39ー5 そして世界樹の森へ
よろしくお願いします。
5月いっぱいは忙しい日々が続くため、更新もまばらになります。
6月は・・・・・・orz
ジバンリン歴52年8月28日
風がゴーゴーと音を立てて吹き荒れ、下を見れば木々が点にしか見えない山の頂上、その更に上空に私は立っていた。
隣を見ればレンさんがニコニコしてる。
「それにしても、本当に1か月足らずでここまで飛べるようになるとはね」
「先生がよかったからね」
「それほどでもないわ。
と言いたいところだけど、リーンの魔力は元々凄く安定していたからね。
それが無かったら間違いなく今も飛べなかったはずよ。
だからこの場合の先生は私じゃないわね」
「言われてみれば心当たりはあるかも」
思い返してみれば、魔力を安定させる特訓ってフレイ様に言われてやったんだっけ。
教えてもらった内容を思い返しながら魔力玉を幾つか発生させてクルクルっと回す。
だんだん玉の数を増やしたり、強弱を変えたり、速度を変えたり。
「懐かしいわね、それ。
小さい頃、よくお父様にそれで遊んでもらったっけ」
それを見たレンさんが懐かしむように目を細めた。
そしてレンさんも魔力玉を10個20個と生み出して見せてくれ……って、あっという間に数百を超えて余裕で1000を突破している。
こうしてみると、魔力の総量もだけど、制御力も段違いね。
レンさんはそれを今度は1つに纏めると、って、それどんだけ高密度なの!?
まるで何でも無いようにポーンと上空に放り投げてしまったそれは、天高く昇ったところでパァーンって音とカラフルな光をふり撒きながら大爆発した。
「……綺麗」
思わずため息が出てしまった。
もし虹の精霊が居て、その誕生の瞬間に立ち会えたらこんな感じなのかな。
なんてちょっとロマンチック過ぎる?
「花火って言うらしいわ。お父様の故郷では夏に大量の花火をあげるそうよ」
「へぇ。レンさんのお父様の故郷には、強力な魔法使いが大勢居たのね」
私の言葉に曖昧な笑みを浮かべるレンさん。
あれ、違ったのかな。
「それより、無事に飛べるようになったみたいだし、リーンはもう行くのかしら」
「ええ。時間的にはまだ余裕があるけど、向こうで問題が起きないとは限らないし」
「そうね。昔程では無いけれど、森に住むエルフはまだまだ閉鎖的な所があるから、余所者には厳しいかもね」
そう言って今度は苦虫を噛んだような顔をする。
前になにかあったみたいね。
そしてわざとらしく話を変えてきた。まぁ良いんだけど。
「そういえば15年前にもこの山に人が来ていたらしいわよ」
「らしい?」
「ええ。その時はちょうど、これからリーンが向かおうとしている世界樹の森の更に南の海に行っていたから」
「そうなんだ。それで、その人も飛行スキルを習得していったの?」
聞くとレンさんは首を横に振った。
「ううん、残念ながらその人は魔法がからきし苦手だったらしくてね。
まぁ対応していたのが私たちの中でも脳キンのゲイルっていうのもあったんだけど、途中で飛ぶのは諦めたみたい」
「折角、竜の山まで来たのに残念ね。
スキルを教えてもらえたってことは、そのゲイルさん?に認められたってことなんでしょ」
「そうね。なんでもゲイルと拳で語り合ったらしいわ」
「うわぁ~」
もちろん人の姿だったんだろうけど、それでもドラゴンと殴りあうってオーガみたいな人だったのかな。
「そんな訳でもしどこかで出会ったら自慢してあげなさい」
「あはは。まぁ早々会うこともないわよ。
じゃあ、そろそろ行くわね」
「ええ。またいつでも遊びにいらっしゃい。歓迎するわ」
「ありがとう。じゃあまたね」
そうして私は1ヶ月足らず居た竜の山を飛び立ち、実家に挨拶をしてから南へと向かった。
目指すは世界樹の森。まずはその入口に当たるハーフエルフの集落だ。
これにて竜の山とレンさんの出番は当分終了です。
そしてようやく世界樹の森へ。もうちょっとで3章も終わります。
……はやく学園ものに戻りたい(え、むり?)