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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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34-3 レッサーバンパイア

よろしくお願いします。


逃走とバンパイア視点で別々にしようと思ったのですが、意外と短くなったので纏めました。

僕達は後ろから追ってくるレッサーバンパイア達の気配を探りながら西へ走る。

距離はある程度稼げたけど、流石にあれくらいじゃ追ってくるか。

あいつ等が元冒険者ならそれなりの探知能力を持っているだろうし。

なら走るだけだと撒くのは厳しいか。


「りーんちゃん、だっこ」

「はい!」


短い返事と共に、僕の胸に飛び込んでくるりーんちゃんを抱えあげる。


「後は極力気配を消しておいて」

「はい」


まだりーんちゃんは走りながら気配を消すのは難しいので、僕がだっこすることでそちらに集中してもらう。

そして僕の胸にしがみつくりーんちゃんを抱き留めながら、走る速度をあげる。

同時に再び魔石を後ろに投げ続ける。

そうそう、投げた魔石は少し間を置いて爆発していくようにしてある。

魔石はまずは奴等の足元近くから、段々自分の足元近く、そして左、左前方、左かなり奥に投げていく。最後は右奥へ小さめなのをひとつ。

これで騙されてくれれば良いんだけどと思いつつ、爆発の煙に乗じて左にコースを変えつつ気配を殺しながら走る。

後は救援要請だ。真夜中だけど、そんなこと言ってられない。


『グランさん、夜遅くにすみません』

『……んん?その声はそー君だね。何か緊急事態か?』

『はい。先日別れた鬼の集落から西へ馬車で4、5日行った所に中規模の町があったんですけど、その町がバンパイアに侵食されているみたいなんです』

『なんだって!?えっと、位置的には、あの町か。

侵食率やバンパイアのランクは分かったりするかな?』

『僕達は町の中には入らなかったので正確な所は分かりませんが、グール化した人を数十人、レッサーバンパイア化した冒険者を1組確認しています』

『冒険者をレッサーバンパイア化か。ならかなり力を持ってると見ていいだろう。

分かった。こちらですぐに対応するから、そー君達は急ぎ避難してくれ』

『はい、よろしくお願いします』


よし、いま打てる手はこれくらいだろう。

背後を確認しても追手が近付いてくる気配もないから、多分上手く撒けたと思う。

後は出来るだけ早くりーんちゃんのご両親に合流するだけだ。

僕は不安そうなりーんちゃんの頭を撫でつつ、コンパスの示す先へと急いだ。


…………


「ちっ、逃げられたか」

「ただの子供と油断しましたね」

「全くだ。まさか魔石に魔力をこめて爆発させるなんてな」

「しかも無能なガキなら自分の逃げる真後ろで爆発させるから左に、多少知恵が回るならそれを囮に逆の右に逃げるだろうと考える。

案の定、だいぶ遅れて右側で手違いのように小さな爆発。

これで俺達は確信を持って右に向かった訳だが」

「恐らくそれすら囮だったんでしょう」


ほんと何者だったんだろうか。

辛子粉末から始まり、魔石を爆弾に使う手際といい、気配の消し方といい、相当な場数を踏んだ熟練の冒険者のようだ。

俺達もあれだけの実力が付けられていたら、奴の誘いを受けることも無かったのかもしれない。

……まぁ今更か。

俺達は力を欲し、人の道を外れた。あの時の決断に後悔はない。

ただ……眩しいな。それでも、次に会ったときには全力で潰させてもらうがな。


「戻るぞ。当初の予定通り、他のメンバーと合流してミナタ村に向かう」

「分かったわ。あ、彼らを追わせていたグール達はどうするの?」

「今から呼び戻すのも時間の無駄だ。

放っておけば勝手に死滅するだろう。

万一生き残って野生化しても、マスター的にはありなんじゃないか?」

「それもそうね」


そうして彼らの姿は夜の闇に消えていった。


ひとまずこれでバンパイア騒動は後回しです。

え、これだけの為に出したの?と思われそうですが、一応今後のネタの為に必要だったんですよ。

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