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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第4章:それぞれのルーツ
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38-3 もふもふ体験会

ようやく少しだけ落ち着いてきたので、ペースを回復できる、かも汗

聖域に続いてやってきたのは、洞窟の入口。

地面を見れば同じ形の足跡がいくつもあることから、動物か魔物のねぐらだと分かる。

足跡の大きさから小さく見積もって全長2メートルはあることが分かる。


「そーくん、ここは?」

「もふもふのねぐらです」

「もふもふ?」

「ちょっと待ってくださいね。すぐ僕らに気が付いて帰ってくると思いますと言ってるそばから帰ってきましたね」


森の木々が揺れたかと思うと、白い巨獣が空から降ってきた。

このねぐらの主、フェンリルだ。


『ふむ、懐かしい臭いがすると思ったが、やはりソージュであったか』

「こんにちは。ん~相変わらず、いいもふもふっぷりですね」


挨拶しながらふらっと近づいてもふる。


『こら、やめぬか』

「リーンさんもどうですか?」


フェンリルの首元に抱きついてもふりながら、リーンさんを手招きする。


「えっと、じゃあちょっとだけ。……ふわぁ、気持ちいい~~」

『こ、これ。そこは、やめっ。ぐふふふふっ』


最初遠慮がちだったリーンさんも、今では半分埋もれるように抱きついていた。

やっぱり、このもふもふは良いよね。

そうして10分位もふもふを堪能してから僕達は離れる。


「満足満足」

『ふぅぅ。まったく酷い目にあった』

「そう?気持ち良さそうに見えたけど」

『それは、あれだ。……むぅ。

それよりも、そっちの童どもはなんだ。

随分へばっているようだが』


言われて視線を向けると、ぜぇぜぇと肩で息をするエルフの子供達が居た。


「森の庇護を切った状態で連れてきたんだけど、無理があったかな」

『そうだな。エルフ達は小さいうちはまず森の庇護下で満足に動く術を学ぶからな。

庇護なしでの特訓はもうあと10年は先の話だ』

「そっか。それじゃあ、自分の力を過信してしまうのも無理は無いか」

『なんだ、勝負でも挑まれたのか?』

「似たようなものかな。なので今は森の観光ついでに教育中なんです」


それにしても14年前に森であったエルフ達は、もう少し動けると思ってたんだけど。

平和な分、世代が進むに連れて能力が退化しているのかもしれない。

そういえば当時居たエルフ達は……あ、西の山に遠征に行っているのか。

なら挨拶に行くのはまた今度でいいかな。


「それで、いつまでへばってるつもりかな?」

「そんなこと言ったってだんな~」

「情けない声ださない。まったく仕方ないな」


彼らが回復するのを待ってたら日が暮れてしまうので、訓練はここまでにして持ってあげる事にする。


「リーンさんも、もう1つくらいは余裕で行けますよね」

「ええ、もちろん」


そんな訳で、リーンさんに元々持っていたのと合わせて方界石を2つ持ってもらって、僕は残りの4つを持つことにした。


「ば、ばけものか」

「失礼な。あ、ちなみに言っておくと僕は学園での評価はEランク。つまり最低だからね」

「げぇ!!人間の学園ってどうなってるんだよ」


その驚きようを見てリーンさんがクスクス笑ってる。


「だから、まぁ。強さが全てとは言わないけど、リーンさんにアプローチするなら僕よりは強くなってからにしような」

「うっ、分かりました」


がっくりしてしまう少年がひとり。

うーん、これで闘志を燃やしてくれるようなら見込みあるんだけどな。

ま、今後の成長に期待するしかないか。


「じゃあ残りの有名どころを回ってこようか」

「ええ。フェンリルさんも、またもふらせてくださいね」

『いや我はこれでも格の高い聖獣なのだがな』

「え!?聖獣……って、フェンリルだものね」

「まぁまぁ、流石としか言いようの無いもふもふ具合なんだから仕方ないよ」

『全く嬉しくない褒め言葉だな。それと次に来るときは手土産の1つでも持ってこい』

「食べ物でいい?」

『うむ。前のちーずけーきとやらはなかなか良かったな』

「了解。良さそうなのを幾つか見繕っておきますね」

「……フェンリルがチーズケーキって」


リーンさんの中でだんだん聖獣のイメージが崩れてきたみたいだ。

もう手遅れかもだけど、早めに移動した方がいいかな。


フェンリルの毛は攻撃に対してはしっかりガードします。

敵意とかが無い相手には普通の大型犬です。

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