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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第1章:Eランクの僕と彼女
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3-B ミラ視点:心優しき友人

よろしくお願いします。


好きなことを書いてるときは筆が進みますね。

くっ。1000~2000文字ってあっという間です。

ジバンリン暦52年3月11日


Side ミラ


ミラでございます。

父に無理を言って、ケイ様に付いてマリアッジ学園に通うことになりました。

私にとって、ケイ様の居ない生活など考えられませんから。


そして学園の入試初日。

ちょっとしたトラブルをきっかけに、なんとケイ様に友人が出来ました!

名前をソージュ様と仰るそうです。

試験1日目の基礎体力試験の様子から、ケイ様はソージュ様をライバルと認定為されたようです。

これまで、村の人にもほとんど関心を寄せなかったケイ様が、あれほど楽しそうに私以外と話しているのを久しぶりに見ました。


そして1日目の夜にケイ様は仰ったのです。


「明日の朝は少し早くに出て、ソージュが来るのを待とう。

なにやら心配事があるみたいだからな」

「はい、畏まりました」




そして試験2日目。


私とケイ様はソージュ様が来るのを通学路で待っていました。

……あ、来ました。

ですが、ケイ様の言うとおり、ソージュ様は心ここにあらずといった様子で歩いていきます。


「さて、どうしようかな」


そのつぶやきに合わせて私達は声を掛けることにしました。


「なんだ。ソージュは剣術は苦手なのか?」

「まあ、苦手というか、ね」


ケイ様のまっすぐなお言葉に苦笑いのソージュ様。

これは……なにか事情がおありのようです。

私はケイ様の袖を引き、今はこれ以上聞くのを止めます。

このあたりのさじ加減はこれから学んでいきましょうね。



試験は私、ケイ様、ソージュ様で受けることになりました。

私は小太刀、ケイ様はロングソードを普段から扱っているので問題はないでしょう。

そしてソージュ様は……


なんとソージュ様は精霊武器の契約者様でした。

契約者はその精霊に合わせて様々な加護を授かり、制約を受けると聞きます。

それは精霊が強ければ強いほど、厳しい制約になるそうです。

それが仇になって結果は0点になったとのこと。


意気消沈したソージュ様を元気付ける為に、ケイ様と一計を案じます。

そうして冒険者ギルドに訪れた私達。


【クリフ草の採取:報酬700ジン】


え、ソージュ様。そのクエストは明らかに報酬が安すぎますが。


「クリフ草、でございますか」

「うん。いいかな?」


何か理由がおありなのですね。

ええ。もちろん、私達に異存などありません。

ただ、ギルド職員の態度がすごく丁寧なような……気のせいでしょうか。



クエストの道中、特筆すべき点は……というかおかしすぎます。

あの、ソージュ様はどうしてそう、薬草や木の実を見つけるのが上手なのでしょう。

途中森に入ってからは蛇行すると思ったらその先に必ずと言っていいほど、素敵な森の恵みがあります。

もしかしたら先程の精霊の加護なのかもしれないですね。


そして道中もそうでしたが、クリフ草の採取地でも、そこに生きる者たちへ配慮した行動。

なるほど。誰に対しても分け隔てなく公正な態度はこういう所にも表れているのですね。



冒険者ギルドに戻ってきて、ソージュ様は受付にてこう仰りました。


「依頼人に直接届けたいので、依頼人の情報をください」


ギルドに届けられる個人からの依頼の多くは、本人の許可無く開示されることはまずありません。

ですが、受付の女性は淀みなく答えた上で「よろしくお願いします」と頭を下げていました。

どういうことなのでしょう。



しかし、その疑問も10分後、あっさりと解消されました。

訪れた先はお母様が病気で臥せっている子供の家。

依頼人はその子供だったようです。

なるほど、それであんなに報酬が安かったのですね。

それにギルドと薬師を経由すればそれだけ手間賃が取られるはず。

それを見越しての行動だったのですね。


「僕は台所で薬を用意するから、2人はその子のお母さんの様子を見てきてほしい」

「うむ、心得た」

「っ、お任せください」


ソージュ様の力強い瞳に「手伝いましょうか」という言葉を飲み込みました。

そして3分と掛からずにソージュ様は台所から戻ってきました。


ソージュ様が作られた濃い赤いジュース(匂いからしてブラッドベリーです)を病気のお母様に飲ませると、

まるで強力なマジックポーションであったかのように、咳は止まり、顔色も良くなりました。

そして体力を回復するためでしょう。すぐに穏やかな寝息を立て始めました。


「さあ、これでお母さんはもう大丈夫だ。

台所に君の分のジュースを用意してあるから、後で飲んでおいて」

「うん。ありがとう、お兄ちゃんお姉ちゃん」


私達はその子、ミィちゃんの頭を撫でてその家を後にしました。

その時のソージュ様の笑顔を見て確信しました。


この方は私達の生涯の友となるであろうと。

本当にようございましたね、ケイ様。


ミラがケイのことを様付けで呼ぶのは、旦那様と呼ぶのと同じ感覚です。

それが高じて尊敬に値する男性には様付けをしています。


なお、ミラがケイ以外に懸想することは絶対にありえません。


#########


一方、試験結果を評価する会議は波乱に満ちています。


次回:学園視点:合格判定会議

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