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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
最終章:Eランクより
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46-4 治療&救出

いつもありがとうございます。

お陰様で何とか残酷な描写は回避しています。

あ、残酷な描写が好きな方は脳内でご自由に捕虜収容施設とか植民地時代の写真とかをイメージしてください。

続いて外に繋がる扉に手と耳を当てて様子をうかがう。

通路に人の気配はなし、と。

僕は手早く扉の鍵を破壊して外に出た。

薄暗い通路を挟んだ向かい側に話にあった扉がある。

右手に上り階段、左手に別の扉があり、そちらから強力な魔力を感じる。

恐らくそちらに魔力の貯蔵庫のようなものがあるんだろう。

そっちは後回しだ。


問題は向かい側の部屋だ。

調べてみると本当に微弱な魔力が感じられる。

僕は深呼吸を一つしてから扉を開けた。


「くっ」


開けた瞬間、むわっとした熱と共にひどい汚臭が流れ出してくる。

部屋の中にはすし詰め状態で座ることすら出来ずにふらふらになっている人たちで溢れていた。

一体どれくらい前からここに押し込められていたんだろう。


「みなさん、大丈夫ですか?助けに来ました。

ゆっくりで良いので、隣の部屋に移動してください」

「う、うぐっ」

「ふぅ、はぁ。助かった、のか」


扉側に居た人たちは比較的元気が残っている方だろう。

なんとか自力で動けるようだ。

ならその人たちが移動している間に前の部屋に戻って準備をしよう。

アイテム袋から横になれるマット、回復薬を薄めたドリンクコーナー、体を清められる水浴びとタオルなどを用意していく。

っと、第1陣が来たので早速使ってもらう。

ただ、僕一人じゃ手が足りないか。


『キーヌ、来てもらえる?』

『はい、喜んで』


返事と共にキーヌが転移してきた。

その瞬間、部屋の中に花の香りが広がる。


「お待たせいたしました、旦那様」

「キーヌ。早速で悪いけど、隣の部屋に衰弱した人が大勢いるんだ。

その人たちの救助をお願い」

「はい、畏まりました。

あの旦那様。申し訳ないのですが、迅速に対応するために、旦那様の血を分けて頂いてもよろしいですか?」

「うん、もちろん」


キーヌから差し出された手の上に、僕は手首をさっと切って血を垂らした。


「ありがとうございます。あ、そんなに。もう十分です」

「そう?」

「はい。旦那様はどうぞこちらで休んでいてください」

「いや、僕も手伝うよ」

「いえ。では、この部屋に連れてきた方を外に運ぶのをお願いしてもよろしいですか?」

「……隣の部屋には入らない方がいい?」

「ご用意が出来るまでは」

「分かった。じゃあ、任せるよ」

「はい」


隣の部屋に向かうキーヌを見送り、僕は動かしても大丈夫な人を一人負ぶって、穴から外へと出た。

洞窟を抜けた先。

そこには洞窟を掘ったときに出た土で出来た壁が出来ていた。

さすがキーヌ。予めこっちに呼んでお願いしておいたんだけど、期待以上の出来だ。

あとはさっき逃がした人たちが思い思いに休憩していた。

そのうちの一人が僕を見つけた。


「お、君は。無事だったか」

「はい。どなたかこの人をお願いします。

あと、体力の残っている方、来てもらえますか?

自力でここまで来れない人が大勢居るので、運ぶのを手伝ってほしいです」

「ああ。任せろ。みんな、手の空いてる奴は一緒に来い。応援に行くぞ」

「あいよ」

「おおさ」


次々と手を挙げた人たちを連れて施設へ戻ると、すでに50名近くが最初の部屋に運ばれていた。

どの人も体はきれいにしてもらっているけど、立ち上がる体力も無いようで地面に横たわっている。

意識の無い人も多い。


「運ぶ前にこちらの水をゆっくり飲ませてからにしてあげてください。

ゆっくりで良いですから」


一緒に来てくれた人たちに指示を出してから部屋を出て、隣の部屋の扉をノックする。


「キーヌ、もう入っていい?」

「はい、旦那様。どうぞ」


返事を受けて扉を開ける。

すると今度はさっきの熱気も臭気もなくなっていた。

部屋の中を見ると、緑色だった。……ジャングル?

まるで人の間を縫うように植物が蔓を伸ばし、残っていた人たちを絡めとっていたので、一瞬食人植物かなって思ったけど逆だった。

その植物は部屋中にあふれていた汚物を吸収して栄養に変換して、人たちに点滴の様に送っていた。

根元の部分は僕の目に触れないように上手く隠してくれているようだけど……。

でもそのお陰でまだ息のあった人たちは少しずつ血の気が戻っている。


「キーヌ、つらい役目を押し付けてごめんね」

「いえ、私は慣れておりますので」

「この人たちはどれくらいで動かせるかな」

「今すぐにでも。この子達は自力で動けますので」


この子っていうのは、この植物のことかな。

キーヌの合図を受けてするすると動く植物たち。

なるほど。確かにこれなら手で運ぶより安全に早くできそうだ。


キーヌさんが綺麗に対応してくださっていますが、当然全員無事だった訳ではありません。

ソージュも色々と思うところはありますが、ここで爆発させるわけにも行かないので溜め込んでいます。

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