11-2 まずは目の前の問題から
よろしくお願いします。
もう少しだけ汚い言葉遣いが続きます。
リーンさん、どうしたんだろう。
リーンさんの実力を考えると早々やられるとは思わないけれど、もしかしたら僕の方には雑魚を送って、リーンさんに凄腕の暗殺者とかを送ったのかもしれない。
あと、この人たち、僕が連絡を取り終わるまで待っててくれたみたいなんだけど、なんなんだろう。
馬鹿なのかな。
と思ったらようやく動き出した。
「Eランクごときが共鳴石を持っているとは驚いた。
だがこれで自分の置かれている状況がよく分かっただろう」
「大人しくしてりゃ命までは取らないかもな」
「まあ、その共鳴石やアイテム袋は置いてってもらうがな」
そう言いながら僕を取り囲む男達はざっと100人といったところか。
その内、胸にバッジをつけているのは30人くらい。
学生じゃない人たちはどうやって入り込んだんだろう。
まあ、それは今はどうでもいいや。
「ねえ、状況が把握しきれなかったから、のんびりしている暇が無いんだ。
邪魔をするなら容赦出来ないから、消えてくれないかな」
そう言いながら、少しだけ殺気を放つ。
「うっ、なんだこいつ」
「なんなんだ、本当にEランクなのか!?」
「なななんだよ。ただのコケオドシだろ」
僕の殺気を受けてひるんだのは4割か。って学生がほどんどか。情けないなぁ。
ただ、後ろの方でこそこそ動いている人がいるな。
「おい、例の魔道具の準備はまだか」
「もう少し。よし、出来た。起動するぞ」
その声を合図に、僕と男達を囲むように結界が張られた。
……?
今の所、特に何も感じないけど、これは何の結界だろう。
「へっ。この結界が何か分からないか。
所詮まともに講義も受けられないEランクだな。
これは制限結界だ。
この結界内では剣しか使えないし魔法も抑制される。
本来は剣術の試験で使うものだが、こっそり拝借してきたのさ」
わざわざ解説してくれる、後ろで偉そうにしてる男子学生A(仮)。
ただそれって、僕に何かデメリットがあるんだろうか。
「分かってないって顔だな。
つまり剣が使えないお前は、この結界の中では一切の武器が封じられたって事なんだよ」
ニヤニヤしながら、男達が剣を構える。
うーん、どっからどう見ても真剣だ。殺す気まんまんじゃないか。
それにみんなは勘違いしているみたいだ。
「えっと、1つ訂正しておくと、僕は一切の剣が使えない訳じゃない。例外はあるんだよ」
そう言ってアイテム袋から木剣を取り出す。
「ぎははははっ。なんだよそれ。
格好付けておいて、木剣とか。
馬鹿じゃねえの」
おかしい。笑われてしまった。
まぁいっか。説明する時間も勿体ないしこのまま通らせて貰おう。
僕が一歩前に出ると、笑うのを止めて正面に居た学生ふたりが斬りかかって来た。
「うらぁ」
「くたばれEランク!」
えぇっと。剣術の講義ってなに教えてるんだろう。
剣筋が雑だし腰が入ってないし連携も出来てない。
こんなんじゃウサギも満足に切れないんじゃないかな。
バッジを見れば剣術Cランク。
はぁ、まあいっか。
僕は半歩前に出て、前に来た少年の手首を袈裟斬りに打ち、返す刀で側頭部を小突く。
「ぐげっ」
変な声を出しつつ倒れる少年。
更に一歩前に出て次の少年の、なぜかがら空きの脇腹に剣を当てて押す。
「ぐふっ」
押された少年は取り囲んでいた人垣まで吹き飛んだ。
「おい、なんだ今の」
「一瞬でふたりやられたぞ」
「本当にEランクなのか?」
「ぐっ、くそ。かまわないから、全員で一斉に切りかかれ!!」
「「おうっ!!」」
男子学生Aの声に合わせて、全員が前後左右から襲い掛かってくる。
お互いの位置取りとか全然考えてないな。
僕は一気に前に出て正面の男の腕を掴んで引き倒しつつ、反動で更に前に行く。
更に前に居た男も同様に引き倒していけば、囲いの外へと抜け出していた。
ただ。
「うぎゃっ」
「いてぇ」
「てめぇ、何しやがる」
「突然俺の前に出てきたお前が悪いんだろ」
「なんだと」
長物を持った集団が1箇所に突撃していけば、同士討ちが起きて当たり前だ。
それが連携の取れていない者どうしなら尚更だ。
さて、そいつらが団子状態になっているうちに、後ろで指示を出していた男子学生Aと向き直る。
彼がこの集団のリーダーと見ていいだろうか。
「ひぁ、く、くるな!」
僕が剣を向けると、さっきまでの威勢が消えて、後退りだした。
ん?さっき地面に設置してた魔道具とは別に何か持っているな。
嫌な感じがするし破壊させてもらおう。
「はっ」
男子学生Aの手ごと木剣で殴って魔道具を落とさせる。
更に落ちた魔道具に対して思いっきり木剣を振り下ろした。
「バキッ!!」という音と主に魔道具に罅が入る。
そして、次の瞬間。
魔道具に封じ込められていた魔力が大爆発を起こしたのだった。
発動後、手を放すと爆発するトラップ。証拠隠滅も兼ねた魔道具でした。
何の魔道具だったかは、次回に。
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無事に囲いを抜けるも魔道具の爆発に巻き込まれたソージュ。
一方その頃、ケイ達の身にも悪意の手が差し伸べられていた。
次回:その頃、ケイ達は




