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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
最終章:Eランクより
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48-3 前哨戦

お待たせしました。


必死国の代表4人のうち2人がステージから降り、残りの2人と私達4人が向かい合い、武器を構えた。

と、思ったらなんだ?

光る(・・)剣を携えた剣士が、また意味不明の前口上を話し始めた。

というか、まだ続けるんだ。


「聞け、下劣なる魔王の手下どもよ。

我ら人族がお前達に虐げられて幾星霜。

心を痛めた神は遂に我らをこの地へと遣わした」


……何の話だろうか。

隣に立っている魔法使いもうんうんと頷いているけど、全く意味不明だ。

そもそも魔王とは何の話だろうか。

というか、今のうちに攻撃しても良いだろうか。

と、漸く良くわからない話が終わるようだ。


「喰らうがいい。我が神の鉄槌を!!」


そういって突然光る剣を振るってきた。


「むっ」


振るわれた剣から光線が伸びてきたので慌てて飛び退いた。


ズバッ!

「チッ、避けたか」


いや、普通避けるだろう。

光が走った後を見ればステージに切れ込みが入っていた。

なるほど。見た目と裏腹に威力はあるらしい。

全く無茶苦茶だな。

あの男にはそれほど脅威を感じないのに、この魔力は一体どこから出てくるのか。


「ふむ、では次は僕の番だね。

『大いなる神々よ。我が呼びかけに応え、その奇跡を顕現させよ。

天の怒りよ、地の嘆きよ、その力を我が敵に示せ。バニッシュメント!!』」


続いて魔法使いが良く分からない上から目線の呪文?を唱えた。

その魔法使いの杖から、これまた光線が迸った。

ただその速度も遅ければ狙いも適当だ。

当然私たちは避けるのだが、魔法が当たった地面が大爆発を起こした。

それを見て私達は顔を突き合わせる。


「……どう思う?」

「おかしいですわね」

「ああ、奴らの本来の能力と攻撃の威力が一致していないとしか思えないな」

「ええ。恐らくは外部から魔力供給を受けているのはないでしょうか」

「なるほど。まさか、例のダンジョンから魔素を奪う魔道具がまだ機能しているのか?」

「各ダンジョンからは無事に遮断できたと連絡を受けていますわ」

「なら自国内にもダンジョンがあったのかもしれないな」

「なるほど。確かにその可能性もあるか」


本来ならそれほどの大量の魔力を扱うには相当の技術と能力が必要なはずだが、彼らからはそれが感じられない。

恐らく異世界から召喚した際に起こる変質によって扱えるようになったのだろう。

それゆえに酷く歪な能力だ。

あと、彼らにはここに立っている責任を理解していないようだ。

まるでお遊びのようにしか私の目には映らない。


「彼らの茶番に付き合うのはここまでにしようか」

「そうですわね。さっさとご退場頂きましょう。私達であの剣士の相手をしましょうか」

「ふむ。なら俺たちがあの魔法使いを倒すか」

「ええ、参りましょう」


私とケイが一気に距離を詰め敵に必殺の一撃を放った。


ギンッ!

カンッ!


確実に入ったと思った一撃は、しかし手前で何かに阻まれた。

ただ、その迫力に相手は尻もちをついているが。


「は、はは。ビビらせやがって。俺の神盾(アイギス)は無敵なのさ」

「そ、そうだとも。僕の絶対障壁が破られるものか」

「ならば本当に無敵か試してみようか」

「そうだな。ミラ、やるぞ」

「はい、ケイ様」

「お兄様は右へ!」


妹の言葉を受けて右に飛ぶとすかさず雷撃の魔法が剣士へと飛んでくる。

なるほど。確かに剣士を中心として半径1メートルに満たない防壁が展開されているようだ。

さらに魔法使いの方を見れば、雨あられと魔弾が撃ち込まれ、その隙間にケイの斬撃が決まる。

それらも魔法使いの手前で防がれているようだ。

だが。


ビシッ!!パリンッ!!!


如何に強固な防壁であっても限界はあったらしい。

立て続けに行われる攻撃にとうとう表面に罅が入ったかと思うと砕け散った。


「くそっ。よくも俺のアイギスを。こうなったら、くらえ!俺の究極奥g」

「前置きが長い!」


ズバッと私の剣が相手剣士を袈裟切りにした。

その衝撃で相手はステージから叩き出される。


「ふむ。肉体も強化されているのか。これなら一命は取り留めたようだな」

「なっ。ヒカル!!くそっ、よくもヒカルを。

ならば我が終末の劫火で焼き付くぐはっ」

「お前も長い」


ケイの容赦のない右ストレートが魔法使いの顔面に突き刺さった。

結果、魔法使いもヒカルと呼ばれた剣士に折り重なるようにしてステージ外で昏倒している。

さて、これで残るは2人だな。



予定通りの当て馬2人。


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