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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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35-2 親子の再会

うーむ、暗めな話を書こうとすると筆が止まりますね(言い訳)

翌日の夜中。

僕達はようやくりーんちゃんのご両親が居るであろう村が見える丘の上にたどり着いた。

村の夜は早い。この時間では明かりはまったく見えず、ほとんどの村人は寝静まって居るようだ。

だから、りーんちゃんを送り届けるのは朝になってからの方が良いだろう。

と、思っていたんだけど。


「りーんちゃん。残念だけど悪い予感のひとつが当たったみたいだ」


そう言って指差した先では、暗闇の中を動く人影が小さく見えた。

夜中にも関わらず明かりも付けずに動くそれは、ただ徘徊しているのではなく明確な意思を持っているように思える。

つまりはレッサーバンパイア級かそれ以上だろう。


「お父さん達は大丈夫かな」

「今のところ無事なのは確かだね。今日はここで休んで明日の朝になったら会いに行こう」


不安そうに僕を見上げるりーんちゃんを宥めながら、村の様子を監視する。

ここから見た限り、動く影は2つか。きっとこれ以上近づくと奴らに勘付かれるだろう。

奴らの目的が分からないけど、今ここで突撃していくと被害が大きくなる危険がある。

僕らは不安を抱えたまま、朝日が昇るのを待った。



翌朝。

朝日が昇って村が起き出した頃。

何か事件が起きたらしく、大勢の村人が家から飛び出しては走り、1件の家に集まっていく様子が見えた。

恐らくは昨夜の人影が何かをやったのだろう。人々の慌て具合から殺人の線が濃厚だろうか。


「りーんちゃん。村で問題が発生しているようだけど、落ち着くまで待つ訳にも行かないから、巻き込まれるの覚悟で行くよ」

「うん。何が起きたのかな」

「分からないけど、家畜が殺されたくらいじゃここまでの騒動にならないと思うんだ。

何にしても、まずはご両親に合流しよう」


そうして僕らは他の村人に見つからないように気配を消しつつ、コンパスを頼りに村の北側へと向かう。

途中、村の様子を伺っていくと、やっぱりどこかの家で殺人事件が起きたみたいだ。

小さな村だし、全員が顔見知りだろう。

その中で疑われるのは新参者やよそ者……って僕らが見つかると真っ先に容疑者にされそうだ。

コンパスの指し示すまま歩いていくと、村の外まで出てしまった。

そのまま小道を進んだ先にある小屋へと辿り着いた。

その小屋を見たところで、りーんちゃんが反応した。


「あ!あれがお父さんたちと一緒に住んでた家だよ」

「おっと、慌てないで。一緒に行こう」


飛び出していこうとしたりーんちゃんを引き留めて、並んで歩く。

家の中からは2人分の気配。どちらからも瘴気は感じられない。これなら大丈夫か。


コンコンッ

「はぁい」


扉をノックすると中から明るい女性の声が返って来た。

程なくして扉が開かれると、りーんちゃんが大人になったらこうなるんだろうなって想像出来てしまうほど、りーんちゃんによく似た顔立ちの女性が出てきた。


「はい、どちらさ……まぁ、リーンちゃん!?」

「おかあさん、ただいま!」


女性が驚きの声を上げると同時に、りーんちゃんが抱きついていた。


「なに!!リーンが帰ってきたって!?

おぉぉ本当だ。リーン、よく無事に帰ってきてくれた!!」

「おとうさん。うぐ、ちょっ苦しいよ~」


続いて出てきた男性がりーんちゃんの姿を見るやガシッと力いっぱい抱きしめていた。

どうやらこの人がりーんちゃんのお父さんみたいだね。

そうして一頻り親子の再会を喜んだところで、ようやく僕に意識が向いてくれた。


「君がリーンを連れて来てくれたんだね。どうもありがとう」

「本当に。もう生きては会えないと思っていたのに。なんとお礼をしたら良いか」

「いえ、そんなに畏まらないでください。僕もりーんちゃんとは偶然出会っただけですから」

「いやいや。世の中、偶然出会った子供を救おうとする人はなかなか居ないよ」

「しかも、服の痛み具合から考えて、相当ご苦労があったんじゃないですか?」

「いえいえ。僕にとって旅そのものは日常みたいなものですから。

むしろ、りーんちゃんが一緒に居てくれて賑やかになって良かったですよ」

「っと。玄関先で長々と失礼したね。さぁ大した持て成しは出来ないが中に入ってくれ」


そう言って家の中へと案内してくれるりーんちゃんのお父さんに従って移動しながら僕は一度振り返った。

やっぱり。このままだと危険かもしれないな。


そして作者の強引な思惑により、ルートを右斜め上方に変えております。

元の話では、リーンちゃんのご両親が○○裁判に掛けられて死刑になるルートもあったのですが、私の独断で却下しました。

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