38-1 世界樹から始まる二人旅
遅くなりました。
一応ここから新章という位置づけです。
そして主人公視点に戻ってきました。
ジバンリン暦52年9月18日
Side ソージュ
世界樹の麓にあるエルフの集落。
その神社の縁側に立って伸びをする。
僕の隣にはリーンさん。
あの学園ダンジョンで過去に飛ばされる前と変わらず、太陽の光を浴びてキラキラと輝く髪も優しい笑顔も記憶のままだ。
まぁ。そうは言っても、過去の次元に飛ばされていた僕としては約2年ぶりなんだけど、こっちの世界では2か月くらいしか経っていなかったらしい。
それでも、その2か月で色々あったのが分かるほどリーンさんの魔力は強くなっているのが分かる。
何があったかは追々聞いて行けばいいかな。幸い時間はあるんだから。
「リーンさんはこれから行きたい所とかありますか?」
「うーん。私あんまりこっちの地理に詳しくは無いから。そーくんはこの近くって詳しい?」
「詳しいって程じゃないですけど、それほど遠くない所に僕の祖母の家がありますよ」
「そーくんのお祖母ちゃんって、あの!?」
おっと、意外な所でリーンさんが食いついてきた。
あのって言うけど、学園の図書館で読んだ本以外に接点ってそんなにあったっけ。
「って、そう言えば、リーンさんは既に一度会ってるはずですよ」
「へっ、そうなの?全然記憶にないけど」
「はい。15年前に鬼の集落で。お酒とかを運んで来た商人の人って覚えてないですか?」
「うー、ごめんなさい。全然記憶にないわ」
まぁ当時はリーンさんはかなり小さかったし、それほど接点があった訳でもないし、仕方ないか。
でもそう言う事なら、あの時のお礼も兼ねて会いに行くのも良いかもしれない。
「じゃあ、まずは祖母の家に行くという事で」
「うん」
「とは言っても、じっとしてない人だから居ないかもしれないですけどね。
ま、それは行ってみて考えましょう」
行先が決まった所で、何人かがこちらに向かってくる気配がした。
「姉御!例の彼氏が起きたそうで、いたっ!?姉御、突然殴らないでくださいよ」
「『姉御』は禁止って言ったでしょ」
「カミルは学習しないな。ちゃんと親分ってよば、あだっ!」
「あんたも悪乗りしてんじゃないの」
「まったく、少しは成長しろよな」
なんだか賑やかな4人組がやってきてリーンさんを取り囲んでる。
彼らが例のリーンさんが相手してた子供たちなんだろう。
エルフだから見た目は僕らとそう違わないけど、生きてる年数は向こうの方が上のはずだから、確かに姉御はちょっと違うよね。
「それにしても、親分かぁ」
「そ、そーくん!違うんだからね!昨日一昨日とちょっと張り切って彼らを指導してたら、いつの間にかそう呼んで来ただけだから。」
「張り切ったというより、なぁ」
「浮かれてたと言った方がいいよな、あれは」
「それがあの鬼しごきに繋がるのは、きっと地が出たんだぜ」
「ああ、間違いないな」
「……あなた達、何か言ったかしら」
「「「「いいえ、何でもありません!!」」」」
リーンさんが睨みを聞かせると、ビシッと音が出そうな勢いで敬礼する子供たち。
これは以前より迫力が増してる気がするな。
と、その子達の視線が僕の方に向けられる。
「……あれ、なんかふつう?」
「うん。碌に魔力もないただの人間ぽい」
「てっきり魔王みたいな化け物だと思ってたのに」
「これなら俺にもワンチャンあり?」
「「「えっ?」」」
最後のひとりのつぶやきに、残りの全員が驚いた顔をする。
いや、リーンさんが魅力的なのは確かなんだから、驚くのはおかしいような。
まぁでも渡す気は無いけどね。
「リーンさん。ここを出る前に、ちょっと彼らと遊んでいきましょうか」
「え、そ、そうね。お手柔らかにね」
「大丈夫ですよ」
こういう時はしっかりと体に教え込むのが大事ですからね。
結局学園が遠く離れていく。
頑張って帰ります。きっと。




