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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第4章:それぞれのルーツ
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41-1 出発

いつもありがとうございます。

まだまだ当分の間は不定期更新が続きます。

結局その日はブラッドさんの家に一泊することになった。

ただ家がそんなに広い訳もないので、寝床は寝室と居間に別れるんだけど。


「今夜は女子会しましょう♪」


というエリーさんの一言で(女子?と疑問を抱いてはいけない)、寝室は女性陣で占有し、僕とブラッドさんは居間に毛布を敷いて寝ることになった。


「むにゃむにゃ。これは寝言なんだが」

「ぐー」


夜も更けた頃、隣からはっきりとした寝言が聞こえて来たので、いびきで返してみた。


「俺が協力してた組織の奴が『神に選ばれた種族』とか『我々こそが世界を統治すべき』なんてことを言ってたな~」

「ぐーぐー」


どうやら餞別代りに言える範囲のグレーゾーンの情報を教えてくれるみたいだ。

『神に選ばれた種族』って、最近増殖してる人族至上主義のことかな。


「新しく出来た学園とも関わりあるみたいだし、既存の学園は大変かもしれないな~。

高位の魔道士も集めてたみたいだし、何がしたいんだろうな~。

ま、おれの知ったことじゃねぇけど~」


寝言はそこまでらしい。

最後のはきっと、ブラッドさんが今後敵対することはないって言いたいんだろう。

まぁ味方してくれる気もなさそうだけど。それはこれだけ情報をくれただけでありがたいと思うべきだな。

はぁ。

どうやらまだまだ平穏な学園生活には戻れないみたいだな。



翌朝。


「それじゃあ、お世話になりました」

「いえいえ。たいしたお構いも出来ず」


玄関口で僕達は別れの挨拶を交わす。

と、エリーさんがアイテム袋から黒い布を取り出した。


「私を尋ねて来てくれたお礼にこれをプレゼントするわ」


そう言って渡されたのは、真っ黒い布改めマントだった。

リーンさんも似たような、こっちは表が黒で裏が赤だ。

着てみると長さは腰までも無いので、動きを阻害されなくていいかもしれない。


「ソージュ君のは『集魔のマント』といって、大気中の魔力を集めてくれる効果があるわ。

リーンさんのほうは『統魔のマント』よ。周囲の魔力を安定させる効果があるから魔法が使いやすくなるはずよ」

「ほんとだ。周囲の魔力が濃くなってる」

「こんな貴重なものをありがとうございます」

「いいのよ、私は使わないし。

さ、気をつけて行ってらっしゃい」

「「はい、行ってきます!」」


そうして僕達は時忘れの里を出た。

入口前の草の伸び具合から言って、里の中での1泊2日、外では3日くらいってところかな。


「確か温泉があるのはここから東北だったよね」

「はい。多分あの煙の出てる火山じゃないかな」


指差した先には山頂から細く噴煙を上げている火山があった。

あの様子なら、そうそう噴火したりはしないと思うけど、多少気にかけておいたほうが良いかな。

折角来た事のない土地に来たんだから、ということで、僕達は道中採集を行いながら山を目指して歩くことにした。


「リーンさん。しばらく見ない間に採集の腕が上がってます?」


薬草を見つけては、ひょいひょいっと手早く丁寧に採集していくリーンさん。

木の後ろや他の草の影になっているものまで、的確に発見していく。


「わかる? そーくんが居ない間、ジルの杖を預かってたでしょ。

そのせいで行く先々で道案内という名の誘導をされて薬草とか食べられる木の実とか採集してたんだ」

「ああ、なるほど」

「そのせいで寄り道が癖になっちゃったけどね」

リンリン♪


ジルの杖から「えっへん」と胸を張るような反応が返ってきた。

……リーンさんが褒めてたかどうかは分からないけど。


っと、なんだ?

西の方から大勢の人の気配が伝わって来た。

距離があって視認は出来ないけど、万に近い気配が移動してる。

進行方向から考えて、移動先は……僕達と同じ?


「リーンさん。嫌な予感がします。ちょっと急ぎましょうか」

「うん、分かったわ」


そうして僕達は採集をしつつ急ぎ火山へと向かうのだった。


急ぐぞと言いつつ採取を続けるソージュ達。もう体が勝手に動くレベルですね。

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