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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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32-A エリーと靄

よろしくお願いします。


なんとか間に合った~

Side エリー・ライオネル


旅商人から始めて数十年。

最初の始まりは、あの人との出会い。

そして人生のターニングポイントは、あの人に誓いを立てた時。

その時の誓いを胸に、あの人から頂いた馬車で世界中を駆け回り、町と町、人と人とを繋いでいった。

気が付けば、世界最高の商会と呼ばれるまでに発展した。

ほんと、今があるのはあの人のお陰ね。


「って、こんな風に浸るなんて、私も年かしらね」


そんな事を呟きながら、エルフの森で取れたハーブティーを飲む。

その時、急に世界が揺れたような錯覚を感じた。

今のは、何かがこの世界に来たのね。

それも私に関係のある何かが。

念のため、商会全体に警戒を促しておきましょう。


それから少しして、珍しく息子のグランから念話が届いた。

どうも、次元の亀裂の対応をしていて、お酒が大量に必要になったとの事。

お酒?あの子ってばまた新しい手法を見付けたのかしら。


ザザッ……


その時、念話にノイズが走った。

ノイズ?ってまさか、先日のあれはグラン絡みなのかもしれないわね。

なら調査ついでに、久しぶりに会いに行ってみようかしら。

そうして馬車にお酒をあるだけ積み込んで御者台に乗る。


「さあ、行きましょうか、バカウマ」

『はい、(あね)さん!』


このバカウマも元は普通の馬車馬だったのだけど、幾度となく修羅場を乗り越えた結果、神馬になっている。

10年くらい前にこの子を強奪しようとした馬鹿な国が滅びかけた、なんて事もあったわね。

あの時は私も一緒にはっちゃけたっけ。

ごほんっ、それはいいとして。

私は文字通り、ひとっ飛びでグランの居る場所まで移動した。

……帰りはゆっくり景色を見ながら行こうかしら。速過ぎるのも考え物ね。

さて、グランは……あ、居た居た。

やっぱり。グランの姿にうっすらと靄が掛かって見える。

これ、当事者は気付かないものかしらね。


「こんにちは、グラン」

「あ、お母さんが直々に来てくれたんですね」

「ええ。少し気になることもあったしね」

「気になること?」


不思議そうな顔をするグランの向こう、メイラさんが子供を連れてやって来た。

そう言えば、グランはメイラさんとどこまで行ったのかしら。

きちんとやるべき事をやってるのか後で確認しておかないとね。

って、メイラさんにも靄が掛かっているわね。

それにあの少年。なるほど。この子が元凶みたいね。

しかし私の思考は、その少年の発した一言で吹き飛ばされた。


「おばあちゃん?」

「あら、あらあら」


一瞬胸がキュンとときめいてしまったわ。

確かにこの子、よく見れば小さい頃のグランにそっくり。

でもグランの子にしては大きすぎるわね。

それにしても良い子ね。こんな子が孫に欲しいわ。

って!?私の体も靄に包まれた。

なるほど、大体分かってきたわ。


鬼達の酒宴が盛り上がって来たところで、グランとメイラさんを呼んであの子、ソージュちゃんについて話を聞く。

やっぱり。あの子は未来から来た可能性が高いみたい。

ならこれ以上、私達に関わらせると元の世界に帰れなくなる危険性が高いわね。


翌朝。

先にグランとメイラさんを呼んで、今分かっている危険性を伝える。

気を付けないといけないのは、ソージュちゃんと私達の関係性は極力ぼかすこと。

ここで私が断定してしまうとふたりは確定した事実と受け取ってしまうでしょう。

そして後れてやって来たソージュちゃん達に話をつける。

リーンちゃんは……大丈夫そうね。聞けば偶然助けただけと言う話ですし。


そうしてソージュちゃん達を送り出す。

私に出来ることは、リーンちゃんについて分かることを伝えること、ソージュちゃんの帰りかたを伝えること。後はアイテム袋の中身を充実させる事くらい。

頑張ってね、ソージュちゃん!!

見る人が見ると、かなり危険な状態でした。

グランではまだまだ鑑定系のスキルが貧弱で認識出来ませんでした。


エリーさんとバカウマについては、前作を読んでください。

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