43-4 引っ越し
よろしくお願いします。
今回のタイトル「夜(朝)逃げ」とどっちにしようかと悩みましたが無難なこっちになりました。
翌朝。
詳細は省くけど朝食も大賑わいだった。
その片付けが終わった所で、子供たち全員を居間に集めた。
「みなさん。今日は大事なお知らせがあります。
私達はこれから、お兄さんたちの計らいで別の街に引っ越しをします」
「引っ越し?」
「すげー」
「どこに行くの?」
シスターの発表に子供たちのテンションはマックスになってしまった。
わくわくしたり飛び跳ねたり大変だ。
「はいはい。みんな落ち着いて。
私達は、これからすぐにここを出て、街の外に用意してある馬車に乗り込みます。
早ければ明日の夕方には到着するそうですよ」
「馬車だって!」
「わたし初めて~」
はしゃぐ子供の内のひとりがシスターの所にトコトコって歩いて行って袖を引っ張った。
「ねぇシスター。そこに行ったら、もうシスターを虐める人来ない?」
「っ!?ええ。そうね。きっと大丈夫よ」
「うん、それならうれしい」
笑顔を向ける女の子にシスターは涙ぐんでしまった。
やっぱり借金取りとか地上げ屋とかが来るんだろうか。
っと、感動的なシーンなんだけど、話を進めないと日が暮れてしまうな。
「えっと、これからの段取りを言うね。
まずみんなは、もし肌身離したくない物がある人はそれを持ってきて。
その後は、こっちのリーンさんと僕がみんなを街の外に連れて行きます。
街の外ではケイとミラさんが居てくれるので、ふたりの案内に従って馬車に乗ってください。
分かったかな?」
「「はーい」」
「よし。じゃあ、ケイとミラさんは街の外、北西側に馬車が来てくれているはずだから街壁の外からそこまでのエスコートをお願い」
「分かった」
返事と共にふたりは外へと出て行った。
子供たちも何人かは部屋に宝物を取りに行って、それ以外の子はそのまま残っている。
「じゃあ、残ってる子は、この床の絨毯を外に運ぶから手伝ってください」
「??はーーい」
なんで絨毯?って疑問符を頭に浮かべながらも、素直に頷いて手伝ってくれる子供たち。
この絨毯で何をするかというと。
まずは庭というか空地に広げた絨毯の上に子供たちに乗ってもらって。あ、シスターも乗れそうだ。なら1回で行けるな。
リーンさんと僕が絨毯の端っこを掴んだ。
「みんな、動くと危ないから大人しくしていてね」
と声を掛けながら、リーンさんが飛行魔法を発動させる。
ぐぐぐっとりきむリーンさん。流石に重量オーバーかなと思いつつ、僕も飛行スキルと空間制御で下から持ち上げると、無事に絨毯が浮かび上がった。
「うわっ。飛んでる!?」
「ほんとだ」
「たかぁい」
「みんな、動いてはダメですよ」
絨毯の上から聞こえる歓声を聞きながらリーンさんが先導して街壁と飛び越した。
その先にいたミラさんと合流したのを見届けて、僕だけ飛行スキルで教会に戻る。
「ここに残していくのも勿体ないしね」
僕は手早くそこにあるものをアイテム袋に仕舞うと、再び飛行スキルで街の外へと向かった。
そこには大型の馬車が2台来ていて、ちょうど子供たちがケイ達の指示で乗り込むところだった。
御者をして来てくれたらしい男女2人はリーンさんとこれからの行程について話し合っているみたいだ。
って、あれ?
「お父さんとお母さん!?」
「お、ソージュ。しばらく見ない間に立派になったな。こんな素敵なお嫁さんを捕まえるとはやるじゃないか」
「ほんとね。お母さんも嬉しいわ。こんな娘が欲しかったのよ~」
エリジン商会に連絡して馬車を手配してもらったんだけど、まさかお父さんとお母さんが来てくれたのは予想外だった。
「ふたりとも、南の島にバカンスじゃなかったの?」
「ああ、行ってきたとも。そっちは2か月ほど前に切り上げて戻って来たんだ」
「来年には弟か妹が増えてるから期待しておいてね」
「弟か妹って」
思わずお母さんのおなかを見たけど、まだ見てわかる変化はないみたいだ。
「まぁそれは後のお楽しみとしてだ。
私達も用があってこの近くに来ていてな。私達の同行者が1人乗っているけど、このメンツなら襲撃にあっても心配ないだろう」
「襲撃って。誰かに狙われてるんだ」
「その話は道中でしよう。さぁ、出発するぞ」
そうして一抹の不安を抱えたまま、馬車は走り出した。
普通に歩いて街を出ようとすると、絡まれる可能性が高いので、あえて飛んで街の外に出てます。
元はリーンさんに2人ずつ抱えて飛んでもらおうと思ったのですが10往復は多いので、魔法の絨毯作戦に変更しました。
そして現代では1話目以来の両親が連れてきた人物とは!?




