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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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38-1 学園便り

スケジュールから2時間くらい隙を見つけて一気に書いてるので、誤字が目立つかも。

ジバンリン暦52年7月18日


鬼族の町を出発して西へと向かう私の元に、共鳴石から連絡が入った。


『リーン先輩、今よろしいかしら?』

「うん。その声はエルちゃんだね。って、あれ?

エルちゃんは今どこにいるんだっけ」

『……学園に残っていますわ』


あ、この声は怒ってるみたい。

そういえば、すっかり忘れていたけど、エルちゃんとは学園ダンジョン50階層で魔物に襲われた時に別れて以来だ。

そーくんが居なくなった事に気を取られて、あの時エルちゃんが居なかったのに気付かなかったよ。


『はぁ。その様子ですと、今気が付いたみたいですわね』

「う、うん。ごめんね」

『まぁ良いですわ。フレイ様から事の顛末は聞きましたから。

確かにソージュが居なくなったのであれば、気が気ではないでしょうしね」

「そう言ってもらえると助かるよ。それで、学園で何か起きたの?」

『ええ。私たちに直接関係があるかはまだ分かりませんが、念のため伝えておいた方が良いかと思いまして。

単刀直入に言いますと、マリアッジ学園の南に新たな学院が創られましたわ』

「……はぁ」


学院?学園とは何か違うのかな。

学び舎という意味ではきっと同じだよね。


「えっと、それって何か問題があったりするの?

マリアッジ学園が特に有名ってだけで、大陸を見渡せば他にも学園ってあるんだから、今更増えたからってどうって事ないよね」

『普通ならそうですわ。

ただこの時期に出来たことと、他に2点気になることがありまして。

1つはその学院を創設したのが、マリアッジ学園の元理事のひとりだということ。

そしてもう1つは人族至上主義の貴族院を謳っていることですわね』

「うわぁ」


なるほど。

マリアッジ学園とは真逆の理念ね。

学園は人種、民族の融和をテーマに、お互いを理解し、尊重し合う事を第一としているもの。

それに対して選民思想を前面に掲げてくるとはね。


『世界中の貴族階級に声をかけているようですし、学園内においてもスカウトと称して引き抜き工作が行われていますわ』

「ということは、エルちゃんも勧誘されたの?」

『ええ。もちろん突っぱねておきましたわ』

「だよね。ちなみにお兄さんの方は?」

『そんな甘言に流されるようなら家族の縁を切るって言っておいたから大丈夫だと思うわ』


むしろ流されてくれれば、って呟いてたのは聞かなかったことにしようかな、うん。


「先日の魔物の襲撃や盗難とは関係あるのかしら」

『無いと考えるのは楽観過ぎるでしょうね。特に盗難騒動の方は、その理事が内側から手引きしたと考えれば色々と納得がいくし』

「たしかに。後は、彼らの目的が何かってことよね」

『どうせ大した事ではありませんわ』

「分かるの?」

『これでも王族ですから。ああいった輩は小さい時から良く見てますわ。

一言で言えば小物。ただ自己顕示欲と嫉妬心が強いだけで、大した信念もないタイプです。

まぁ、そういった人には裏から操っている者がいる可能性が高いのですが』

「じゃあ、今回も?」

『ええ。少なくとも学園長にすらなれないような男が魔物をどうこうすることなんて出来ませんから』


言われてみれば。

そーくんが出会った凄腕の剣士は権力なんかとは無縁の存在だろうし、魔石を使って魔物を進化させたりする技術なんて学園では聞いたこともない。

逆に言えば、それが出来る位すごい存在が裏に潜んでいるって事なのかも。


『まぁ、こちらの調査に関しては私にお任せください。

リーン先輩はソージュの帰還に注力してください』

「うん、ありがとう。

でもエルちゃんも十分気をつけてね」


お礼を言って通話を終了する。

うーん、そーくんの痕跡を辿りながらって思っていたけど、少し急いだ方がいいのかもしれない。

そう考えながら走っていた所で、視線の先に次の町が見えてきた。



エルさん視点で、とも思いましたが、リーンさんとの通信で終わってしまいました。

余談ですが、学校と学園と学院、呼び方だけで明確な違いはないみたいですね。

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