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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第1章:Eランクの僕と彼女
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4-3 幽霊屋敷にて

よろしくおねがいします。


前半ホラーチックにしてみましたが……全然怖くないですね、きっと。


おっと、ブックマークと評価が増えてる!!

ありがとうございます。

ギルドに紹介された幽霊屋敷の前までやってきた。


塀の外から見た感じは、庭は美しく、建物自体も立派で、

上流階級の貴族の家といった感じだ。


ギルドから借りた鍵を使って屋敷の中へと進む。

落ち着いた雰囲気の佇まいで、以前の持ち主の品の良さが伺える。


……静かだ。

今のところ幽霊の気配も瘴気も感じられない。

そのまま、問題となっている寝室へと向かってみる。

えっと、ここかな。


コンッコンッ。


幽霊が居るかも知れないので、一応ノック。

反応は……無いか。

意を決してドアノブを回す。


……誰も居ない。

いや、当たり前だけど。


部屋の中を見回してみる。

布団が綺麗に整えられたベッド。

衣装ダンスに文机。どれも持ち主の生前のままなのだろう。

綺麗に整頓されている。

衣装ダンスの横の姿見の鏡。

そっと覗いてみる。


っ!?


背後に肖像画が映っていてビックリした。

突然、肖像画の目が動き出した!

……なんて事も無い。


さて、寝室に何かあるかと思ったけど、そうでもないようだ。

であれば、幽霊の正体は自殺した持ち主ではないのかもしれない。

他に手がかりはないかと、別の部屋も見てみる。

客間、居間、浴場、地下のワインセラー、食堂。

建物の中を一通り回ったが、どこも綺麗なままだ。

でも幽霊の手がかりになるような物は見つからない。


時間帯が悪い?

幽霊だから夜じゃないと活発に活動しないのだろうか。

そうであっても、日中の内に見れるところは見ておこう。

後見ていないのは、庭くらいか。


リーン♪


ん?そこ?

精霊の囁きに導かれるまま、庭の一角に目を向けると1輪の花が咲いていた。

この花が幽霊の正体ってことなんだろうか。


「こんにちは」


……反応なしか。

精霊が意味も無く囁くことはまず無い。

あ、もしかしたら栄養不足で話せないのかな。

もし幽霊として活動できるくらいの能力があるなら、人の血液を吸ってで元気になるかもしれない。

物は試しだ。

僕は自分の左手首を切って、流れ出た血液を花の根元に垂らしてみる。


その瞬間。

花全体が光ったと思ったら、一人の女性が佇んでいた。

黒を基調とした服に、白いエプロンドレスを付けた……メイドさん?


「お初にお目にかかります。新しい旦那様。

私はシルキーのキーヌと申します。

以後、お見知りおきを」


そう言って静かにカーテシーをするメイドさん改めキーヌさん。


「ご丁寧にありがとうございます。

僕はソージュ・ライオネルです。

えっと、キーヌさんに幾つかお聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか」

「勿論でございます。それと私のことはキーヌと呼び捨てで。敬語も不要でございます」

「あ、うん。じゃあキーヌ。

まずさっきの『新しい旦那様』ってどういう意味?」

「そのままでございます。

先代の主様は既にお亡くなりになっております。

その為、先程、旦那様が血の契約をお交わしになった事で、旦那様が私の主となりました」


あーなるほど。

さっきの血を栄養じゃなくて、契約だって捉えてしまったのか。


「大変美味しゅうございました。

出来ましたら、また折を見て頂きとうございます。

あら、まだ手首に少し残っておりますね。勿体無い。

はむっ。ぺろぺろっ」


手を頬にやってうっとりとしていると思ったら、僕の左手首を舐め始めた。

既に血は止まってるんだけど、くすぐったい。

クールに見えて独特な空気を纏った子だな。


「えっと、先代の主様っていうのは、このお屋敷の持ち主であってる?」

「ちゅっ。はい、左様でございます」

「なら先代が亡くなった後、屋敷に来た人たちを追い返したり、屋敷を綺麗にしていたのはキーヌかい?」

「ご明察です」


なるほど。

先代の遺志を受けて、屋敷を維持しようとしていたってことか。


「じゃあ、今はこれが最後の質問だけど、僕は用が済んだら自分の家に帰るんだけど、キーヌも一緒に来る?

というかここから動けるのかな?」

「はい。旦那様のそばが私の居場所です。ご迷惑で無ければ先程の花を鉢植えなどに移して持っていってください」

「キーヌはあの花の精なの?」

「いえ、あれは私の宿り木。旦那様でいうベッドでございます」

「なるほど。ベッドが変わると寝づらいよね。うん、分かった」

「ご足労をお掛けします」


そうと決まれば納屋から植木鉢を持ってきて、慎重に根元の土ごと移し変える。

後は寝室に行って、ベッドや机など、アイテム袋に入るだけ詰め込む。

っと、なんとかシャンデリア以外は収まった。


そうして僕はキーヌの植木鉢を抱えて屋敷を後にした。

あ、キーヌは必要な時以外は宿り木で休眠しているみたい。



シルキーのキーヌさん登場(こらそこ!安易なネーミングとか言わない!!)

キーヌさんの出生の秘密は、今度のサイドストーリーでお送りします。たぶん。


それにしても、ちょっと目を離したスキに女の子が増えていく。


##########


無事に依頼も果たし、寮へと戻ってきたソージュを待っていたのは

侮蔑の籠もった眼差しだった。


次回:寮のルールとランクの関係

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