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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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32-1 ソージュ vs マルス

よろしくお願いします。


異世界ですのでスモウと相撲は似て非なるものとお考えください。

土俵に上がって構える僕達。

マルスは見た感じまっすぐな戦士タイプだ。

だから絡め手の心配は無いと思う。油断はしないけど。


そして開始の合図と共に大きく踏み込んでくるマルス。

その動きは大胆でありながら、安定していて、それなりに場数を踏んできている事が伺える。

僕もそれに合わせて一歩踏み出しながら左手を差し出す。


『おおぉ』

「ふっ」

パフッ


マルスの右ストレートを柔らかく受け止める。

くっ、だいぶ受け流したにも関わらず手のひらがヒリヒリする。

僕はその状態から更に半歩前に出ながら右手で掌底を放つ。


『ちっ』

パンッ


マルスも負けずと左手で受け止めると、その力を利用して距離を取った。

にぃっと笑うマルス。多分こういう力比べが好きなんだろうな。


『やるな、ソージュ。

こっからは本気で行くからな』


その言葉と同時に再び大きく踏み出してきた。

たださっきと違うのは、攻撃をジャブによるラッシュに切り替えたってことだ。

これには僕も何とか受けきるも防戦一方になってしまう。


『おぉ、出た。マルスの阿修羅拳!』

『やれ~マルス~!ニンゲンなんてぶっ飛ばせ~』

『おおよ』


周りから鬼の子供達の声援が飛んでくる。

それに応えて更に加速していくマルス。


『……ばか』


マルスの後ろ、多分僕達よりも少し年上の女の子がそう呟いた。

雰囲気がマルスと似ているからお姉さんなのかもしれない。

それと、今の状況を見てそう呟くってことは、多分マルスよりも強いのだろう。

周りの大人たちも目を細めて頷いている。

というのも。


「よっ、せい」

『うわっ』

ドッスン


何十発目かのジャブをしゃがんで避けながら一気に踏み込む。

続いて飛んでくるジャブを無視して体当たりを喰らわせる。

するとマルスは堪らず吹き飛ばされて尻餅をついてしまった。


「勝負あり。勝者、ソージュ」


グランさんが宣言すると、回りからまばらな拍手が起きる。

マルスは僕が手を差し出すと、ばつが悪そうにしつつもその手を取って立ち上がる。


『くそ~やられた~。あそこから突っ込んでくるかよ』

『ばか、調子に乗りすぎなの。後半、姿勢も崩れてたし、速さばかりで力も乗ってなかったわ。

もっとフェイントも入れないと上級者には通用しないわよ』

『いてっ、ねえちゃん』


マルスの頭にチョップを入れながら、そういったのはさっき呟いてた女の子。

やっぱりマルスの姉さんだったんだね。

っと、とそれは良いとして。

僕は周りの大人たちの反応を確認した。


「こんな感じなのですが、如何でしょうか。

今回はマルスが協力してくれたお陰で単純な力のぶつかり合いをお見せしましたが、

雷撃による加速や痺れ、風圧でも加速したり相手を浮かせて吹き飛ばしたりすれば種族ごとの強みも活かせるでしょう」

『あれ、それじゃ俺達赤鬼族は不利って事か?』

「ううん。マルスはその分、基礎能力が高いんでしょ。

基礎って物凄く強みになるんだよ。だから後は技術を磨けば十分互角以上に戦えるよ」

『そっか。なるほどな!』


うん、マルスのお陰で場の雰囲気も明るいし、これなら皆納得してくれるかな。

そう楽観した所で再びゾクッと全身に緊張が走った。

見れば黄色い鬼と緑の鬼、それぞれ1人ずつが1歩前に出てきて僕を睨んだ。


『俺は雷鬼の一族の長、雷神のカンテラだ』

『風鬼の一族の長、風神のハルクだ』

『お前の話は分かった。赤鬼族がお前達と結託しているとは思わんが、それでも俺達を納得させる力を示してもらおう』

『一族の行く末を左右するのだ。それくらいはして貰わねばな。

スモウと言ったな。そのルールで良い。俺達と手合わせしてもらおうか』


くっ、まずい。

この2人、僕より圧倒的に強い。

これじゃ力を示すどころか、瞬殺されて終わりだ。


町の相撲大会ってこんな感じかな?ってイメージでお送りしています(私は見た事が無いですが)

そして風鬼の子供と雷鬼の子供の出番が親の乱入で蹴り飛ばされました。


あ、ちなみに「風神」「雷神」「戦鬼」っていうのは一族の長を表す2つ名みたいなものです。

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