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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第4章:それぞれのルーツ
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39-3 エリジン商会本店

久しぶりにがっつり書けたお陰で頭がすっきりしました。

あ、もちろん、イメージしてた内容とはかなーり違う内容になってます。

なにせソージュ達は作者無視して自由に生きてますから。

そうして大通りを歩くこと30分。

僕達は1つの商会のエントランスへと来ていた。

周りを見渡せば、調度品の一つ一つが洗練されていて、素人目に見ても目が飛び出るほどの金額がかかっているだろうことは想像に難くない。

かといって豪華か、といえばそうでもなく、落ち着いた雰囲気と品の良さがにじみ出ている。

つまり、相応にそこに居る人にも品格を求めるわけで。


「そ、そーくん。ここであってるの? 私たち、場違いじゃ、ないかな?」

「心配しなくても大丈夫ですよ。別にドレスコードを求められたりはしないですから」


そわそわするリーンさんを宥めつつ受付に歩いていく。


「いらっしゃいませ。エリジン商会本部へようこそ。

本日はどういったご用件ですか?」


挨拶してくれたのは20代前半と思われる猫獣人のお姉さん。


「エルマさんに取り次いで頂きたいのですが、今日はいらっしゃいますか?」


僕の言葉を聞いたお姉さんの顔が一瞬強張った。


「……失礼ですが、紹介状はお持ちでしょうか。もしくは事前にアポイントメントは取っていらっしゃいますか?」

「いえ、どちらもありません」

「そうでしたか。大変申し訳ございません。

紹介状等が無い方はお取次ぎ出来ないことになっております」

「ではビルミンさんは?」

「そちらへの紹介状などは……」

「ありません」

「でしたら申し訳ございませんが」


と、そこで僕の袖がくぃっと引っ張られた。


「(そーくん、まずいよ。お姉さんが怒る前に帰ろうよ)」

「(大丈夫です。僕に任せてください)」


見れば受付のお姉さんの顔は若干青筋が立ってて、既に怒ってるのが分かる。


「失礼ですが、お客様は当商会にどのような御用でいらしたのでしょう?

先ほどから聞いていれば、当商会の重役を馴れ馴れしく呼んでいるようですが、警備隊長などが聞けば外まで放り捨てられてしまいますよ」

「用と言われると、エリーさんの居場所を聞きたかっただけです。ついでに皆にも久しぶりに会えたら、と思ったくらいで。

ちなみに、警備隊長って言うと、エルビルメル・ルルマイヤー・パルミン・ルカルトナさんですか?」

「エルビ……っは?」

「エルビルメル・ルルマイヤー・パルミン・ルカルトナさん。

エルパルさんか、エルルルさんって言えば分かります?」

「あ、ああ!あの方って、そんな名前なんですね。確かに無駄に長いとは仰っていましたが。

……あれ?」


そこまで言ってようやく、何かに気付いたように青筋が消えて代わりにちょっぴり青ざめてしまった。


「あの、お客様はもしかして、当商会のどなたかのご親族様でいらっしゃいますか?」

「はい。まぁそれもエルパルさんが来れば解決なので、ちょっと失礼しますね」


一言断ってから受付台の内側、天板の裏にある魔道具に魔力を流す。


ジリリリリリッ

ガラガラガラッ


けたたましい音が建物中に響くと同時に、扉や窓が閉鎖された。

それに一瞬、いや二瞬遅れて奥の部屋から武装した集団が飛び出してくる。


「なにご「遅い!!」ハッ」


突然の僕の叱咤に背筋を伸ばす若者達。


「僕らが強盗であれば、今の時間があれば彼女を殺して証拠隠滅をしてここにある調度品を根こそぎ奪って壁を破壊して逃げられてるぞ」

「ハッ、申し訳ございませ……ん?

あ、あのーこれは一体どういう状況で?」


目が点になる彼らに思わずため息をつきたくなる。

ちょっと平和ボケしすぎているんじゃないだろうか。

そう思ったところで上の階から笑い声が降ってきた。


「はっはっはっ。坊、お久しぶりです。

なかなかに賑やかなご帰宅ですな。

彼らについては、後ほど私の方から再教育しておきましょう」


声の方を見れば、巨大なハルバードを持った全身鎧の男性?が立っていた。


「あ、エルパルさん。お久しぶりです」

「はい。坊はしばらく見ない間に大きくなりましたな」


カシャッカシャッと重量の割に軽い音を立ててやってきたエルパルさんは、受付台に手を当てて魔力を流し込んだ。

するとさっきまでの警報などが解除された。

同時に外で待機していたのであろう、街の警備隊の人たちが中になだれ込んでくる。

すぐさま隊列を整え、警戒する様は、十分な訓練がなされていることが伺える。

その中の代表が1歩前に進み出た。


「失礼します。

えっと、先ほどの警報はいったい……誤報ですか?」


周囲を見回して、襲撃の余韻がないことに疑問を持ったみたいだ。

この一瞬でそれを判別できるってことは、この人はかなり優秀なんだろう。


「お勤めご苦労さまです。

連絡をせずに申し訳ない。抜き打ちで警備訓練を行った所なのです。

皆さんの迅速な対応、心から敬服いたします」

「そうでしたか。ただ、出来れば今後は開始前に一言連絡をいただけると助かります。

そうすれば、我々も緩みがちな者たちの背筋を伸ばすのに使えますからね」

「ははぁ。そう言っていただけると助かります。また今度飲みに行きましょう」

「ええ、是非。では我々はこれで」


エルパルさんの応対を聞いて、来たとき同様、流れるように撤収していった。


「お前達も、ここは私1人で十分だ。持ち場に戻りなさい」

「は、はい!失礼します」


こちらはバタバタと店の奥に引っ込んでいく青年達。

一段落ついた頃合を見計らって受付のお姉さんがエルパルさんに声をかけた。


「あの~エルパル様。こちらのお客様はどちら様なのでしょうか」

「ミーケは初めてお会いするのでしたね。

彼はエリー様の孫、エルマ商会長の甥にあたる、ソージュだ」

「ソージュ・ライオネルです。先ほどは名乗らず失礼しました」

「いいいいええ。こちらこそ、そうとは知らず失礼致しました」


大きく1歩下がりながら深々と頭を下げる受付のミーケさん。

うーん、今の動きを見る限り奥から出てきた人たちよりよっぽど強そうだな。

ミーネさんは、というか、商会の方々は本作では出オチきゃらの予定です。

出てくるとしても次回作以降です。

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