37-3 次元の扉
よろしくお願いします。
週2投稿のペースになってしまってますね。
6月もまだまだ加速は厳しそうです。
ジバンリン暦52年9月15日
夜。雲一つない空を、満月を1日過ぎた十六夜の月が頭上で輝き世界樹を照らす。
あと数分で大精霊様が次元の扉を開いてくれる手はずになっている。
『準備はよろしいですか?』
「はい、私の方はいつでも」
眼下に広がる世界樹に宿る大精霊様から声がかかる。
私は、本当なら物凄く恐れ多いことなんだろうけど、それを世界樹の真上で聞いていた。
あ、もちろん大精霊様にもルゥさんにも許可は取ってある。
聞けばやっぱり無断で上空に留まるのは不敬で過去にはそれでドラゴンを糸で引き釣り下したこともあるらしい。
あれ?一瞬レンさんの顔が過ったけど、気のせいよね。
と、そんなことを考えていたら、世界樹の魔力が高まっていくのが感じられた。
とうとう始まるらしい。
『いきます』
短い掛け声と共に世界樹全体が光り始め、森全体がそれに呼応するかのようにザワザワと渦を巻き始める。
その光景はまるで、子供のころに聞いたおとぎ話の魔神召喚の儀式にも似ている気がする。
そして世界樹が直視出来なくなるほどの光を帯びたとき、その光が上空にいる私を包み込みながら夜空へと吸い込まれていくと、月の数倍の大きさの光の円ができた。
あれが恐らくは次元の門なんだろう。
「あっ」
今、次元の門から何か出てきた。よく見えないけど人影っぽかったから、そーくんだろうか。
って、もしそーくんだとして、こんな上空から落ちてきたら大変じゃないかな!?
そーくんは飛べないだろうし、しっかり抱きしめてキャッチしてあげないといけないよねっ、ね。
でもそんな浮ついた心配をする余裕はすぐに無くなった。
さっきまで光っていた次元の扉が夜よりも暗い闇色に染まる。
同時に膨大な悪意と共に何かが扉を抜けようとしてくる。
あれはなに?
ヘドロの塊のようなものに辛うじて顔と判別できるように目と思われる光る部分が2か所見える。
「大精霊様。すぐにゲートを閉じて!!」
先に出てきた人影から声が飛んでくる。
やっぱり。この声はそーくんだ。
『だめです。かのモノが邪魔で塞げられません』
「ならみんな、全力でやつを追い返すよ!!」
そーくんの掛け声に、森がまるで返事をするかのように『ゴオオォォォ』ってうねり出す。
そして森の影という影から一斉に蜘蛛の糸と思われる白い線が上空へと飛んでいく。
しかし、それに対抗するように闇の魔物からも黒い魔法が吐き出される。
まるでそれは、世界を黒の軍勢と白の軍勢が覇を競う、聖魔大戦のような光景だった。
「って、見とれている場合じゃないわね。私も加勢しないと!」
ただ、この状況で中途半端な魔法を私が出しても焼け石に水かも。
でも何もしないよりましだろうから魔法を放つ準備をする。
と、その時、そーくんから声が届いた。
「リーンさん。今そっちに行きますのでちょっと待っててください」
そう言いながら私の方に加速しながら落ちてくるそーくん。
あれ?あれって、飛んでるのかな。
そして、そーくんが私の前に急降下してきた。
「リーンさん。ただいま帰りました」
「おかえりなさい、そーくん。って、そーくん、飛べるようになったの!?」
私は今も上空に留まったまま。その目の前にいるそーくんも、もちろん地面に足なんて着いてない。
「これですか?うーん、飛んでる訳じゃないんですよね。今はただ空中に立っているというか。
まぁ、詳しい話はあれを追い返してからにしましょう」
「それもそうね。それにしても、あれは何?」
「僕もよくは分からないんですけど、闇の吹き溜まりというか、次元の番人というか、とにかく物理攻撃がほとんど効かないんですよ。
なので、今はリーンさんの魔法が頼りですから、はい」
私に向けて首筋を差し出すそーくん。
これってあれだよね。
「じゃあ、いただきます」
そーくんの首筋に歯を当てて、血を飲ませてもらう。
おいし~♪ゴクゴクゴクゴク。
そーくんが居なくなってから、そーくん印のブラッドベリーで何とか凌いでたけど、やっぱり本物は別物ね!!
ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク。
「よおし、これでって、そーくん!?」
私が口を離すと、そーくんがふらっと倒れそうになったので慌てて支える。
「リーンさん。飲み過ぎです」
「あ、あははっ。久しぶりだったから、つい、ね」
「じゃあ、その分、特大なのをよろしくお願いします」
そーくんはそう言いながら上空を指差すのだった。
そんな訳で、やっと帰ってきましたソージュ。
付いてきたのは巨神〇とかをイメージしてもらえれば。




