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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第4章:それぞれのルーツ
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42-3 切り札

いつもありがとうございます。

久しぶりのあの人たちが登場です。

戦いが始まってから2時間が経過した。

敵は先頭集団が一度は壊走したものの、今は後ろに控えていた第2陣、第3陣に吸収されているようで、その総数は6000と言ったところ。

他にここからでは見えないけど、輜重隊が500~1000人くらいは居ると思われるので総勢7000と言ったところかな。

そして今、戦線は膠着していた。

敵の第2陣第3陣はこちらの次の動きを警戒して距離を取っているので、熊隊の投石攻撃は場所バレの危険があって使いにくい。

かといって正面から攻勢を掛けられる程、戦闘が得意な人たちも多くは居ない。


「そろそろ次の手を打つ必要があるね」

「ええ。予定ではそろそろだっけ」

「うん。出来ればもっと本隊を引き付けてあげたかったんだけど。

っと、狼煙だ。ひとまず無事に襲撃は成功したみたいだね」


僕らの視線の先。敵軍の更に後ろから黒い煙が立ち上っているのが見えた。

それに気が付いた敵軍にも動揺が走っているのが分かる。

本来であれば、ここで突撃を仕掛けられたら敵の総崩れも狙えたんだけど、それは無いものねだりか。

と、そこに伝令役の猿族の少年が走りこんできた。


「報告します。

敵後方に回り込んでいた僕達の部隊は、無事に敵輜重隊を襲撃。

予定通り、その半数以上に火を放った所で散開して撤退中です」

「うん、ご苦労様」

「また、狸族からも伝言を預かっています。

『昨夜渡された薬は確かに朝食に混ぜておいた。

効果が出始めるのはあと半刻後くらいだ』

とのことです。

また彼らも放火に乗じて撤収しています」

「ありがとう。お陰で勝てそうだよ。

奥に食事を用意してあるから、でゆっくり休んでください」

「はい!ありがとうございます」


狸族の人たちには昨夜の内に変装して敵部隊に潜入してもらっていた。

渡した薬は遅効性の下剤だから、もう少ししたら戦いどころでは無くなるんじゃないかな。

報告を聞き終えてから敵を見れば、俄かに様子がおかしくなっているのが見て取れる。

早速薬が効いてきたようだ。

ある者はお腹を押さえ、またある者はお尻を押さえ悶えている。

うーん、嫌な地獄絵図だな。

これで帰ってくれるのが理想なんだけど……そうもいかないか。

敵の最後尾から明らかに練度の高い一団が出てきた。先頭に昨日挨拶に来た将軍が居るところを見るとあれが本隊か。

そばに居た連絡員から「どうしますか?」と聞かれたので首を横に振る。

まず間違いなく彼らには鉤爪ロープや投石は効かないだろう。


「そーくん、どうするの?」

「どうしましょうね。搦め手は彼らには効かないでしょうし。

出来たら戦わずに済ませられるのが被害が出なくて良いのですが」

「ふむ。ならこの者たちは交渉材料に使えるか?」

「えっ?」


後ろからここには居ないはずの人の声が聞こえてきた。

振り向くと、ケイとミラさんが居て、その後ろから20名くらいの人がなにかを引きずって来ていた。

引き摺られているのは人?どうやら意識を失っているようだけど、生きてるのかな。


「ケイ。ミラさん」

「久しぶりだな、ソージュ」

「リーン様もお元気そうで何よりです」

「うん、ミラちゃんも。って、あれ?ミラちゃん前より大人びて見えるけど何かあった?」

「それはその、主人が……」

「「主人!?」」

「うっ、ゴホッゴホッゴホッ」


ミラさんの爆弾発言に僕らはケイを凝視すると、ケイはあからさまな咳払いをして話を変えてきた。


「それよりも、だ。

ここに来る途中、襲撃を受けたのだが、もしかしてこいつらは今戦っている奴らと関係があるのではないか?」


言われて縄で縛られて馬で引きずられて来た男達を見る。

僕達はよく分からないけど、町長さん達は見覚えがあったみたいだ。


「こ、こいつらは!! 一昨日町を襲ってきた奴らです。間違いない」

「どうやら背後から町を襲う予定だったんだろう」

「っと、そうだ。こいつらは強力な魔法を使います。気をつけねば」

「ん、それはこれの事か?」


ケイ達は束にして集めていた魔法の杖を僕達に見せた。

その杖は魔力が籠められた魔石が幾つも付けられていて、ほんの少し魔力を流すだけで強力な魔法を生み出せる代物だった。

まぁ、魔石の魔力が空になるまでの使い捨てだけど。


「……うっ、ここは……」

「お、目が覚めたみたいだ。ここはお前達が襲撃した町だよ」

「なに……はっ!? き、貴様ら。俺様にこんな仕打ちをしてただで済むと思っているのか」


ひと際偉そうな青年が気が付くと共に喚き出した。


「えっと、そもそも、あなたが誰なのかを知らないんですけどね」

「はんっ。これだから獣風情は。

いいか良く聞け。俺様はピリキン公爵家の長男、クリサグ様だ。

親父の軍隊が本気を出せばこんな町、一瞬で更地にしてやるぞ」

「あ、そう。それはいい事を聞いた」

「おっ。お前は俺達と同じ人間だな。ここから俺を助ければ我が軍に高待遇で迎え入れてやってもいいぞ」

「いや、いらないし。面倒だから寝てて」

「ぶごっ」


喧しく喚き立てる、繰り下げ君?いや、クリサグか。を物理的に黙らせる。

町長さんたちがすっきりした笑顔で頷いてくれたのを見て、僕達はこの戦いを終わらせに行こうか。


敵の本隊が薬にあたらなかったのは、そもそも食事を摂っていないからです。


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