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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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31-2 鬼の喧嘩

よろしくお願いします。


ありがたいことに、ここに来てブックマーク少しずつ伸び続けています。

入口での騒動に気が付いて、広場の鬼達がこちらを見た。

さらに集落中からわらわらと集まってくる。

あ、さっき吹き飛ばされた鬼が説明してるっぽい。

そして広場に居た鬼のうち、赤い鬼の1体がこちらへと歩いてくると、間に居た鬼達が道を開けた。


『よぉ。お前達小さき者が正面から堂々と来るとは、余程自信があるようだな』

「ええ。あなた達と対等に渡り合えるだけの力は持っているつもりよ」

『はっはっは。うちのかみさんと同じぐらいおっかねぇ女だな』


そう言って豪快に笑う赤鬼。

どうやら、先ほどの門番の鬼に比べると饒舌なようだ。


『俺はバール。戦鬼のバールだ』

「私はメイラ。隣の彼はグランで、獣人の彼はカイ。後ろの馬車に乗っているのは、そーちゃんとりーんちゃんよ」


握手の代わりに拳をこつんとぶつけ合うメイラさんとバールさん。

って僕の事は愛称のままなんだね。


『それで?いったい何の用があるんだ。こっちは見ての通り取り込み中でな』

「そうね。用件は別にあるのだけど、まずはその取り込み中を解決する手伝いをさせてもらえないかしら」

『事情も知らないのに、無闇に首を突っ込むと怪我するぜ。

……ただまぁ、俺達だけで解決策もないのも事実だ。

いいだろう。説明するからこっちに来てくれ』


バールさんの案内の元、広場まで移動する。

あれ、いつの間にか周りの鬼達の視線から警戒感が薄れてる?

さっきのやり取りでバールさんに認められたってことなのかな。


『おい、バール。そいつらが何かあるのか?』

『ああ。小さき者たちは頭が回るそうだからな。

この状況を解決する方法がなにか思いつくかも知れないと思って連れて来た』

『ふん、まぁいいだろう。

だが、お前たち。役に立たないようなら叩き出すからな』

「そう。それで、見たところ、部族同士の対立のように見えるけど、どうかしら」

『その通りだ。俺達は少し前にこの奥にある次元門を通ってこの地に来たんだ。

ただ雷鬼の一族と風鬼の一族、そして俺達戦鬼の一族が同時に来てな。

見て分かる通り、雷鬼の一族と風鬼の一族は仲が悪いんだ。

で、どうすればいいと思う?』


えぇ、最後の丸投げっぷりがすごい。

こうして見ると雷鬼(黄色い鬼)と風鬼(緑色の鬼)は仲が悪いを通り越して一触即発にも見える。


「どちらかが、元の場所に帰ればいいのでは?」

『それだと帰った方が逃げたように思われるだろ』

「なら離れて暮らすのは?」

『それでは問題の解決にならん。離れてもいずれはぶつかる』

「……そもそも仲が悪い原因はなんなの?」

『それはな。風と雷と、どっちが強いのか、という話が昔からあってな。

元の世界でも過去に何度も一族を挙げての戦争をし続けてきたんだ。

だが、見ての通り、それほど人数が居ない今、そんな争いをすれば共倒れになる未来しか見えん。

折角、新天地に来たのだ。過去の遺恨を捨てられればいいのだがな』


なんだろう。子供の喧嘩を大人がやってる感じに聞こえてきた。

僕からしたら、どっちでも良いじゃないかって思ってしまう。

あ、でも鬼としてはどっちが強いかっていうのは重要なんだろうね。

って、子供の喧嘩か。


「それなら、殺し合いにならない方法で優劣を決めたら良いんじゃないかな?」

『なに!?』


僕がそう提案すると、みんなが一斉に僕を見た。


「そーちゃん、何か良い案があるの?」

「はい。力の強い大人がぶつかり合うから、殺し合いになってしまうのでしょう?

なら例えば、子供同士で勝負をさせるとか、何かワザを競わせるとかはどうでしょうか」

『ふむ、面白そうだな。具体的には何かあるのか?』

「うーん、きっと球技や競走だと納得しないですよね」

『当たり前だ。それではただの遊びと変わらん』

「それなら相撲とかはどうですか?」

『スモウ?なんだそれは』

「簡単な力比べです。具体的には……」


実際に広場に丸い円を描いて説明してみる。


『なるほど。倒されたり、この線から出た時点で負けということか』

「はい。また、空を飛んだり地面を動かしたりするのも禁止です。

あくまで力と力のぶつかり合いです」

『力と力か』

『なるほど、それは良いな』

『倒された時点で勝負ありというのも早期に勝負がついて良いな』

『だが、子供に一族の誇りを預けるのはどうなんだ』

「子供って、将来その部族を背負って立つことになりますよね。

なら強い子供が居るのは、十分誇れることじゃないでしょうか。

また、1人じゃなく5人ずつ代表を出して戦うとか、毎年勝負するとかどうですか?

子供って成長が早いですから」

『ふむ、なるほどな』

『しかし、そうすると……』


僕の言葉を聞いて、鬼達が相談を始めた。

思いつきで言ってみたんだけど、意外と当たりだったみたいだね。


国や種族によって、重要視しているものって変わりますよね。

それを無視して自分のエゴを押し付けると残念な未来しかありません。

今回は無事に鬼が大切にしている「力」を強調できた形です。

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