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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第1章:Eランクの僕と彼女
23/270

4-B シルキーのキーヌは知っている

よろしくお願いします。


先に行っておくと、予告は何だったの?

と言いたくなるほどサラッと行きます。

ジバンリン暦××年


Side キーヌ


……私はいつ生まれたのだろうか。

……なぜ、ここに居るのだろうか。


雨の降りしきる中、私はただ立っていました。


「そこに居るのはどなた?」


2階の窓が開き、少女が顔を出した。

年の頃は15,6と言った所でしょう。

ああ。なるほど。彼女が私の主なのですね。


「そんなところに立っていては風邪を引いてしまうわ。中にお入りなさい」


何も答えずにいた私に、そう伝えて少女は窓を閉じました。

少女の言葉を受け、私は屋敷の扉を開きました。


ちょうどその時。

2階から先ほどの少女が降りて来ました。


「あら、ずぶ濡れじゃない。

拭いてあげるから、こっちへいらっしゃい」

「はい、ありがとうございます」


そうして洗面所に連れて行って頂きました。


「ところであなた、お名前は?なぜあんなところに居たのかしら。

……別に調べに来たという感じではないし」

「それが私自身分からないのです。

気が付いたらあそこに居りました。

ただ……お嬢様を見た時に、この方がわたしの主なのだろうと感じました」

「そう。不思議なお話ね。

ではあなたの事はキーヌと呼ぶことにしましょう」

「はい、お嬢様。素敵な名前をありがとうございます」


髪を拭いた後、居間へ移動してお嬢様は言いました。


「それではキーヌ。

あなたは気の済むまでで構わないので、この屋敷をお願いね。

私は部屋に戻って休みます。

最期にあなたとお話が出来て楽しかったわ」

「はい、お休みなさいませ」


そう言ってお嬢様は居間を出て行きました。

それがお嬢様と言葉を交わした最後です。

次に寝室でお嬢様を見かけた時には、ベッドの上で眠るようにお亡くなりになっていました。

それ以来、私はお嬢様の言葉のとおり、屋敷をお守りしておりました。


後から屋敷に来た者たちが話していた事ですが、お嬢様のご両親はその2週間ほど前から姿が見えなくなっていたそうです。

それからすぐにメイドたちも解雇されたそうです。




「ふぅん。一体あのお屋敷に何があったんだろうね」


私の身の上話を聞いて、そう相槌を打つ新しい旦那様のソージュ様。


「何があったか、までは存じません。ただ、お嬢様のご両親がどちらにいらっしゃるかは分かります」

「あれ、そうなんだ」

「はい、私の花が植えられていた花壇。

あそこにお嬢様のご両親と、もう一人、女性の方が眠っておいでです」

「……痴情の縺れ、なのかな」

「さぁ、そこまでは何とも。ただそのご両親のお陰で、私はお嬢様を見た瞬間、我が主なのだと理解出来たのだと思います」

「なるほどね。でも、こうやって聞くと、キーヌはほとんどずっと独りだったんだね」

「はい。ですが、今は旦那様がいらっしゃいます」


どうか、このまま末永くお仕え出来る事を祈っております。

あ、あとですね。

いつも頂いてるお水にちょっと、旦那様の血液を少し混ぜて頂けると、とっても嬉しゅうございます。

本当はお屋敷のどろどろの愛憎劇とか書こうかな、って思ってたんですが。

この物語は、そういうのはサラッとカラッと流していきます。


########


3月は威張り散らしていた先輩が居なくなり、新入生が来る季節。

何でも噂では前代未聞のEランクがうちの寮に来るらしい。


次回:寮の先輩の視線

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