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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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29-1 まっすぐ行こう

よろしくお願いします。


書きたい事はどんどん浮かんでくるのに書く時間がないジレンマ。

あと、時間やらタイミングやらの整合性が難しいですね。

ジバンリン暦35年7月12日


あの後、カイさんと一緒に一度冒険者ギルドへ寄ってバッカスギ達についての報告をし、そのまま町を出て丸1日。

僕達は次元の亀裂が出来た方角に向けて、まっすぐに進んでいた。

そして今は森の中を突き進んでいる。


「すみません、カイさん。僕のわがままで森を突っ切る形になってしまって」

「なに、構わんさ。俺も踏み固められた街道よりも森や野山の方が性に合っているのでな」

「そう言ってもらえると助かります。っと、見つけた」


カイさんにお礼を言いつつ、木の陰にあったキノコを採取する。

更にその横の草、花、木の実などなど。

主に魔力回復に効果のありそうなものを中心に採取しては口に入れていく。


「ふむ、そうして採っているのは全て薬草なのだろう。実に見事な手際だな」

「ありがとうございます」

「少年は薬師だったのか?」

「どうなんでしょう。実は昔の記憶が無いものですから。

でも、多分どこかで覚えてるんでしょうね。見れば何となく分かるんです」

「ほう、鑑定スキルの一種であろうな。しかし、薬なら本来、煎じたりするのではないか?」

「あー、本来はそうだと思うんですけど、今はその時間も機材も無いですから。

でもこうして摂取することで少しずつですが、確実に回復は出来ているみたいですよ」


この世界に来てからずっと感じていた無力感や脱力感もだいぶ改善されたし、グランさんの負荷魔法が掛かった状態でもジョギングくらいの速度で走れるようにもなった。

それとこうして森を走っていて分かった事がある。それは、


「ウギャッ」

「よっと」


草むらから飛び出して来たゴブリンを、出会い頭に殴り飛ばす。

どうやら馴染み深い魔物もしっかりと存在しているみたいなんだよね。

最初、鬼に出会った時は知らない魔物だったから、心配だったけど、カイさんにも確認したら、聞き覚えのある魔物も多く存在しているらしい。

だから多分、僕の元の世界とそれほど違いはないって事なんだろう。

ちなみに、僕がゴブリンを2体倒す間に、カイさんは10体も倒している。


「カイさんってかなりの実力者ですよね。

あのバッカスギ達も名前を知っていたみたいですし、実は有名人なんですか?」

「獣人族で冒険者ランクがAなのは珍しいらしくてな。気が付けば『炎撃のカイ』などという二つ名があるようだ」


そう言ってカイさんは僕の方に左手を突き出してみせる。

カイさんの武器はガントレットとトンファーを合体させたような形で、殴る、打つ、掴むと至近距離での攻撃に特化している。

さらに今はそうでもないけど、本気の時は両手が炎の魔法で包まれるそうだ。


「俺は見てのとおり、戦闘力はそれなりだと自負しているが、それ以外はからっきしだからな。

少年の様に戦い以外に役に立つ能力があるのは凄いと思うぞ」

「ありがとうございます。さて、ゴブリンの追加は居ないみたいですし、先を急ぎましょうか」

「ああ。しかし、少年は不思議だな」

「え、何がですか?」

「昨日は普通に歩くのも辛そうだったと言うのに、今日は俺と肩を並べて走る事が出来ている。

無論、まだペースはゆっくりではあるが、それにしてもその回復力は異常と言っても過言ではないだろう」


うーん、Aランクのカイさんにそこまで言って貰えるのって凄い事なんだろうな。

でも僕としてはこの負荷や疲労感も含めて、きっといつも通りで、むしろ普通の状態に戻って来たって感覚なんだよね。


そうしてその日も陽が暮れてきて、そろそろ夜営する事を考えていた頃。

僕の探知範囲に5人分の気配が感じられた。

これは……逃げる1人を4人が追いかけているのか。


「カイさん、寄り道になりますが良いですか?」

「うむ。どういった事情かは分からぬが、ただならぬ様子だな」


幸いこちらに逃げてくるようなので、それほど時間も掛からずに合流できそうだ。

森の間を走り抜けて3分。

僕の目に映ったのは、多くの矢を射かけられて倒れた少女とそれを追ってやってきた青年4人。


「何だお前は!!」


青年の1人が怒鳴ってくるが無視して、急ぎ少女の元に駆けつけて状態を確認する。

良かった。少女はかなり酷い状態だけど、まだ息あるみたいだ。

そしてアイテム袋の中から回復ポーションを取り出して少女に掛ける。


「うっ」

「染みるかもしれないけど我慢して。これで出血はだいぶ収まるはずだから」


そう声を掛けている間にカイさんは僕たちと青年たちの間に立ちはだかる。

カイさんを見た青年たちは一気に警戒の色を強めた。

よし。お陰で、すぐに飛びかかってくる事はなさそうだ。



良く考えると、一番最初も山野をまっすぐに駆け抜けていましたね。

あの時は学園に向っていましたが。

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