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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第4章:それぞれのルーツ
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42-2 戦争開始

いつもありがとうございます。

今回は若干残酷な描写もありますのでご注意ください。

決戦の朝、夜明け前。

夜中の内に例の騎馬隊の奴らが悪さするかもと思って、夜目の利く種族に警戒してもらったけど、特に何も無かった。

ただ、往々にしてそういう奴等って目立ちたがりだから、最初の交渉の場に出てこなかったのは何か裏があるんじゃないかと勘ぐっている。

そして僕達は今、町長宅で最後の確認を行っていた。


「狸族、熊族、猿族。それぞれ配置についているとの連絡がありました」

「モグラ族は仕事を終えて奥で仮眠を取っています」

「女性や子供達、戦えない人の避難、完了しています」


各報告を聞いて、町長が頷いた。


「よろしい。では奴らに山の怒りを思い知らせてやろうではないか」

「「おおぉ!!」」


そこに慌てた様子の猿族の青年が駆け込んできた。


「報告します! 敵、進軍を開始しました」

「よし。手筈どおり頼むぞ」


僕達はそこまでを見届けて、町の外へと向かうことにした。

外に出れば山の南側から敵の歩兵隊が登ってくるのが見える。

遠目だけど、中央に最大規模の部隊が居て、その後方に中央の半分程度の部隊が2つ分かれているようだ。

本来ならその後ろの部隊が左翼右翼として展開したいのだろうけど、山肌が険しくて広がれないのだろう。

それら歩兵隊の先頭が町の500メートル手前に差し掛かった所で、町の端で大きな赤い旗が振られた。


ザアァァァーー


「何の音だ!!」

「これは……水です!

どうやら町の手前の堀に水を流し込んだ模様です」

「はん、馬鹿め。早過ぎだ。

本来なら俺達が掘に入った所で流すのだろうに。まだ入ってもいないわ」


兵隊達の言葉の通り、町の前を塞ぐように作られた堀に水が流し込まれた。

だけど、それはただの水じゃあない。

温泉の源泉、つまり熱湯だ。

堀に流された熱湯はたちまち大量の湯気を出して町の姿を朧げにしてしまった。


「ちっ、ただの目くらましだ。

魔法隊。堀の手前からでも届くだろう。

あの町に対魔法障壁が無いのは確認されている。

盛大に打ち込んでやれ」


その言葉を聞いて後方に控えていた魔法隊が一番前に出て杖をかざすと、火炎弾が次々と靄の向こうへと飛んでいった。

……だが、期待していた爆発音が返ってこない。

まぁ、それもそのはず。

靄のこちら側ではリーンさんがせっせと氷の障壁を作って彼らの魔法を叩き落しているからだ。

将来的には設置型の防御壁を作るべきなんだけど時間が無いのでリーンさんに代役をお願いした。

そして奴らが火炎弾ばかり使うのを良いことに、氷を溶かして湯気にして更に靄を濃くさせてもらった。


さて、予定外に魔法隊が前面に出てきてくれたし、一つ予定を早めてしまってもよさそうだ。

町の人たちも同じことを思ったらしく、鍵縄を持った人たちが掘りに沿って配置についた。

彼らが何をするかと言えば、その鍵縄を投げて敵に引っ掛け、綱引きの要領で一気にこっちへと引き釣り込むのだ。


「いてっ。なんだこ、うわぁあああ!!」

「くそ、俺のローブに穴あぁぁぁあぁ」

「いでででっぐあじ~~」

「よせ、まて。ぎゃあああ」


引き釣り込まれた先は熱湯風呂。

大火傷を負いつつ下流へと流されていく。

さらにこれの恐ろしい所は、残っている者からは湯気で見えていないのだ。

連れ去られた仲間の悲痛な叫び声だけがこだましてくる。

そしてそこに低い怒りの籠った声が響く。


「愚かな人間どもめ。

貴様らの行いに山もお怒りだ」

「な、なにをたわけた事を」

「上を見てみるがいい」

「!?」


ドゴォン!

ドドドドッ!


山頂の方から真っ赤に燃えた溶岩弾が次々と飛んできて隊の中へ落ちて爆発していく。

さすがの歩兵隊もこれにはひとたまりも無く、大混乱に陥るのだった。



「魔石を埋め込んだ岩石はいい感じに強力な武器になってくれたね」

「そうね。まあそれも、熊族の人たちの膂力があってこそだけど」

「あとは適当に赤く色づけしてもらったけど、山頂の煙と相まって本当に火山が噴火しているように見えるね」


ちなみに熊族の人たちにはモグラ族に作ってもらった塹壕に隠れてもらって、そこから岩を投げてもらっている。

だから良く見れば意外と近くから投げられているのが分かるんだけど、混乱した彼らでは気付けないだろうな。


この混乱は、前衛部隊の壊走という形ですぐに本体にも伝わった。


「隊長。例の馬鹿貴族の部隊が敗走してきたようです」

「そうか。いい気味だな。

それで、裏に回らせてたはずのそいつらがそろそろ町にたどり着く頃だろう。

何か反応はないのか?」

「今のところ何も」

「ふむ。どこかで油を売ってるのか、はたまた何か妨害を受けているのか。どっちだと思う?」

「後者であって欲しいですが、断言できない所が悲しいですね」


部隊後方に配置している本陣という名の功を焦っていない元傭兵部隊の間にため息とも呆れともつかない声が漏れるのだった。


湯煙殺人事件よろしく、いつもより多めに湯気が出ております。

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