4-1 学生寮とちいさな寮母さん
よろしくおねがいします。
ここからソージュ視点に戻ります。
なお、この先、Eランク主人公に対する差別などが発生することが予想されます。
ちょっぴり鬱展開もあると思います。(出来るだけソフトに進めます)
ジバンリン暦52年3月16日
無事に学園に合格した僕は、今日から学園の寮に移り住むことにした。
「第二男子寮……ここだね」
外から見た寮はとても大きくて、これが校舎だと言われたら信じてしまうだろうな。
玄関から入り、まずは直ぐ横の壁に張り出されている案内図を確認する。
1階は寮母さんの部屋、食堂、共同浴場などの共有スペースがある。
2階から学生の部屋なんだね。
「えっと、僕の部屋は……」
2……3……4……5。
あれ?6階が書かれていない。
あ、そっか。きっと後から増設したから載ってないんだ。
それなら寮母さんに直接確認してみよう。
コンッコンッ。
「はーい、ちょっと待ってください」
寮母さんの部屋の扉をノックすると、奥から女性の声が聞こえてきた。
そして出てきたのは身長130センチくらいの女の子だった。
「はい、なにかご用ですか?」
「えっと、寮母さんですか? 僕はソージュ・ライオネルです。
今日からここでお世話になる事になりました。
どうぞよろしくお願いします」
「これはご丁寧に。寮母のルーメです。
ふふっ。私の事を初見で子ども扱いしなかった人は久しぶりです」
そう言って嬉しそうにする寮母のルーメさん。
その仕草はまさに少女のそれだ。
「ルーメさんは、その耳といい、瞳の形といい、小人族か妖精族の血を引いてるんですよね」
「はい。小人族と妖精族のハーフですよ」
「なるほど、そうでしたか」
ちなみに、小人族は耳が小さくて丸くて、妖精族は瞳孔が2重になっているのが特徴だ。
「それで、今日はご挨拶に来られたのですか?」
「あ、そうでした。
あの、僕の部屋がここの6階だと聞いてきたんですけど、案内図に描いてなくてですね」
「この寮は5階建てですよ。6階がある訳ないじゃないですか」
「え、ですがここに6階と書いてありますし」
「あら、本当ですね。ちょっと待ってください」
一度部屋に戻ったルーメさんは1冊の資料を持って戻ってきた。
「えっと、ソージュ・ライオネルさんは……あ、ありました。
Eランク?6階って……あ、なるほど。屋根裏部屋の事、なんですね。
うーん、分かりました。付いて来て下さい」
そう言って上の階へと上っていくルーメさんに付いて行く。
たどり着いたのは5階の一番奥。
倉庫になっているその部屋に入り、更にはしごを上るルーメさんに続いてって!?
(ルーメさん、スカート!中のねこのプリントが見えちゃってますから!!)
ばっちり見て今更かも知れないけど、ルーメさんがはしごを上りきるまで後ろを向いておく。
「ソージュさん。上がって来てください。って、あら?」
上から声を掛けてきたルーメさんが、僕の顔が赤くなっているのを見て首を傾げている。
あ、でも原因に気付いたみたい。ルーメさんも顔を赤くしてる。
「ソージュさんのえっち」
「えっと、そのごめんなさい」
「いえ、油断していた私が悪いので気にしないでください。
それよりも、ここが、その、ソージュさんに割り当てられた部屋になるんです、けど。
どうしましょう」
歯切れの悪くなるルーメさん。
部屋の中を見渡せば、部屋の広さとしては床面積はきっと3部屋分くらい。
高さも中央で2.5mくらいはあって十分過ぎるほど広い。
造りとしては三角の天井に窓が3つある。
ただ、長いこと誰も来ていなかったのだろう。
埃がすごい事になっていて、掃除が大変そうだ。
あと、家具の類が何もない。
「やっぱりこんな部屋、いや、ですよね」
申し訳無さそうにするルーメさん。
それに僕は努めて明るく応えた。
「こんなに広い部屋を僕一人で使っていいんですか?
窓からの眺めも良いですし、家具とかは自由に置いて良いんですよね」
「それは、まあ。建物を傷付けなければ、あとはご自由になさってください」
「ありがとうございます。それならこの部屋に住まわせてもらいますね」
ルーメさんにお礼を言って部屋に戻ってもらう。
よし、じゃあまずは掃除から始めますか。
寮母さんはミニマムか、パワフル美女か、おばあちゃんがお約束ですね。
この世界にも小動物のペットは存在します。
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屋根裏部屋を割り当てられたソージュ。
掃除をすると共に家具の準備に追われることになった。
次回:素敵なマイルーム計画




