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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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39-1 竜の山

引き続きのリーンさん視点です。

ジバンリン暦52年8月2日


私は早朝から実家を出て竜の山の麓を目指して移動していた。

といっても、実家のある集落が竜の山のすぐ傍なので、走れば2時間ほどで辿り着けるんだけどね。

ただ、そもそもドラゴンってそんなに簡単に人に会ってくれるのかしら。

竜人族であればドラゴンの眷族って立ち位置だって前に聞いたから何とか会えそうな気もするけど。

ってそうか、ゾルタに一緒に来てもらえば良かったんだ。

ちょっと失敗したかな。でも今から帰って連れてくるわけにもいかないし、このまま探すしかないか。


「さて、お母さんの話では、まず門番をしているドラゴンに挨拶をしなさいってことだけど、どこに居るのかしら」

「ん、俺の事を呼んだか?」

「え?」


私のつぶやきに、まさか応えが返って来た。

声の方を見れば身長180センチくらいの筋骨隆々な青年が岩に腰かけてこちらを見下ろしていた。

良く見れば額には角があり、首元や手首の一部が鱗で覆われているから竜人、いや、ドラゴンが人の姿に変えていると言った所かな。

ま、もろもろ聞いてみれば早いよね。


「はじめまして。私はリーンと言います。あなたがこの竜の山の門番をされているドラゴンですか?」

「ああ、そうだ。といっても門番は持ち回りだけどな。俺の名前はサラバラだ。

それで、リーンって言ったか。ここには何をしに来た?返答次第では力尽くでも帰ってもらう事になるぞ」


言いながら視線に圧力を加えて来るサラバラさん。

くっ、軽く睨んだだけでこれってことは、やっぱり相当な実力の持ち主ね。


「私がここに来た目的は、飛行スキルを習得する為です。

ドラゴンの方々は空を飛ぶのに飛行スキルを使っていると伺いましたので、伝授して頂きたいと思ってまいりました」

「……ほう。俺の威圧を平然と受け止めるか。最低ラインはクリアだな。

だが実力の無い者に教えることなど何もない。

ましてや飛行スキルはお前たち人間にとってはかなり難易度の高いスキルだ。

諦めて帰る事をお勧めするがな。

人間、空なんて飛べなくても生きていけるはずだ」


しっしっと、追い払うジェスチャーをするサラバラさん。

でも私だってここで帰る訳にはいかないの。

何とかして認めてもらわないと。


「実力があればいいんですよね?」

「ん?」


そう言いながら、私は自分に掛けていた負荷魔法の一切を解除していく。


「なっ」

「サラバラさんと勝負をして勝てば認めてくれますか?」


サラバラさんは突然膨れ上がった私の魔力に驚いてくれているようだ。

でも次の瞬間、驚いた顔が獰猛な笑顔に変わる。


「はっ、実力を隠していやがったのか。

良いぜ。お前さんの実力、試してやろう」


どこからともなく巨大なハンマーを取り出すサラバラさん。


「ん?ははっ、今のは空間魔法の一種だ。お前たちが使ってるアイテム袋と同じようなもんよ。

じゃあ、簡単にくたばってくれるなよ」


驚く私にニィって笑って種明かしをしてくると、こちらに向けて弾丸のように飛び込んできた。

私は咄嗟に横に飛んで回避すると、ズドォンとおよそ人が立てるものではない音と振動が起きる。

振り返ればさっきいた場所は大きく陥没していた。

あれの直撃をくらったら1発でアウトね。なら。


「『アイスバレット20連射』」

「へ、効くかよ。そらっ」


私が左手で放った氷弾をハンマーの一振りで粉砕して、更にこちらに迫ってくる。


「『アイスハンマー』!!」

「おっと、軽い軽い」


上空から叩き落すように氷塊をぶつけてみたけど、1トンくらいはあるはずのそれを片手で受け止めてしまった。

人の姿はしていてもドラゴンの力は健在ってことね。

わたしは後ろに下がりながら更に左手で氷弾を撃ちまくって牽制を行っていく。


「おいおい、啖呵切っておいてこれで終わりなんて言わないよな。

隠し玉があるならさっさと出さないと終わるぜ」


数百発の氷弾が粉砕されて、辺りにうっすらと霧が出来てきた。

よし、攻めるならここね!

サラバラさんの再度の突撃に対して、今度は避けずにこちらから踏み込む。

それを見たサラバラさんは獰猛な笑顔を私に向けると、


「残念だが油断はしねぇ『風陣』」


竜巻が彼を包み込む。

それは周囲に展開していた冷気を吹き飛ばし、私の攻撃に対する壁となって立ちはだかった。

でも、竜巻なら上下は空いているはず。


「『アイスハンマー』…『アイスパイル』」

「また上か、って、ぐほっ」


上と見せて下から死角を突くように氷の杭を打ち上げると、見事顎にクリーンヒットした。

そして体勢が崩れてがら空きになった胴へと氷の槍を纏った渾身の右ストレートを突き刺す。

サラバラさんでも流石にこれは効いたのか、後ろに数メートル吹き飛んだあと、地面に倒れた。

……あれ、死んでないよね。


「……はっはっはっ。いやぁまいったまいった」


私の心配をよそに、笑い声を上げるサラバラさん。

この様子だと全然無事っぽい。あ、でもすぐに起き上がろうとしない所をみると、それなりに効いてるのかな。


実力を伴っていないと話も出来ないっていうのは、弱肉強食の世界ではよくあることです。きっと。


そしてリーンさん視点を、竜の山までで終わらせるか、ソージュが帰ってくるまでにするかで悩み中。

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