表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第1章:Eランクの僕と彼女
48/270

10-3 サークルの方針が決まりました。

よろしくお願いします。

本日3話目です。


ケイとミラさんについてはこれで良いとして。


「あとは僕とリーンさんの目標を何か決めましょう。

リーンさんは、何かやりたいことってありますか?」

「私?うーん、そうね。卒業後の話で良ければ、人探し、かな」

「それって、以前話していた、子供のころにお世話になった冒険者の人、ですか?」

「ええ。会ったのは10年以上前だから、今元気だとしたら30歳くらいかしら。

名前も何も分からないんだけど、会えばきっと分かると思うし、あれだけの人だから調べれば各地に軌跡が残ってると思うの。

それを学園を卒業したら世界中を旅しながら探してみるつもりよ」


そっか。うん。リーンさんはやっぱり今でもその人の事が好きなんだね。

なら僕も全力で応援してあげないと。


「そうすると、在学中に何をするか、ですけど」

「それなんだけど、いま勇者様のスキルについて調べてるの」

「勇者様って言うと、学園を創設した人ですか?」

「ええ。伝説では、勇者様は空を飛び、離れたところへも一瞬で移動していた、なんて説があるのよ。

それってもしかしたら転移魔法や時空魔法の可能性があるの。

それの使い方が分かれば、私自身は無理かも知れないけど、過去のあの人に手紙の1つくらいは送れるんじゃないかなって思って」


時空魔法。時間と空間を操る魔法。

一説には時間停止型のアイテム袋も時空魔法を応用した魔道具だって言われている。

かの勇者様のお陰で時間停止しないアイテム袋は製法が伝わって、まだ高価ではあるものの人の手で作ることも可能だ。

でも空間魔法や時間魔法については受け継いだ人はいない。


「分かりました。僕も勇者様のスキルについて調べたいことがあったので空いてる時間で調べてみますね」

「それなら俺達も一緒に調べてみよう」

「はい。ソージュ様の調べたい事も教えていただいても宜しいですか?」

「あ、うん。僕が知りたいのは『基礎』スキルと、希少種族に関することについて、だね」


僕がそういうと他の3人が顔を見合わせた。


「ソージュ、希少種族ってのはあれだよな。勇者様が学園創設後に積極的に保護していたっていう。

でも、基礎というスキルは聞いたことが無いのだが」

「うん、そうね。1年生の間に基礎は大事だってよく言われるけど、それがスキルとして身についたって人は聞かないわね」

「あれ、そうなの?

僕はお父さんから『基礎スキルは勇者様が最も重要視したスキルだ』って聞いてたんだけど」


その言葉を聞いてリーンさんは一瞬考えて何かに気が付いたようだ。


「講義では『勇者様は基礎を最も重要視していた』って教わるんだけど、『スキル』って言葉を付ければ同じになるわね」

「それはつまり、伝承が伝わる中で『スキル』が抜け落ちた可能性があるのですね」

「うむ。調べる価値はありそうだな」

「あと、僕のステータスにも『基礎』ってスキルはあるんだ。今のレベルは、8だね」

「もしかしたら、それがソージュ君の強さの秘密なのかもね」

「ああ、ありえるな」


そうして僕達が盛り上がってきた所に、マスターが紅茶のお代わりを持ってきてくれた。


「もし皆さんがこの学園を創設されたあの人について調べるのであれば『救命士』または『救星士』について調べてみるといいですよ」


カップを置きながらそんなことを教えてくれた。

……あれ?


「マスターが勇者様とは呼ばずに『あの人』って呼んだのはなぜですか?」


そう聞くとフッと笑って答えてくれた。


「父からの受け売りですが『僕は勇者の代理であって、勇者じゃない』っていうのがあの人の口癖だったらしいですよ」

「え、じゃあもしかして学園の図書館に勇者様に関する書物が少ないのってそれが原因なのかしら」

「そうでしょうね。きっと『勇者』で調べると別の勇者についての書物の方が多いでしょう」

「確かにそうだったわ」


なんというか、寝耳に水だ。

子供のころに読んだ絵本とかでも、ずっと『ゆうしゃさま』って書いてあったから、勇者様は勇者様なんだって思い込んでいた。


「その流れでいうと先程の『救命士』『救星士』が勇者様のクラスだったということですね」

「ええ、そう聞いています」

「貴重な情報、ありがとうございます」

「いえいえ。私もソージュさんが『基礎』スキルを持っていると聞いて嬉しくなったものですから。では、ごゆっくり」

「えっ?」


っと。最後の一言はなんだったんだろう。

聞き返す前にカウンターへと戻っていってしまった。

ただ、


「これで調べる方向性はだいぶ絞れたね」

「ええ。もしかしたら図書館だけじゃなく、街の人たちに話を聞くのも良いかもしれないわね」

「もしくは、かの勇者の訪れた土地を巡ってみるのも何かヒントが得られるかも知れぬな」

「ええ。長期休暇の際に遠出してみるのも良いかもしれません」

「うん。じゃあ、普段は学園の図書館を調べたり、街のお年寄りを中心に聞き込みをして、長期休暇で予定が合えば皆で遠出してみよう」

「遠出先も休暇までに候補を絞っておけば良いわね」


そんな感じで僕達のこれからの活動方針は決まった。

これから学園生活もどんどん楽しくなっていきそうだ。



前作を読んで下さっている方には気付かれていると思いますが、

本作品は前作「手当ての達人」の約55年後が舞台となっています。

前作を読んでいなくても楽しめる作品にしていきますが、前作を知っていると、

「あ、あの人の子孫がこんなところに!!」

みたいな楽しみ方は出来るように小ネタを仕込んでいます。

ちなみにソージュ君はあの人の孫、という設定だったり。


###########


サークルの方針も決まったところで早速動き出すソージュ達。

そして図書館に向ったソージュとリーンは。


次回:図書館へ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ