37-5 おかえりなさい
遅くなりましたm(_ _)m
いつもながら終わりをどうするか、というのは悩みますね。
(全然締まってないですが)
ジバンリン暦52年9月18日
そーくんが帰って来てからまる2日が経過した。
その間何をしていたかと聞かれると、そーくんはずっと寝ていた。
どうやら、平気そうに見えた初日の姿はかなり無理をしていたようなんだよね。
過去の世界で1か月、更に次元の狭間にあの魔物と共に移動して1か月。ほぼ休みなしで戦い続けていたらしくて、次元の扉を閉めた後、私の所に戻ってきてそのままストンと眠ってしまった。
そして今日、漸く目が覚めて一緒に朝食を食べている。
「はぐはぐはぐっ。おかわり!」
「はいはい。どうぞ」
ルゥさんからごはん山盛りのお茶碗を受け取るそーくん。
……ご飯だけでももう4杯目。
サラダボウルもお代わりしてるし、いったいどれだけお腹が空いてたんだろう。
「実際、あれと戦い始めてから、録にものを食べて無かったんです。
アイテム袋に詰め込んでいた非常食で何とか凌ぎましたけど、消耗が激しかったから色々ギリギリでしたね」
「そうだったんだ。最後の一撃も凄かったから、全然余裕なのかと思ってたよ」
「むしろあれで終われなかったら、残ったエネルギーを全部リーンさんに渡して、止めもお願いするところでした」
そこまで話して、漸くお腹いっぱいになったのか、お茶を飲みながら一息ついていた。
「ところで、僕が居ない間、こちらでは何年くらい経ってたんですか?
当時の学園の問題とか、無事に解決したんでしょうか」
「あ、そっか。その辺りの説明もしないとね。
まず、そーくんが学園ダンジョンから異次元に飛ばされてから、まだ2か月くらいしか経ってないわ。
私達はそーくんを助ける為に奔走してたから、学園どころじゃなかったから、学園の問題はまだ何も解決してないんじゃないかな」
「そうなんですね。僕の方は2年近く経っていたので、だいぶ昔の感覚です」
2年かぁ。
「そう言えば、そーくん、背が伸びた?
顔もなんだか大人びてる気がするし。このままだとお姉さんとしての威厳がピンチかも」
「えっ、リーンさんに姉属性ってありましたっけ?」
「あるよ。いっぱいあります」
もう失礼しちゃうな。
この2年経つ間にそーくんにも反抗期が来ちゃったのかな。
と、そう思ったところにルゥさんから合いの手が入った。
「そうですよ。リーンさんは、ここに来てから何度か、里の若者たちの相手をしてくれているんですよ」
「若者たちっていうと、当時のがきんちょ達か。あれから14年経ってるんだから、少しは大きくなってるのかな」
「ええ。見た目だけなら、もうおふたりとそれほど変わりませんよ。中身は、まぁあれですが」
若者たちっていうのは例の自称四天王の子達。
修行の合間の食事休憩の時に、ちょっと腕試しをさせてもらったんだけど、気が付いたら色々懐かれたみたいなんだよね。
「まぁそれでも、ブラッドベリーに目が無いのは変わっていないようですが」
「ちょっ」
それは言わなくても良い情報です、ルゥさん。
「そうですか。僕としてはリーンさんが変わってなくて安心しました。
むしろ、子供の頃のやんちゃな部分が残ってて良かったです」
「こどものって、そうだ!
そーくんは、過去に飛んでたんだよね。なら私が小さい時に助けてくれたお兄ちゃんって、やっぱりそーくんだったの?」
「あー、そうだったみたいですね。
僕も戻ってくるまでは上手く認識出来ませんでしたけど、今なら鮮明に理解出来るみたいですね」
そーくんの話では、過去に行っていた間は未来と関係する情報には靄が掛かったみたいになっていたらしい。
まぁ、そうじゃなかったら過去に飛んで未来を好き勝手作り変える事が出来てしまうものね。
「そういえば他の皆は、今どうしてるんですか?」
「えっとね。ケイ君とミラちゃんは里帰りして修行していて、エルちゃんは学園に残って色々調べものしてくれてるみたい。
共鳴石で連絡取ってみたら?皆もそーくんの声を聞きたいだろうし」
「それもそうですね。それじゃあ失礼して」
そう言って軽く目を閉じるそーくん。ってあれ?共鳴石は出さないのかな?
疑問に思ったけど、どうやら無事に連絡が取れたみたい。
3分くらいして目を開けたそーくんはバツの悪そうな顔をしてた。
「何かあったの?」
「あー、ケイたちは特訓の真っ最中だったみたいで、僕が声を掛けた所為で集中が途切れて、師匠らしき人から飛び蹴りを食らってました。
エルさんはその、入浴中だったらしくて、声だけなんですけど、自作の歌を口ずさんでて、ちょっと気まずい状態に……」
「ま、まぁ、そんな事もあるわよ」
どっちも間が悪かったのね。
でもま、無事に帰って来たことだけは伝わったから、また後で落ち着いてから連絡を取れば大丈夫でしょ。
みんな、そーくんのことは大好きなんだから。
「じゃあ、気を取り直して、学園に帰りましょうか」
「そうですね。とは言っても、折角世界樹の森まで来たんですから、多少寄り道しながら行きましょうか」
「うん」
こっちに来るまでは周りの景色なんてのんびり見てられなかったし。
そーくんとの二人旅はあの時以来だから凄く楽しみだな。
そんな訳で3章も終了して次回から4章に入ります。
のんびりと言えば聞こえはいいけど、ぐだっていると言われたらそれまでなお話にお付き合い頂きありがとうございます。
4章はのんびり旅行をしながら学園へと戻ります。




