9-1 サークル説明会が始まります
よろしくお願いします。
ここに来て、ようやく曜日の説明が入ったりしてます。
ジバンリン暦52年4月18日
入学式から3週間が経ち、大分学園生活にも慣れてきた。
あ、そうそう。
昔はまた違ったらしいけど、今は6日で1週間、5週間=30日で1月と数えられる。12ヶ月で1年だ。
1週間は、木の日、火の日、土の日、金の日、水の日、天の日から出来ていて、天の日の次は木の日となる。
天の日、つまり今日は学園はお休み。
なんだけど、寮は朝から慌しく活動していた。
というのも、今日は学園恒例のサークル説明会の日なんだ。
サークルの規模や実績によって学園から補助金や活動場所の支援などが受けられるらしく、どのサークルも新人獲得に必死だ。
サークル活動か。
お父さんたちの話では、学園生活の青春の1ページがそこにある!!
なんて力説してたけど、どうなんだろう。
僕の場合、午後の講義はほとんど受けられないので、冒険者ギルドの活動を行おうと思っている。
手持ちの資金としてもそっちの方が潤うしね。
でもまあ、折角だからケイ達を誘って、見るだけ見てみるかな。
そうして共鳴石で連絡を取ったところ、2つ返事でOKが貰えたので、僕たち3人は説明会の会場となっているグラウンドの入口で合流した。
まあ、それは良いんだけど。
「ふむ、すごい人の数だな」
「まるで王都の朝市のような活気でございますね」
「もしくはお祭りだね」
そうなのだ。
各サークルのブースはキチンと区分けがされているし、通路も広めに取ってはあるんだけど、どうしても人気のサークルの周りには人だかりが出来るし、そのせいで人の流れも滞っている。
更には先々で直接勧誘行為が行われるために進まないこと甚だしい。
「これは全部を見て周るのは無理だね」
「そうだな。気になるブースを絞って見に行くべきだな」
「ケイ様、ソージュ様、こちらを。会場の案内図を配っていたので、頂いて参りました」
「うむ」
「いつの間に。ミラさん、ありがとうございます」
貰った案内図を見ると、
『勇者研究部』『ダンジョン攻略部』『冒険しようの会』『究極フォースバウト部』『必勝フォースバウト会』
『魔物研究会』『調薬研究部』『スキル研究会』『ものづくり会』『料理研究部』などなど様々だ。
「この『フォースバウト』ってなんだろうね」
「お!!そこに目が行くとは、やるな少年」
突然横合いからガタイの良い男性から声を掛けられた。
「あのーあなたは?」
「おっと、自己紹介がまだだったな。
俺は究極フォースバウト部副将の3年ニックキンだ。
フォースバウトっていうのは特殊な魔道具をつけた状態で行う1対1、2対2または4対4の決闘競技だ。
魔道具が防御壁の役目を担っていて、その防御壁が破壊されたら負け、というのが基本ルールだな。
もちろん防御壁が壊れたプレイヤーに故意に攻撃するのは禁止だ」
なるほど。
少人数の対人戦をスポーツの一環としてやっている訳だ。
「相応の実力が必要になるのでCランク以上であることが参加条件になるが。
あー、君は無理そうだな。
そっちの2人は、おぉAランクか。
是非どうかね。フォースバウトを極めれば対人戦は勿論、魔物と戦う時にも十分に役に立つぞ」
早々に僕に見切りを付けるニックキン先輩。
ケイとミラさんはお互いに目を合わせて頷きあってる。
「すまないが、他を当たってくれ」
「申し訳ございません」
「うっ、なぜだ。それだけランクが高ければより高みを目指すべきだろう。
それともまさか『必勝フォースバウト会』に入る気なのか!?」
「いえ、どちらにも入る気はございません」
「それに高みというのであれば、既に目指すべき指標を見つけているのでな」
そう言ってケイとミラさんが僕を見る。
って、目指すべき指標って僕!?
それを見てなぜかニックキン先輩は顔を赤くして怒り出した。
「なっ!? 我々よりもそこのEランクの方が優れているとでもいうのか!
なんたる侮辱。幾ら右も分からぬ新入生とは言え、看過できん。
おい、Eランク。
俺はお前に2対2のフォースバウトによる決闘を申し込む!!
よもや逃げたりしないだろうな!!?」
ええーっと、どうしてそうなるんだろう。
おかしい。予定では平和にサークルを見て周る予定だったのに。
おのれ筋肉達磨め。
長くなりそうだったので切ります。
##########
サークル説明会中、なぜか決闘を申し込まれたソージュ。
しかしそこに横から声がかかるのだった。
次回:波乱の説明会




