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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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32-5 宴会そして別れ

遅くなりました。

無事に次元の亀裂の封印も終わり、片付けをして集落に戻る頃には日が暮れかけていた。

そして、なんだろう。

日中とはまた違う熱気が集落全体に広がっている。


『大猪を狩ってきたぞ!』

『こっちはコロコロ鳥を10羽だ』

『やるな、風の』

『そっちもな』


……狩猟大会?

さっきので多少わだかまりも解消されたから、今度はスモウ以外でも競ってるんだろうか。

と思ったけど、違うようだ。

広場まで行くと、さっき土俵に使ってた場所に木が積まれて大きな焚き火が灯されているし、その周りに思い思いに椅子やテーブルを用意している。

雰囲気も楽しそうだ。きっとお祭りか宴会だろう。

でも、突然どうして?と思ってたら、グランさんが僕たちを見付けて手を振っているのが見えた。


「グランさん」

「おかえり、そー君。

メイラもその様子なら無事に次元の亀裂の対応は終わったみたいだな」

「ええ。それと、ご無沙汰しております、エリー様」

「こんにちは、メイラさん。また一段と強さに磨きがかかったようね」


メイラさんと挨拶をかわす妙齢の女性。って、


「おばあちゃん?」


別次元に来ているのだから、そんな筈はないんだけど雰囲気が凄く似てる気がする。

僕の呟きを聞いて、その女性、エリーさんは瞳を輝かせて僕を覗き込んできた。


「あら?あらあら!

まぁ。あなた、お名前は?」

「ソージュです」

「ソージュちゃんね。私はエリーよ、よろしくね」

「えっと、エリー様って呼んだ方が良いのでしょうか」

「いいえ、さっきのまま、おばあちゃんで良いわ」


おばあちゃんは優しく僕の頭を撫でてくれる。

それは記憶にあるままのおばあちゃんの手だった。


「それで、おばあちゃんはなぜここに?」

「もちろんソージュちゃんに会いに来たのよ。

と、言いたい所だけど、久しぶりに息子のグランから念話で呼ばれたのよ。

お酒が大量に欲しいってね」

「あ、それ、元々お願いしたの、僕です。

ここの皆さんで宴会が開きたいなって相談してたんです」

「そうだったの。なら気合いを入れないとね。

さぁ、グラン、メイラさん、手伝って」

「はい」

「僕も手伝います」


おばあちゃんの掛け声で全員で馬車に向かう。

おばあちゃんの馬車はグランさんの物より大きく、それを曳く馬もアホヅラよりも2周りくらい大きい。

って、これはもう神馬と呼ぶレベルかもしれない。顔は、どことなくアホヅラに似てる?

荷台の後ろの扉を開ければ、そこには巨大倉庫だった。

これは間違いなく荷台がアイテムボックスになってるんだろう。

そのサイズは桁違いだけど。

僕たちはその一角に積み上げられた酒樽を運び出していく。

その横をりーんちゃんがコップをお盆に乗せて皆に渡していく。


「どうぞ」

『おぅ、ありがとな』


そうして大体コップが渡ったところでバールさんの音頭で酒宴が始まった。

酒宴の様子は……うん。盛り上がったことは確かかな。

途中、マルスが酒を飲んで倒れたり、バールさんとグランさんが飲み比べを始めて潰れたりと色々あったけど、最後は皆でごろ寝していた。


翌朝。

僕はエリーさんに呼ばれて馬車の前に集まっていた。


「みんな集まったね。

さて、話と言うのはソージュちゃんの事よ。

事情は昨夜のうちに聞いたわ。

それでね。ソージュちゃんにはここからはひとりで旅を続けて欲しいの」

「ひとりで?」

「正確にはグランやメイラさんとは別行動を取ってほしいの」

「それは、何故ですか?」


突然の話に僕は付いていけてない。

グランさんとメイラさんは何か心当たりがあるのか、黙って聞いていた。

そんな僕らをみておばあちゃんは話を続ける。


「ソージュちゃんは今、一部の記憶が無いのよね。

それは未来に影響を与えないように何らかのブロックが掛かっている可能性が高いわ。

その状態で無理をすると、元の次元に戻れなくなる危険性があるわ。

だから関係のありそうな二人とは接点を減らした方が安全なの」


なるほど。確かにそれなら別行動をとった方がいいかな。


「あの、りーんちゃんはどうしましょう」

「故郷に帰してあげたいのよね。

彼女と同じ種族が暮らしていた村の場所は知っているから、そこに送り届ける事は出来るわ。

でも、そうね。リーンちゃんはどうしたいかしら?」

「……お兄ちゃんと一緒がいいです」


エリーさんに尋ねられたりーんちゃんは僕の手をぎゅっと掴んでそう答えた。

それを見たエリーさんは満面の笑顔で頷いている。


「そう。分かったわ。

それにしても、ふふっ。これは曾孫を見れるのも、そう遠くはなさそうね」


そんな訳で、僕とりーんちゃんはグランさん達とは別行動することが決まった。

笑顔のエリーさんと、すこし心配そうなメイラさん達に見送られて僕とりーんちゃんは西へと旅立つのだった。

そんな訳で、グランさん達とはお別れです。

次回はエリー視点の閑話、かな。今回急遽ソージュ達を別行動させたいきさつなんかも書ければ。

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