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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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37-1 世界樹の特訓

よろしくお願いします。

特訓風景が若干マンネリ化してそうで怖い今日この頃。

ジバンリン暦52年9月5日


気が付くと薄暗い洞窟の中に居た。

周囲を見渡せば天井から木の根が無数に地面へと伸びていて、樹海のようでもあるけど、上を見れば土で覆われているから地下なのは間違いない。

この木の根ってもしかして世界樹?

じゃあ、ここは世界樹の地下ってことなんだろうか。

ルゥさんは特訓って言ってたけど、どういうことかな。

その疑問はすぐに無数の視線によって思い知ることになった。


「誰!?」

「ボーっとしないで。来るわよ!」


後ろから叱責と共にグイッと引き寄せられると、同時に四方から白い糸が飛んでくる。

これは、蜘蛛の糸。なるほど、ここに来て世界樹の森の守護者の登場って事ね。

それと私を助けてくれたのは、緑髪の、ジルだ。

ジルは人の姿で世界樹の杖を片手に周囲を警戒していた。


「回避レベル3って所ね」


そうジルがつぶやく間にも次々と糸が飛んでくるので、私達は急いでその場を飛び退いた。


「この糸を吐いてくる蜘蛛を倒せばいいの?」

「無駄よ。今の私達では勝ち目は無いわ。全力で避け続けなさい」

「避け続けろって。このままじゃジリ貧じゃないの」

「大丈夫よ。避けきれなかったらむち打ちの刑にされるかぶっ飛ばされるだけだから」

「それ、全然大丈夫じゃないじゃな、きゃああっ」


一瞬油断した隙に私の左足に糸が巻き付いた。

同時にもの凄い力で一本釣りにされると、近くの木の根に叩き付けられる。


「がはっ」

「リーン!!ぐっ」


私を助けに来ようとしたジルが別の糸に吹き飛ばされる。

まずい、このままだと特訓どころか袋叩きに遭うだけだわ。


「……?」


急いで叩き付けられた体勢を直しつつ追撃を警戒したけど……来ない?

そういえば巻き付いていた糸もいつの間にか解けてる。

っと、来た!!

なるほど。こっちの体勢が直るのを待っていてくれたのね。

だから特訓か。良心的、なのかな。

ルゥさんは確か空間把握能力をって言ってたから、この四方八方から飛んでくる糸を回避することでそれを養えって事だと思うけど。

でも避けろとは言われてはいないから。


「こういうのも良いの、かな」


飛んで来た糸に魔法で生み出した氷弾を当てて軌道を逸らす。

落ち着いて周囲を見回せば、木の根の影から糸を吐こうとしている蜘蛛の姿が見える。

幸い蜘蛛の糸は直線でしか飛んでこない。

なら蜘蛛のいる方向にあらかじめ氷弾や氷壁を用意しておけば大分対処は楽になった。


「ジル。そっちは大丈夫?」

「ええ。久しぶりでヘマしたけど、もう大丈夫よ。

でも、そうなってくるとレベルが上がるから気を付けて!」


レベルが、上がる?

ジルの言葉を聞いたのか、さっきまで見えていた蜘蛛たちが姿を消した。

……撤退した?別の魔物が来るの?

残念だけど、その予想は外れて私は正面から飛んで来た糸に弾き飛ばされた。


「いったぁ。今の一体何?」

「単純に正面に居た蜘蛛が吐いた糸に殴られたのよ」

「でも、そんなところに蜘蛛なんて居なかったわよ」

「見えなかっただけ。森の魔物なのだもの。森に擬態したり姿を消すのもお手の物よ」

「ぐっ、それじゃあ、はっ、いったい、どうしたら」


話ながら、飛んでくる糸をギリギリ氷壁で防いでいく。

でもこれじゃあ後手に回り過ぎてて、少しでも反応が遅れたら間に合わない。


「一応、糸が、若干の魔力を纏ってるから、それと空間の揺らぎを元に、察知して、動くの。こんな風に」


そう言うジルの元にも次々と糸が飛んできていて、それを何とか持っている杖で捌いている。

ただ、ジルも結構いっぱいいっぱいみたいで、こっちに構っている余裕はないみたいだ。


「そんな突然魔力と揺らぎを感知しろって言われても。って、いやあぁぁ」


前後左右から次々と飛んで来た糸にぐるぐる巻きにされて近くの木に吊るされた。

幸い魔力を封じられたりはしていないから、何とか糸を切り裂いて抜け出せるんだけど、これ、実戦だったら確実に死んでるよね。

そして、まるで泣き言なんて聞かないと言わんばかりに、今度は次々と糸が飛んできて、その度に私は弄ばれるのだった。




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