33-1 ふたり旅
投稿が不安定になってしまい、申し訳ないです。
本業が忙しいせいで、今後も不安定になりそうです。
大事件が発生しない限り、最後まで書き進めますので、
暖かい目で見守っていただけると幸いです。
グランさんたちと別れ、僕はりーんちゃんと一緒に西へと向かう。
朴の首には今、おばあちゃんからプレゼントしてもらった、目的地を示す魔道具がぶら下がっていて、りーんちゃんのご両親が居る方向を僕に教えてくれている。
これが反応したって事は、今も生きているって証拠だ。良かったね、りーんちゃん。
でも、りーんちゃんの視線は、悲しげに僕の右手首に向けられていた。
「お兄ちゃん、それ、痛くない?」
「うん、大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
恐る恐る触れられたそこには、自分の尻尾をかじる蜥蜴のような火傷痕が出来ている。
その原因は僕を見送りに来た赤鬼のマルスだった。
……
『もういっちまうのか』
『うん、りーんちゃんを早くご両親に会わせてあげたいからね』
『じゃあ、それが終わったら戻ってこいよな。
今度こそは俺が勝つからな』
『うーん、約束は出来ないかな』
『ダメだ、勝ち逃げとか許さないぞ。
よし、それならこれを受け取れ!!』
言うと共に全身の魔力を爆発させるマルス。
次の瞬間、右手から猛烈な熱光線が放たれる。
『うわっ』
慌てて右手でガードしたけど、3メートル近く吹き飛ばされてしまった。
これを試合の時に使われてたら負けていたんじゃないだろうか。
『いいか、今度会うときまでそれは預けておくからな!』
ビシッと僕を指差した後、マルスは集落に帰っていった。
そして、ガードした右手首には例の火傷みたいな痕が残っていた。
……
「きっとあいつなりの餞別だったんだよ」
そう言って頭を撫でてあげると、やっとりーんちゃんは笑顔を見せてくれた。
実際、この痕からは魔力を感じるし、なにか意味があるのかも知れない。
「それに、折角の二人旅だしね。楽しく行こう」
「うん♪」
ちなみに僕らは今、街道を歩いていた。
周囲には林が広がり、見通しは悪くは無いが、身を隠す場所には困らない。
季節は夏だけど、木で直射日光がある程度遮られる分、暑すぎず過ごしやすいので、これがピクニックとかだったら最高だ。
でもまぁ、実際には魔物やら何やらがちらほらと僕の索敵網に引っかかっている。
幸い向こうはこちらに気づいていないのと、もし来たとしても十分対処できる強さだ。
「そうだ、りーんちゃん。これからの道中で、りーんちゃんにも旅のノウハウを覚えて行って欲しいんだけど、どうかな?」
「うん、知りたい。そしたら、お兄ちゃんのお手伝いとか出来るようになるんだよね」
「そうだね。最初の目標は僕と一緒に、どんな状況になっても生きていけるようになろう。
それが出来るようになったら、自分ひとりでも大丈夫なようにして、最終的に他の人を助けられるようにする。
そこまで行ければ、僕も安心してりーんちゃんにお仕事をお願いできるようになるよ」
「うん、私頑張るね」
そう言って手をぐっと握るりーんちゃんにほっこりしつつ、街道の先に潜んでいる者たちがいるのに気が付いた。
もし僕らを襲ってくるようなら、教材に使わせてもらおう。
「まずは、そうだね。最初に覚えるのは、何が危険でどうすればそれを回避できるか、だね。
最初のステップは、何か気になることがあっても絶対に近づかないこと。
例えば、あそこに蝶が飛んでるよね。
綺麗だなって思っても不用意に近づいてはダメだよ。あれの燐粉は幻覚作用があるから」
「えぇ!?あんなに綺麗なのに」
「厳しい自然の中で生き抜いていくために、みんな色んな武器を持っているんだよ。
例外は木の実とかだね。あれらは実を食べた動物に種を運んでもらう為にあえて無害な時があるんだ。
もちろん毒のある木の実もあるから気をつけてね。
それに実で誘って、葉っぱでグサリ、なんて植物もあるから。
美味しそうだな~って思っても、安易に近づかない、触らない、口に入れない。いいね」
「はい。えっと、じゃああれは?」
りーんちゃんが指差した先には草むらの上に真っ赤な実があった。
「あれは、トラップベリーだね。別名、騙しイチゴ。
一見イチゴに見えるけど、あれは枝の先に出来たコブみたいなもので、あれで鳥をおびき寄せて捕食してしまうんだ。
実際の実は秋ごろに黒味がかった丸い実が出来るんだ。そっちはとっても甘くて美味しいんだよ」
「へぇ。面白いね」
「身近な自然って言うだけでも覚えて欲しい事はたくさんあるんだ。
それと、旅をすると時々出てくるのがあれだね」
僕が指を差した街道の先には、薄汚れた男が3人立っていた。
イチャラブするには年齢的に無理があるので、仲良し兄妹って感じです。
ここから少しの間はほんわかムードで行く予定です(行けるかな)




