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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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34-2 パンデミック

よろしくお願いします。


最近、自分で最初から読み返していると、色々書き直したくなりますね。

キリがなさそうなので、まずは先に進む事優先しますが。

夜。

街の明かりを横目に僕らはいつものように夜営を行っていた。


「夜営の準備はもう、りーんちゃん一人でも全部出来そうだね」

「うん。固定の魔法と種火の魔法を覚えてから大分楽になったよ」

「りーんちゃんは魔力が普通の人より多いみたいだからね。

将来はすごい魔法使いになれるかもしれないかもしれないね」

「ほんとっ!?じゃあ、もっともっと練習するね」


僕の見立てだと、現状でも中級魔法使いクラスの魔力を持っていると思う。

ただ、僕だと魔法の使い方までは教えてあげることが出来ないから、早めに魔法の得意な人に師事出来ればいいんだけど。

今はとにかく基礎の魔力運用をじっくりとやるくらいかな。


「さて、それじゃあ今日はもうそろそろ寝ようか」

「はーい」


その日も1時間程、基礎鍛錬を行ってから毛布に包まるりーんちゃんを横目に、僕も仮眠を取ることにする。


……

…………


「ん?」


周囲の気配の変化を感じて意識を覚醒させる。

なんだ、いったい……

気配探知の範囲と精度を上げるも、周囲には何の気配もない。

いや、これは無さすぎるんだ。虫の声すら聞こえない。

これはまずそうだな。


「りーんちゃん、起きて」

「んぅ?おはよう、おにいちゃん」

「うん、おはよう。まだ夜中だけど、やばいことが起きそうだから、移動するよ」

「はい。っと、よし」


気合一声。寝起きの状態からしっかりと覚醒して、てきぱきと身支度を始めるりーんちゃん。

こういうところも、この1週間で大分成長した。

最初は目が覚めてもなかなか動けなかったし。


「!!」


敵意の籠った視線を感じた。

視線の先には町の外壁。そこをよじ登ってこちらを見ている人影が見えた。

なるほど。あれが恐らく吸血病に冒された人なんだろう。

そう思ったのもつかの間、人影が2つ3つと増えていく。

これは、思ったよりもまずいな。もしかしたら既に壊滅状態な可能性もあるかもしれない。


「逃げるよ、りーんちゃん」

「はい!」

「おっと、残念だけど、逃げられては困るんだ」

「なに!?」


声の方を振り返ると、昼間にすれ違った冒険者の人達がいた。

まさか、あの時はまだ普通の人だと思ったのに。


「驚いているようだね。

安心したまえ。日中君たちがあったのは正真正銘、普通の人だったさ」

「それは一体どういうことなんだ?」

「私達は元々普通の人。こうして生まれ変わったとはいえ、元の肉体が失われた訳では無いからね。

普段こちらの姿は内に眠らせているのさ。そうすることで体力の温存にもなるしね」

「なるほど」


つまり、普段は完全に普通の人と変わらないって事なんだ。

これはかなり厄介かもしれない。

もし判別する手段が無ければだれにも気づかれずに国の中枢にすら潜り込めそうだ。

まぁ、それはともかく。まずは僕たちが現状を何とかしないと。


「(りーんちゃん、合図したら西に走って)」

「(はい)」


僕はアイテム袋から薬袋を取り出して、冒険者たちに投げつける。


「ん?なにを……」


ピッと自然と袋が破れ、中に入っていた粉が冒険者達の顔に降りかかる。


「走って、りーんちゃん!」

「待て!ぐぬ、うあっ」

「むぉ、ごほっ」


袋に入っていた粉、辛子だ。

彼らの肉体が元の人間に近いのであれば、辛子の粉が目や口に入ればかなりキツいだろう。


「くそっ、追え、グール共!」


その言葉を受けて、町の方からわらわらとさっきの虚ろな人達が出てきた。

さっきの冒険者がレッサーバンパイアだとしたら、既に人としての理性を失った彼らはグールなのか。

そっちには今の辛子は効きそうにないな。

なら大盤振る舞いだ。

アイテム袋から魔石を取り出してばら撒く。

数瞬後、魔石が爆発して僕とグールの間に爆炎と土煙で壁が出来た。

よし、これで何とか逃げ切れるはずだ。


バンパイアに襲われた街を見事救う、なんてことはしません。

君子危うきに近寄らず(もう近寄ってる?)です。

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