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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第4章:それぞれのルーツ
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43-3 教会でのひととき

いつもありがとうございます。

今回もまったりしてしまいました。

教会の外に出ると、空は夕焼けで赤くなっていた。

辺りを見渡せば、周りの建物は人が住んでいなさそうな廃墟で、ここがスラムの中でもさらに忘れられた場所なのが伺える。

これなら明日忽然と人が居なくなっても誰も気にしなさそうだな。

そう考えつつ僕はある人に連絡を取ってから教会の中に戻った。


「お帰りなさい、そーくん。どこ行ってたの?」

「ちょっと野暮用を済ませにね。

それよりも、ケイ達が大人気だね」

「あはは、まぁ子供たちからしたら大きなお兄ちゃんが来た感じなんだろうね」


僕たちの視線の先には何人もの子供たちに引っ張りだこのケイと、数人の女の子と輪になって何かの遊びをしてるミラさんの姿があった。


「兄ちゃん兄ちゃん、肩車!」

「お前はさっきもしてもらっただろ。今度は僕の番だよ」

「俺はさっきの天井まで飛び上がるのがいい!!」

「待て待て。順番だ順番。

お、ソージュ。どこに行ってたんだ。お前も手を貸せ。

子供は加減を知らなくて困る」

「はいはい」

「そら、あっちのお兄ちゃんも相手してくれるぞ!」

「ほんと!?やったーー!」


ケイの合図にやんちゃ盛りの子供たちが飛びかかってくる。

僕はそれを上手くキャッチするとその勢いのままぐるっと一回転する。

びゅーんと空を飛ぶ子供は大はしゃぎだ。


「わースゲー今の!もっかいやって!!」

「僕も僕も!!」

「あ、こら。背中にしがみつくな。

そんな事するならこうだ。とりゃあ~~」


そんな感じで1時間ほど遊ぶと、僕もケイもぐったりしていた。

そこにシスターとリーンさんから声が掛かった。


「さぁみなさん。夕飯が出来ましたよ」

「みんな手を洗って食堂に集合だよ~」

「「はーい♪」」


食堂から漂ってくる良い匂いに我先にと食堂に向かう子供たち。元気だなぁ。

遅れないように僕とケイも子供たちの後を追う。

全員が席について配膳されたシチューを見てよだれを垂らしそうな顔をしていた。


「みなさん。今日はなんと、お兄さんたちがイノシシの肉を持ってきてくれたのよ。

皆でお礼を言いましょうね」

「「はーい。お兄ちゃん、お姉ちゃん。どうもありがとう!」」

「それでは頂きましょう」

「「いただきまーす」」「うめぇ」


シスターの合図と共に無我夢中で食べ始める子供たち。

ある程度予想はしていたけど、普段の食生活はかなり厳しいものだったんだろう。

一瞬で無くなってしまったお皿を見て、愕然としている子が何人もいる。


「今日は特別にお代わりも出来ますからね」

「ほんと!?」「すごーい、まるで生誕祭みたい」

「おかわり」「おかわり!」「僕も!!」


次々とお代わりの声が上がって、気付けば大鍋いっぱいに作ってあったシチューは空になっていた。

後にはお腹いっぱいになって満足顔の子供たち。

何人かは寝てしまいそうなとろんとした顔をしてる。


「あらあら。ふふふっ。

ポール、トム。みんなを寝室に連れて行ってあげてちょうだい」

「うん」

「しょうがないなぁ。ほら、みんな行くぞ~」


年長の子に先導されて子供たちが出て行くと、食堂には僕たちとシスターが残った。

静かになった食堂でシスターが深々と頭を下げた。


「みなさん。この度は本当にありがとうございました。

あの子達があんなに楽しそうに遊んだり、お腹いっぱいになって幸せな顔をしているのなんてずっと無かったものですから。

みなさんにはなんとお礼をしたら良いか」

「そんなに気にしないでください。

僕たちはたまたま通りかかっただけですから」

「だからこそです。

何の打算もなく、ただ目の前の人に手を差し伸べられる。それはとても素敵な事です。

みなさんのような人が多くいれば、どれほど素敵な世の中になる事か」


しみじみと語るシスターの言葉には今日までの苦労がにじみ出ているようだった。

僕はみんなに目配せしてから言った。


「シスター達さえ良ければ、明日、別の街へ引っ越しを行いますけど、如何ですか?」

「それは……ありがたいですが。そんな簡単に言ってくださいますけど、流石に無理がありませんか?」

「一応出来る目途があるから言っています。

行先はマリアッジ学園都市です。あそこなら種族の違いとか誰も気にしないですし、僕らも多少顔がききます。土地という意味でも教会が一つ増えるくらい大丈夫ですし。

移動手段についても、知人に連絡して明日の朝には街の外に馬車を用意してもらえます。その馬車を使えば2日と掛からず着けるでしょう。

あ、持っていく荷物は身の回りの小物と着替えだけでお願いしますね」

「そんな何から何まで。

分かりました。どうぞよろしくお願い致します」


そうしてシスターは再び頭を深く下げるのだった。

前々回のイノシシはここへの伏線でした、というのはうそです(その時はまだ孤児院編に行く予定は無かった)

子供たちの溢れるエネルギーはどこから出てくるのか、いつも不思議です。


個人的には家庭のほのぼの系の話とか人情味のある話が好きです。

(それは別途喫茶店シリーズで描く予定です。と、ちょっと宣伝)

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