11-3 その頃、ケイ達は
よろしくお願いします
今回はケイ視点です。
流れ的に数字タイトルのまま進みます。
ジバンリン暦52年5月7日
Side ケイ
午後の基礎体術の講義を終え、ミラと共に応用剣術の講義棟へと向かった。
すると、いつもとは違う男性教師が俺達を迎えた。
「えー、今日は担当の先生が体調不良で休まれているので、臨時で私が本日の課題を伝えに来た。
本日の課題はダンジョン6階以降にて魔石を10個以上回収してくることだ。
では、各自準備をしてダンジョンに向かうように」
そう手短に伝えて去っていく教師。
「ふむ。先週までが5階だったことを考えると多少難易度が上がったことになるな」
「はい。それと、6階に行くにはボス部屋を抜ける必要がありますから、少々急いだ方が良いかもしれません」
「そうだな。早速行くとしよう」
そうしてミラと連れ立ってダンジョン5階へと向かう。
「ふむ」
「やはりこうなりますか」
5階のボス部屋前にたどり着いた俺達の前には、ボス部屋へ挑む学生の列が出来ていた。
ボス部屋は基本、1パーティー毎に入るのがルールである。
そのパーティーがボスを倒すか、中から扉を開けて戻るか、全滅判定を受けるか、一定時間が経過するまでは扉が開かない。
なお、学園ダンジョンは20階層までのボス部屋は全滅=死亡ではなく、戦闘続行不能または戦意喪失で判断されるらしい。
「仕方ない。しばらく待つしかないな」
そしてようやく俺達の番が回って来た頃には講義開始から40分以上が経過していた。
「さっさと終わらせて次に向かうとしよう」
「はい」
5階のボスはレッドオーガだ。
ここ最近ソージュとリーン先輩と訓練していた俺達には大した敵ではない。
俺はオーガに向かって走って行き、盾を使ってオーガの一撃をいなすと共にシールドバッシュを叩き込む。
そして体勢の崩れたところにミラが放った魔弾がオーガの頭部を吹き飛ばした。
「よし」
俺達は理想的な連携でレッドオーガを倒した。
ドロップした魔石を回収して6階へと向かう。
6階は俺達のほかにも大勢の生徒が活動しているのが見えた。
……どうやら2年、3年の生徒も混じっているようだ。
これまでそんなことは無かったのだが。
「ミラ。おかしくないか?」
「そうでございますね。予想外に人が多いですし、どこか監視されている気も致します」
「うむ。気のせいであれば良いのだが」
だが俺達の期待は外れた。
いや、悪い予想が当たったというべきか。
「これは意図的に狙われているようだな」
「はい。先程から私達に近い魔物を優先して攻撃されていますね」
そう、俺達の所に1匹も魔物が来ないのだ。
いや、正しくは狙った魔物が他の生徒に先に奪われるというべきか。
別の場所に移動しても周りの生徒は付いてきた。
いったい何が起きているのか。
と、そこにソージュから共鳴石で連絡が入った。
『ケイ、ミラさん。そっちは無事?』
無事かと聞くということは、ソージュのほうでは明確な事件が起きているのだな。
『こちらは少々面倒なことになっているが、大した問題ではないな』
それにしてもソージュの話によるとリーン先輩が音信不通とはただ事ではないな。
「ミラ。急ぎ魔石を集めてソージュのところに向かうぞ」
「はい。では参りましょう」
俺達は左腕に付けている負荷魔道具を停止させて、一直線に次の階へと走った。
「なぁ!?」
「はやっ!!」
急に走り出した俺達を見て、驚いた声を上げた者達の顔を覚えつつ、一気に7階へと移動する。
よし。予想通り、こちらの階層は人が少ないな。
それにしても。
これだけ大人数の学生を動員しての今回の騒動。
裏で手引きしているのは何者なのか。
あと、さっきちらっとニックキン先輩の姿も見かけたが。
まあ今はそれを考えても詮無き事か。
魔石を集めた帰り、もしかしたら道を塞がれるかと思ったが、その心配は無く無事に地上に戻ってこれた。
しかし。
地上に出たところで学園北西側で爆発が起きた。
あそこは確か、ソージュがこの時間に活動している場所ではないか!!
くっ、ソージュ。
無事で居てくれよ。
なんというか、姑息な足止め作戦です。
次回はソージュ視点に戻ります。
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魔道具の爆発後、ケイ達と合流するソージュはリーンさんの元へ向かう為に一計を案じる。
次回:共鳴石のつながり




