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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第4章:それぞれのルーツ
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41-3 救援

いつもありがとうございます。

今回は貯めに貯めた薬草類を放出する回です。(ざっくりとしか書きませんが)

回復薬の調合方法はそれほど難しくは無い。

一番簡単なのは薬効のあるもの(草とは限らない)をすり潰して綺麗な水と混ぜるだけだ。

他に乾燥、煮る、ろ過などの処理を行ったり、触媒を加えることで効能をアップさせたり即効性を発揮させたりする。

僕はアイテム袋から簡易コンロと大鍋を取り出して、その中に薬草を細切れにしながら入れ、水を入れて煮込む。

さらにジルの杖で薬草を潰すように突きながら鍋の中を混ぜる。


……リン♪


ジルから抗議の声が聞こえてきた気がするけど我慢してもらおう。

なにせ間違いなくジルに頑張ってもらうこのやり方が薬草の効能を引き出せるからだ。

あと、隠し味として自分の指を切って血を数滴入れる。

すると濃い緑色だった薬液が一瞬にして澄んだ色に変化した。

大鍋をコンロから降ろして、後は冷ませば完成なんだけど……そうだ。


『リーンさん、僕の所に氷柱を投げてもらっても良いですか』

『いいけど、上手く受け取ってね。「フリーズランス」』


リーンさんの居るであろう方角から氷の槍が飛んできた。

おっと、ちょっと位置が高いな。

ジャンプして先端が丸まった氷をキャッチして、そのまま鍋の中に入れるとジュウッと音を立てて氷が溶け薬液が適温になった。

よし、あとは上澄み液を容器に移せば完成だ。

大鍋1杯で70~100人分は出来る。

所要時間は10分。なかなかの速度じゃないかな。


「先生。回復薬が出来ました!」

「でかした。急ぎこっちに持ってきてくれ!」

「はい!」


薬を患者の所に持って行って、重傷者を優先してその身体に掛けて行く。

特に症状の酷い人には数回

本当は飲んだ方が効果はあるんだけど、その体力もないだろうからね。

薬をかけられた人は1分と経たずに虫の息だった呼吸が大分落ち着いたものになった。


「何という効能だ。これは中級どころか上級クラスの回復薬じゃないか」

「あーそうかもしれないですね」


多分僕の血を混ぜた影響だろう。そのあたりを突っ込まれるとちょっと困る。


「さぁそれよりまだまだ患者は居るんですから急ぎましょう」

「ああ、そうだな。薬の材料はまだあるのか?」

「材料ならまだ十分にあります」

「なら配るのは他の者に任せて、薬の作成に専念してくれ」

「分かりました!」


そこからはさっきの繰り返しだ。

後からも何人も運ばれてくるので症状を診ながら随時対応を行っていく。

ちなみに、出来た薬の内、沈殿物の多い部分は苦くて飲めないだけで十分に薬効はあるので外傷の酷い人を優先して身体にかけてもらう。

あ、かなり沁みるから注意してって『うっ、ぐっ、ぉぉぉ……』遅かったか。

煮出した後の薬草も湿布薬として使えるから、主に打撲の人を中心に配ってもらう。

また市街地を見れば、ほとんど煙も消えて子供の泣き声も治まってきた。

そうして日が暮れる頃、救助と治療もなんとか一段落したのだった。


「君達が来てくれて助かったよ。

お陰で何人もの命を救うことが出来たし、火災も早急に鎮火することが出来た。

本当にありがとう」

「そう言っていただけると頑張った甲斐がありました。

ところで、今回の襲撃はいったい誰の仕業なのですか?」

「それは私から説明しよう」


声の方を向くと大柄な熊の獣人が居た。

病院に担ぎ込まれてきた人たちもそうだけど、この町はどうやら獣人、それも獣に近い見た目の人たちが多いみたいだ。


「私はこの町の町長のグリスだ。

君達救命士の活躍には心から感謝を申し上げる。本当にありがとう」

「救命士?」

「おや違ったかね。相手の貴賎に囚われず傷ついた者を癒していく方々の事だ。

まさに君達の事だと思うがね」

「はぁ」

「ふむ。まぁいいか。

それよりも今朝方この町を襲撃していった者達だが、彼らは神聖バルス教国の者だと名乗っていた」

「バルス教国?」


聞いたことのない国名だ。リーンさんも知らないみたい。


「ふたりが知らなくても無理は無い。

ほんの数ヶ月前に名乗りあげた国のようでな。

どうやら人族至上主義の者達が集まって興した様だ」

「はぁ。その人たちがなぜこの見るからに獣人が暮らす町に?」

「奴らはこの町の温泉が目当てのようだった。

我々がこの一帯を管理しているのが気に入らないのかもしれないな。

一方的にこの地を明け渡して、消えるか自分達の奴隷になるかと迫ってきた。

当然そんな無理な要求を聞く訳にはいかないから断ったんだが、すると急に癇癪を起こしたように叫び出したんだ。

更には魔法の杖を取り出して町に向かって魔法を放つと、一目散に山を降りていったよ。

それから幾らもしない内に君達が来てくれた訳だ。

だから最初の無礼な対応を取ってしまったのも理解して欲しい」

「それは全然気にしていませんけど。なんとも残念な奴らですね」


恐らくここに向かう途中に見かけた騎馬隊がそれだったんだろう。

こんなことなら奴らの道を塞いで蹴散らしておけばよかったかな。

いや、それだとこっちの救援が間に合わなかったか。


ソージュの血液のお陰で薬のランクが2つ位アップしてます。


あと個人的に「神聖」なんて名前を国名に付けるのは驕ってる証かなと。

本当に神が興した国なら良いんですけど、今回は特にあれですから。

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