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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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37-4 ただいま

よろしくお願いします。

休みのうちに何とか投稿!

そーくんから貰った血のおかげで、さっきまでとはまさに桁違いの魔力が全身を駆け巡っている。

今ならドラゴンだって吹き飛ばせそうね。

そう思いながら上空を見れば、いまだに次元の扉から顔を出してこちらに出ようとしている魔物の魔法と、地上からそれを食い止めるべく蜘蛛たちから放たれている糸が拮抗していた。

……いや、わずかに分が悪いみたい。ちょっとずつ押されているわ。

なら急がないと。

練り上げた魔力を使って魔法陣をくみ上げる。

これで更に密度の高い魔法が放てるはず。


『私も力を貸しましょう』


世界樹から魔力が送られてきて、魔法陣が倍の大きさになる。

また別方向からは魔力が籠った矢が次々に上空へと飛んでいった。

エルフの戦士たちだ。

あ、あれはここに来て初めて会った4人組ね。

その後ろから植物の魔物たちが木の実か種みたいなのを投擲しては、その実が爆発を起こしている。

みんなのお陰で若干押し返している。

よし、これなら!


「行くわよ。凍り付け『アブソリュート・ゼロ』!!」


魔法陣から大量の冷気が噴き出す。

それは先ほどの次元の扉を開けた時の再現のように白い柱となり、世界を染め上げていく。

その柱に触れたものは例外なく瞬時に凍り付いていった。

蜘蛛の糸も魔力の籠った矢も上空の魔物が放っている魔法も、そしてその魔物自身も。

私の魔法が収まると、辺りは静寂に満ちていた。


「やったの?」

『いえ、残念ながら倒せてはいません。あれは表面が凍り付いたのみです』


私のつぶやきに世界樹が答える。

そしてそれを肯定するかのように、魔物の目がギョロッとこちらを見た。

その目は怒りを湛えつつも、どこか余裕そうにも見える。

今のでダメとなると、もっと強力な一撃を用意しないといけないんだけど、今の私に制御できるかな。

そんな私の心配をよそに、凍った蜘蛛の糸の上を駆け上がっていく人が居た。

……そーくんだ!

右手にはいつの間にかジルの杖が握られている。


「そーくん!」

「行ってきます、リーンさん。

リーンさんのお陰で物理的に固まってくれたので、今なら僕でも打撃を与えられそうです」


瞬く間に魔法と糸がぶつかり合っていた所まで駆け抜けて行くと、それをジルの杖でフルスイングした。

ガキィィーーン!って凄い音が響くと同時に魔法と糸が絡まり合って凍ったそれが魔物目掛けて飛んでいく。


『ゴボッ』


それの直撃を受けた魔物が初めて声をあげた気がした。

でもそーくんはそれに満足せず、自分も魔物の所まで飛ぶと、目と思われる部分に突きを放った。


『グババブ』

「いいから吹き飛べ!」


止めとばかりに上段切りを叩き込むと、堪らず扉の向こうへと魔物は消えていった。


「よし、今度こそ『閉鎖』!」


まるで両開きの扉を閉めるように、次元の扉が閉じられた。

そして今度こそ、森に静寂が戻り、月明かりに照らされた深緑の景色が帰ってきた。

しばらく周囲を眺めていると、上空からそーくんが駆け降りてきた。


「リーンさんのお陰で無事に何とかなりました。ありがとうございます」

「とは言っても、最後の美味しい所は全部そーくんが持っていっちゃったけどね」

「あーそれはごめんなさい。

それと改めて、ただいま」


そう言ってそーくんは私に笑顔をくれるのだった。

本当は世界樹の森に被害を出しつつ何とか撃退ってルートも考えていたのですが、こんなかたちに落ち着きました。


本章ももうすぐ終わりです。

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