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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第4章:それぞれのルーツ
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40-6 ブラッドの事情

いつもお付き合い頂きありがとうございます。


タイミングよくローリエさんがお茶を持ってきてくれたので話題を変える事にした。


「そういえば、ブラッドさんはここの出身だったの?」

「ん?おお。そうだな。ああいや。正確にはここの隣の空間な。

こっちはローリエ達、小人族の空間なんだ」

「小人族の空間?っていうことは、空間ごとに別の種族が住んでるってこと?」


そう言えば、以前来た時と雰囲気が違うし、ここは別の空間だった?

ということは各空間の範囲も変わってるって事だろうか。


「ああ。ここら一帯の時間の流れが場所によって異なっているのは知ってるよな。

だが『別の次元が継ぎ接ぎ状態で存在している』ってのが正しいんだ。

20年ほど前の大災厄は知ってるだろ?

あれで、空間に亀裂が入って、様々な次元が混在する事態に陥ったらしい」


ブラッドさんの話を引き継いでエリーさんが続けた。


「そうね。あの時は大変だったわ。このままだと世界崩壊か!?と危惧されたほどだもの。

ギリギリ、ジンさんが帰って来てくれて空間を手当てしてくれたから何とかなったのよ。

ただ、既に色々と混ざり合ってしまって、それらを元に戻そうとすると、そこに存在するものを消すことと同義だったから、ジンさんはこうして細切れになった空間をダンジョンの中にしまう事で保護したの」

「空間の手当てって……」


さらっと言ってるけど、今の僕達じゃどうすれば出来るのか見当もつかない。

そんな事が出来たジンさん、つまり僕のお祖父さんって残っている伝説以上に凄い人なのかも。


「ちなみに、ほぼ間違いなくあなた達二人の祖先、つまり魔血族と吸血族の祖先もその時にこの世界にやってきたのよ」

「へっ!?」

「えっ!?」


続くエリーさんの爆弾発言に僕達の目が点になる。

寝耳に水というか、僕らにも直接関係する話だったの?

いや、でも。そんな筈は無い。


「あの、エリーさん。魔血族の歴史って20年どころか50年以上さかのぼって存在してる筈ですよ?」

「そうね。もちろん知ってるわ。

これは一部推測が混じるのだけど……」


僕の疑問に、そう前置きを置いて答えてくれた。


「さっき色々と混ざり合ったって言ったでしょ。

あれ、空間だけじゃなく時間、それも過去も含むの。歴史と言っても良いわね。

そんな馬鹿なって思うのも無理は無いけど、そうじゃないと説明が付かない事例がいくつもあるの」

「「……」」


それじゃあ、今まで習ってきた歴史は、本来この世界であったこととは全く間違った内容だったことになる。

それに、これが本当なら僕達はこの世界におけるイレギュラーな存在って事なんだろうか。


「ま、気にしなくて良いと思うがな」


僕の不安を見抜いてブラッドさんがあっけらかんと答えた。


「過去がどうとか、空間が混ざったとかよりも、今俺達がここに生きていることが重要だろ。

自分の手の届かない事に目を向けて、目の前のことを疎かにしてたらダメだろ」

「そう、だね。ブラッドさんがそんな真面目なことを言うと重みが違うね」

「おいこら、それはどういう意味だよ」

「あははっ。まあまあ。お陰で気が軽くなったよ。ありがとう」


僕の軽口に場の空気が緩んだ。


「話は変わるけど、結局ブラッドさんってどうして魔物を操って学園を襲撃したりしてたの?

こうして話してると、そんな悪い人には思えないんだけど」

「あーそうだな」


ちらっとローリエさんの顔を窺うブラッドさん。

ローリエさんは変わらずにこにこしてる。


「今ならもう話しても大丈夫か。

……俺は元々、出稼ぎで外に出てたんだ。

傭兵家業をやったりして戦場を渡り歩いたりしながらな。

だけど3年位前から、ここら一帯の空間が不安定になり始めたんだ。

原因は不明。だが、何とか安定させないと最悪、空間の狭間に押し潰されることになる。

そこで俺はこれまでの伝手を頼って空間を安定させる方法が無いか探し回ったところ、マリアッジ学園の宝物庫になら、その魔道具があるかもしれないって情報を入手した。

だが流石に警備が厳重で手が出なかったからな。

ちょうど同じ様に学園の宝物庫を狙ってる奴らが居たから手を組んだって訳だ」

「じゃあ、今は無事に安定させられたの?」

「ああ、幸いな。

ただ心配して見に来てくれた先生から、同じ効果のある魔道具の心当たりがあるって聞かされた時は、ちょっと凹んだがな」


そんな魔道具あったっけ?

って、そうか。竜の山のガラクタ置き場に似たような魔道具があった気がする。



色々と核心に迫る話のようで、実はそうでもなかったりする話。

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