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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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28-3 救援改め撃退

よろしくお願いします。

最近ブックマークが急増してびっくりしつつ大喜びしております。

皆様、いつもありがとうございます。


そしてすみません、恐らくですが明日は更新間に合わないかと思います。

小屋の扉を破って入って来たのは、僕をここに連れてきた男。

あ、いや。正確にはその男も投げ飛ばされてきただけなんだろう。今は扉の残骸に埋もれながら倒れている。


「邪魔をするぞ」


今度こそ入って来たのは、路上で倒れている僕の安否を聞いてきてくれた獣人だった。

まるで散歩に来たかのような気軽さと、獲物を前にした獣の目が印象的だ。

だけど、それを見たバッカスギ達は騒然としている。


「なっ!まさか獣人族のカイか!?」

「いったい何のつもりだ」


カイと呼ばれたその人は、スッと僕を指差して一言。


「その少年を貰いに来た」

「え?」

「はぁ!?獣人のあんたとこのガキと、何の関係があるって言うんだ!?」

「いや、ないな」

「だったら……」

「だがその少年からは同胞の臭いがした。

我々が気にかけるのに、それ以上の理由は必要ない」

「ぐっ」


カイさんが一歩前に出ると、迫力に負けてバッカスギ達が一歩下がる。

さて、このままやり取りを見守ってても大丈夫(カイさんの圧勝)だとは思うんだけど、きっとこれも特訓の内だよね。

だからカイさんには申し訳ないけど、ここは譲ってもらおう。


「あの、カイさん。良いですか?」

「む?ふむ。そうか」


僕とカイさんの視線が一瞬合う。

それだけで、おおよその事は伝わったみたいだ。

バッカスギ達に向けていた闘気を鎮めて静観の構えを取ってくれた。

やっぱり、こういう職人というか武人気質の人って話が早くて助かる。

まぁバッカスギ達には分からないだろうけど。


「んん?」

「ど、どうしたんだ」

「お前達の相手は俺では無いようなのでな」

「はぁ?ならだれ、ガハッ」


一番近くに居た男を寸頸の要領で殴ると、反対の壁まで吹き飛んでいく。

やっぱり。動きを最小にすれば、負荷も最小限で済むようだ。

残りは3人。

バッカスギとナイフ使いと魔法使い。

バッカスギはどうでも良いけど、残り2人の遠距離攻撃が厄介だな。


「このガキ、いつの間に」

「だが、何とか立ててるって感じだ。

遠くからやれば余裕で勝てる。ズック、ホアー、やれ!」

「おう!」


ヒュッ!


ズックと呼ばれたナイフ使いがナイフを投げてくる。

狙いは頭だ。

流石に狭い小屋の中。至近距離から放たれたそれが外れる訳も無く、一直線に迫る。

僕はそれを少しだけ腰をずらして調整して額で受け止める。

当たる寸前、頭を後ろに反らすことで相対速度を一瞬ゼロにしてから弾く。


「なっ」


弾かれたナイフは力なく落下し僕の手の中へ。

ふぅ、上手く行って良かった。


「化け物か、このガキ」

「クソ、死にやがれ『サンダーボルト』」

「よっと」


今度は電撃の魔法を放って来た魔法使いに持っていたナイフを投げつける。

すると電撃はナイフに引っ張られて魔法を放った男に戻っていった。


ブスッ、ビリビリッ

「うぎゃっ」


ナイフの当たり所が悪くて1撃で白目を剥いて倒れてしまった。

まったく、もうちょっと指向性を強くすればナイフを弾いて僕まで届いただろうに。

さて、これ以上はこっちから近づかないと攻撃が届かないかな。

とは言っても、まだすり足で前進するのがやっとという状態で向こうに逃げられると追いつけないな。

そう思いつつ、半歩前に出した足にコツンッと何かが当たる。

あ、箒だ。

僕は箒の先を踏むことで、反動で持ち上がってきた柄を掴んでバッカスギに向ける。


「ふ、ふはははっ」

「あれ?気でも狂ったかな?」

「狂ってんのはお前だろ!その箒で戦う気か?無理に決まってんだろ。やるぞズック」

「おうさっ」


バッカスギが剣で正面から、ズックが横に回りこんで攻撃を仕掛けてくる。

うーん、逃げればいいものを、馬鹿だなぁ。

僕はくるっと箒を回してズックの顔を箒の穂で叩き、柄先でバッカスギの剣の腹を殴って反らす。

そして目の前に来たバッカスギの手首を掴みながら懐に潜り込んで投げ飛ばした。


「ぶへっ」

「ぶふっ」


いい感じにズックの上にバッカスギを投げ飛ばしたので、二人揃って動かなくなった。

うん、何とかなって良かった。

一息ついた僕にカイさんから拍手が送られた。


「お見事。どうやら俺の助けは無用だったようだな」

「いえ。カイさんが時間を稼ぎつつ、彼らの意識を反らしてくれたお陰です」

「ふむ、まあそういう事にしておこう。

それで、君はこれからどうする?」

「はい。何とか動けるようになってきたので、町を出て北西に出来たっていう次元の亀裂を目指します」

「その状態では死ににいくようなものだぞ。……とはいえ、何か理由があるようだな。

よし、ここで会ったのも何かの縁だ。次元の亀裂には俺も行く予定だったし、共に行くとしよう」

「良いんですか?ありがとうございます。心強いです」


そうして僕はカイさんと一緒に次元の亀裂を目指すことになった。

グランさん達はもう大分前に町を出てしまっているだろう。

今から追いつけるだろうか。



そんな訳で、助けに来てくれたのはグランさん達ではなく、獣人のカイさんでした。


次回はメイラさん視点の予定。

うーむ、なかなか7月11日が終わらない。

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