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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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30ー3 魔血族

すみません。

思いっきり予定時間に間に合いませんでした。

そして明日もきっと間に合わない気がします。


いや、これから徹夜すれば……

その後、夕食を済ませてから明日からの予定について話し合うことになった。


「明日の昼前には亀裂付近の魔物に接触できる予定だ。

今回は規模が大きいことと、事前調査で組織だった活動をしているようだと言うことなので、まずはコンタクトが取れるか試してみる。

もし話し合いで済むならそれに越したことはないからな」


グランさんの言葉に全員が頷く。

あ、流れでカイさんも最後まで一緒に活動することに決めたみたい。


「その事前調査を行った者たちは、直接接触はしていないのか?」

「していないらしい。というのも調査を行ったのはCランクの冒険者で、それなりに離れた所から観察していたにも関わらず、存在を察知された為、慌てて逃げ帰ってきたそうだ」

「賢明な判断だな」


覗き見されて気を悪くしない者はいないだろう。

選択を誤れば捕まって殺されていた可能性が高い。

だからきちんと生きて帰ってきたその人達は良くやったと言うべきなのだろう。


「それなら俺達が取るべき行動は1つだな」

「ああ」

「正面から堂々と乗り込むのね」


カイさん、グランさん、メイラさんが示し合わせたように頷く。

って、それでいいの!?


「ん?そうか。少年は鬼の気質について詳しくは無いんだな」

「今まで戦ってきた傾向から考えて、鬼って言うのは搦め手を嫌う傾向があるんだ。

だから、こそこそするより堂々としてた方が話し合いに応じる可能性が高いんだ」

「見た目通り、脳みそまで筋肉なのよね」

「な、なるほど」

「だから、上手く行けば拳で分かり合える可能性も、無くは無いらしい。

何でも東の方では三日三晩殴り合いをした末に和解した、なんて話もあるくらいだ」


鬼と喧嘩って、それはもう人なんだろうか。

そんな疑問が一瞬沸いたけど、多分ここにいる皆もやろうと思えばできるんじゃないかと思ってしまった。


「ま、もし今回も同じことになる場合は3日も掛ける気は無いけどな」


やっぱり。出来るんだ。

それで明日の計画は終わりらしく、解散になった。


「あ、そーちゃん。ちょっと良いかしら」


僕も寝ようかなと思ったところで、メイラさんから声が掛かった。

呼ばれるままに馬車の外に出て、馬車から離れる。

……皆にはあまり聞かれたくない話なんだろうか。

そうして近くの木に背中を預けてメイラさんが僕を見た。


「そーちゃんは、魔血族、なのよね」

「はい、そうみたいです」

「じゃあ、ご両親から力の使い方は教わったかしら。覚えてる?」

「力の使い方……ですか」

「そうよ。でもその様子だとまだ教わっていないみたいね」


そう言うメイラさんの目は何とも言えない色を湛えていた。

悲しんでいる、のとはまた違うみたいだけど。


「本当はあまり使ってほしくは無い力なんだけどね。

でも今後、あのりーんちゃんみたいに守りたいものが出来た時に、選択肢は多い方が良いと思うの。

後悔しない為に」

「それは、つまり自分の命を削るような方法って事ですか?」

「場合によってはね。私は過去に一度だけその力を使ったことがあるの。全力では無かったにも関わらず、その時、グランが居なければ私は死んでいたでしょうね。

いいわね。決して安易に使ってはいけないわよ」

「分かりました」


僕はメイラさんの目を真っすぐ見て頷く。

すると、突然メイラさんに抱きしめられた。


「あーもう。良い子ね。私も将来、子供が出来るならそーちゃんみたいな子が欲しいわ」

「わぷっ。め、メイラさん!?」

「いい?使い方は大きく2つよ。……」


そっと耳元でささやかれたそれは、本能的にどうすれば良いかが分かると同時に、その危険性も理解出来てしまった。

メイラさんはもう一度ぎゅっと僕を抱きしめて馬車へと戻って行った。

その後ろ姿を眺めつつ、自分の鼓動を強く感じていた。

そんな訳で、新たな伏線を張りつつ、ようやく次回から鬼退治?に入ります。

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