表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第1章:Eランクの僕と彼女
30/270

6-2 リーンさんとブラッドベリー

よろしくお願いします。


久しぶりのいちゃいちゃ回です。

クラスが殺伐としてる反動がこっちに(笑)

「こんにちは、リーンさん」

「こんにちは。ソージュ君」


あ、ちゃんと名前覚えててくれたんだね。

ただその視線は僕の持っているブラッドベリーに釘付けだ。

試しにブラッドベリーを右に動かしてみる。


ツツーー……

ススーー……


ばっちりリーンさんの視線も流れていく。


「えっと、良かったら食べますか?」

「!? いいの??」

「はい。もちろん」

「わぁありがとう!!」


僕がブラッドベリーを差し出すと、ササっと受け取って、僕の隣に座っていた。

そしてすぐさま1粒摘んでじっくりと噛み締めている。


「ん~~~すっぱ~い!!」


あ、しまった。僕好みのすっぱいのを渡しちゃったよ。

びっくりしちゃってるけど大丈夫かな。

……と僕の心配をよそに、リーンさんは凄い勢いで食べ始めた。


「はぁぁ。やっぱりブラッドベリーと言えばこのすっぱさよね!!

って、ああっ!?もう無くなっちゃった!!」


恍惚な表情をしたと思ったら、今度はこの世の終わりのような表情に変わった。

そして今度は縋るような目で僕の方を見てくる。

あ、これはお代わりを求めてるんだね、きっと。

幸い、アイテム袋の中にはまだまだ残ってるから、リーンさんの手の上にこぼれない程度に出してあげる。


「えっ、ソージュ君。こんなにもらっていいの!?」

「はい。アイテム袋にまだ入ってますし、近場で群生地も見付けたから、今度ジャムでも作ろうかと思ってたんですよ」

「ジャム!?そ、ソージュ君、ジャムまで作れるの!?」

「去年作ったので良ければプレゼントしますよ」


僕がジャムの瓶を取り出すのを見て、リーンさんは慌てて手に持っていたブラッドベリーを自分のアイテム袋にしまった。

そして、恐る恐るジャムの瓶を両手で受け取る。


「ごくっ。そ、ソージュ君!

ひとくち。ひとくちだけでいいから味見させてもらっても良い??」


上目遣いで聞いてくるのがちょっと面白い。

まるでプレゼントを貰って早く中身を知りたくてウズウズしている子供みたいだ。


「良いも何も、それはもうリーンさんにあげた物ですから、好きなだけ食べてください」

「うん♪じゃあ、今はひとくちだけ」


瓶の蓋を開けて、アイテム袋から自前の木の匙を取り出す。


そして…………………………って、そんなに構えなくても良いと思うんだけど。

リーンさんは30秒くらい掛けて、ようやくジャムを掬って自分の口へと運ぶ。



突然、ツゥーーっとリーンさんの目から涙が溢れていた。

って、え!?


「すみません。もしかして泣くほど不味かったですか!?」


慌てて聞いてみると、ふるふると首を横に振ってくれた。よかった。

じゃあ、なんで泣かせてしまったんだろう。


「ごめんなさい。ソージュ君は悪くないの。

ただね。とっても懐かしい味だったから、ついね」


そう言ってジャムの蓋を閉めてアイテム袋に仕舞ってしまうリーンさん。


「あれ?もう食べなくて良いんですか?」

「うん。このまま食べ続けてたら午後の講義受けられなくなりそうだから。

また部屋に戻ってからじっくり食べるわ」


ハンカチで涙を拭いて立ち上がるリーンさん。

何というか、物凄く元気になったみたいだ。


「今日は本当にありがとう。

って私ばっかり貰ってるわね。何かお返し出来ると良いんだけど……。

あっ、そうだ。これ、受け取ってもらえる?」


そう言って取り出したのは、青い宝石。あっ。


「共鳴石、ですか?」

「そう。よく知ってるわね。

先日ダンジョンの40階で10個くらい手に入ったの。

だから今日のお礼に半分受け取って」


そう言って共鳴石を5つもくれた。

あ、共鳴石っていうのは、魔力を登録しておくことで、お互いの位置が確認できたり通信が出来る便利アイテムだ。

アイテム袋もそうだけど、廉価版が普及してきたとは言え、ダンジョン産はまだまだ高値で取引されている。

多分オークションに行けば1セット100万以上するだろう。


「こんなに貰っちゃって良いんですか?」

「うん。それに……これで何時でも連絡が取れるでしょ♪」

「あ、なるほど。ブラッドベリーが食べたくなったら何時でも呼んで下さい」

「そ、そそその為に渡した訳じゃないんだよ」

「あははっ。分かってますよ」


ちょっとした事で慌てるリーンさんは年上なんだけど、可愛く見えてしまう。

っと、時計を確認すれば、もう昼休みも残り10分といった所だった。


「そろそろ午後の講義の時間ですね」

「そうみたいね。じゃあ、またね。ブラッドベリーありがとう♪」

「こちらこそ、ありがとうございました」


そう言って走り去っていくリーンさんを見送って僕も立ち上がる。

さ、午後からは基礎体術だったな。


リーンさんとブラッドベリーの馴れ初め?は第2章か3章くらいで。

別にちょろいんな訳では無いんですよ、きっと。


########


リーンと別れて午後の講義に参加するソージュ。

午後は基礎体術と魔術の講義が待っていた。


次回:午後は身体を動かす時間

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ