのね。
「こんにちは、リーンです。失礼ですがキーヌさんは精霊、ですか?」
「はい。シルキーとよばれる精霊の一種です。今は旦那様のお部屋の守護をさせて頂いております。
さて旦那様は……なるほど。大分ご無理をなさったのですね。
ケイ様、ミラ様。ここまでお連れ頂ありがとうございます。
ここからは私がベッドまで運ばせて頂きますね」
そいって、ケイ君からひょいっとソージュ君を受け取って静かにベッドに寝かしつける。
あら?ケイ君たちの事は知ってたのかしら。
「ああ、いつもソージュ様がご友人の事を良く話してくださいましたから。
とても仲睦まじい獣人のお2人がいると伺っていたので、そうだろうと当たりを付けさせていただきました。
さあ。旦那様が起きられるのは明日の朝になるでしょう。
皆様もお疲れでしょうし、今日はお帰り下さいませ」
「そう、ね。そうしましょうか。
ソージュ君の事、後はお願いね」
「はい、心得ております」
キーヌさんに見送られて私達は帰路に就いた。
少しだけ心配だったけど、あの部屋に居る限りキーヌさんが居れば大丈夫よね。
ソージュは目が覚めたら家というビックリ現象です。
あと1,2話で第1章が終わりになるはず。
その後は数話は閑話とか入れつつ、第2章リーン編に突入する予定です。
第2章はもっとイチャラブ成分多めで行けると良いのですが。
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そして無事に事件も解決したかと思えば、リーンさんからビックリ提案がされるのであった。
次回:Sランクの彼女




