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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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29-3 りーんちゃん

よろしくお願いします。


そしてみなさん、わかっていたとは思いますが、りーんちゃんです。

男たちの後始末をしてくれるカイさんを横目に、僕はいまだに僕の腕に噛み付いている女の子を見る。

あれ?そう言えば、かなり歯が食い込んでたはずなのに血は全然出てないな。

って、そうじゃない。

良く見たらこの子、僕の血を飲んでるんだ。


「えっと、僕の血、美味しい?」

「(コクコク)」


いつの間にか目の焦点も合っていて、毒がかなり抜けてきているのが分かる。

僕の言葉にもきちんと反応してくれてるし。


「お話したいから、一度口を離してもらっても良いかな」

「はい」

「うん、ありがと。

えっと、僕はソージュって言うんだけど、君のお名前は?」

「りーん、です」

「じゃあ、りーんちゃん。体、まだ痛いところはある?」


りーんと名乗った女の子は自分の身体を見回してから首を振った。

その様子からも、無理をしている訳じゃないことが分かる。

というか、傷口がすっかり塞がってる。凄い回復力だ。

なら後聞くべきことは。


「お父さんやお母さん、家族はにいる?」

「(ふるふる)分かんない。気が付いたら、知らない所にいて、昨日まで村のおばさんにご飯もらってた」


これってどういう事だろう。

僕と同じ次元転移に巻き込まれて来たって事なのかな。

グランさんの話だとそんなにある話じゃなさそうだったんだけど。

ひとまずみなしごって事で間違いは無さそうか。


「りーんちゃんはこれからどうしたい?

と言っても、元居た村に戻るか、別の町に行くか、僕らと一緒に行くかのどれかなんだけど」

「お兄ちゃんといっしょがいい」

「色々と危険な場所に行くけど大丈夫?」

「うん、一緒がいい」

「わかった。じゃあ一緒に行こうか」

「うん♪」


そう言って僕の腕に抱き着いてくるりーんちゃん。

そこで話がひと段落するまで待っていてくれたカイさんが声を掛けて来た。


「少年。話が纏まったのならこの場を移動するとしよう。

彼らの仲間、というよりも村の者が探しにきたら説明が面倒だし、この場に留まるのは得策ではない。

夜営にも向かない場所だしな」

「分かりました。りーんちゃんは、まだ無理はして欲しくないから、僕におぶさって」

「はーい」


そうしてその場を後にした僕たちは夜営が出来る場所を求めて北へ移動を続ける。

あ、ちなみにりーんちゃんは移動を始めて間もなくうとうとし出して眠ってしまった。

起こさないようになるべく静かに走らないと。

と、そこで僕の視界に見慣れたものが目に入った。


「カイさん。右手側のあれ」

「む。あれはまさかブラッドベリーか。待て少年。あれはまずい」

「いえ、多分大丈夫です」


カイさんの制止の声を無視してブラッドベリーの群生地へと近づく。

すると、あっという間に僕の両足に絡みついてくるブラッドベリーの蔦。

後ろでカイさんから緊張する気配がして来たけど、振り返って大丈夫だと頷く。

チクチクっと足にとげが刺さると、少しずつ血が流れていくのが分かる。

3分経った頃に、満足したのか絡みついていた蔦が解けて、代わりに道を開けてくれる。


「さあ、カイさん。行きましょう」

「これは……何とも面妖な。長年森に住んでいて、ブラッドベリーにここまで好かれた人間を初めて見たぞ。

普通なら貧血で倒れるくらいまで吸われてしまうものだからな」

「そうだったんですね。

まあ、ともかくこれで、今晩は安心して眠れますね」

「確かにな。ここならば魔物は近づく事は出来ぬであろうし」


そうしてその夜は、ブラッドベリーを採取しつつ、ゆっくりと休むのだった。

あ、りーんちゃんはおんぶから抱っこに切り替えておいた。


「ふっ、そうしていると仲の良い兄妹のようだな」


とカイさんに微笑まれてしまった。


ソージュが変態ロリコンじゃなくて良かったというお話(違)

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